しみる
「しみる」とは、色が入り込む・液体が入り込む・しみじみと感じ入る・痛みを感じる・冷えるということを意味する表現である。
「しみる」とは・「しみる」の意味
「しみる」には複数の意味があり、意味によって漢字の表記が異なる。「染みる」と表記した場合は、紙や布などに液体が入り込んで、色がついていくという意味となる。似た表現としては「染まる」があるが、染みるは染まるまでの過程で、色がついていく様子に限定するために使用する。「浸みる」という表記をした場合は、紙や布に液体が入っていくことを表す表現となる。「染みる」とは違い、色が付くかどうかは重要視されない。「しみる」は、人の心にしみじみと感じ入るという意味でも使用されるが、その場合の漢字表記は「沁みる」である。また、人が痛みを感じることも「しみる」と表現でき、漢字表記は「滲みる」だ。痛みの中で、主に液体や気体によって引き起こされる痛みが発生することを、滲みると表現する。滲みる痛みとして代表的なものは、知覚過敏が挙げられる。
漢字の意味を重視するのであれば、「染みる」「浸みる」「沁みる」「滲みる」を、状況によって使い分けることが望ましい。ただ、「しみる」という読みが常用になっているのは「染みる」のみである。そのため、「浸みる」「沁みる」の代わりに「染みる」が使用されることも多い。必ずしも、漢字 使い分けが必要というわけではない。
心が感じ入るという意味表現には「心にしみる」というものがあるが、この場合は「沁みる」ではなく「染みる」を使用するのが正しい。「沁みる」には心に感じ入るという意味が含まれているため、「心に沁みる」という表現では二重表現になってしまうからだ。また、痛みを感じる「しみる」には、「染」の字が使えず、「滲みる」という表現しかできない。しかし、「滲」という漢字 痛いことを示すものは常用外であるので、「しみる」とひらがなで表記されることが多い。
特殊な例としては、「凍みる」という表現がある。これは甲信越地方の方言であり、冷えたり凍りついたりすることを表現するために使用する。主に、冬の季節の気温が低いことを表す表現だ。
「しみる」の熟語・言い回し
歯がしみるとは
「歯がしみる」は、歯や歯の周りで痛みが発生することを表す表現だ。漢字で表記すると、「歯が滲みる」となる。口内に入り込んだ液体や空気が、虫歯や歯周病の患部に触れて痛みが出ることを、「歯が滲みる」と表現できる。また、健康な歯であっても、表面に開いている小さな穴に液体や空気が入り込み、歯が滲みる状態になる場合がある。
味がしみるとは
「味がしみる」とは、食材の奥にまで調味料が入り込むことを表す表現である。主に煮物に関して、中までしっかり味がついていることを表すために使用する。
疲れた体に染みるとは
「疲れた身体に染みる」は、疲れた身体が癒やされるという意味の表現である。美味しい食事や物理的な暖かさ、人からかけられた言葉など、あらゆるものが「疲れた身体に染みる」の主語になり得る。
傷が沁みるとは
「傷が沁みる」は、人の傷が痛むという意味の表現である。主に、心の傷が痛むという、心理的な描写で使用される表現だ。身体にできた傷が痛む場合は「傷が滲みる」、心理的な意味合いが強い表現だと「傷が沁みる」という風に、使い分ける形となる。
ひびにしみるとは
「ひびにしみる」は、小中学校の教科書で題材として使用されている「川とノリオ」に出てくる表現である。冬の季節、ノリオの皮膚にできた小さなひびに冷たい空気が入り込み、痛みを感じるという意味の表現だ。
腹にしみるとは
「腹にしみる」は、飲んだものが身体にしみ渡っていくような感覚を表すための言葉である。酒を飲んだ際の表現として使用されることが多い。
よう染みるとは
「よう染みる」は、しっかりと色がついていることを示す表現である。「よく染みる」の「よく」の部分が訛って「よう」になっている。
「しみる」の使い方・例文
「しみる」を、紙や布に液体が入り込んで色が付いていくという意味の「染みる」として使用する場合、例文は「今日は白い服を着ているので、色が染みるのを防ぐために、液体が飛ばないメニューを注文する」「書道中に墨汁をこぼしたため、シャツが染みてしまった」という風になる。液体が入り込む「浸みる」として使用するのであれば、「この服は速乾性能があるため、多少水が浸みても問題はない」「幻想的な絵を描くために、この和紙には水を浸みさせている」のように使える。しみじみと感じ入るという意味の「沁みる」を使った例文は、「先週公開された映画は、とても沁みるという評判だ」「彼が演説で放った言葉はとても沁みた」などである。痛みを感じる「滲みる」を用いる場合は、「歯が滲みるため、来週歯科に行こうと思う」「治療後の傷が多少滲みるが、特に問題はないそうだ」のような使い方をする。
方言の「凍みる」を使うのであれば、「明日から、凍みる寒さとなるそうだ」「身に凍みる寒さであるため、早く家に帰って温まりたい」といった使い方となる。
し・みる【染みる/×沁みる/▽浸みる/×滲みる】
読み方:しみる
[動マ上一][文]し・む[マ上二]
1 液体や気体が他の物に移りついて、次第に深く広がる。また、にじんで汚れる。しむ。「味が—・みる」「匂いが—・みる」「汗の—・みた下着」
2 液体や気体などの刺激を受けて痛みを感じる。しむ。「消毒薬が傷口に—・みる」「歯に—・みる」
3 心にしみじみと感じる。しむ。「親切が身に—・みる」
4 好ましくない気風の影響を受けて、その傾向をもつようになる。そまる。しむ。「悪習に—・みる」
[用法] しみる・にじむ——「血のしみた(にじんだ)手ぬぐい」「汗のしみた(にじんだ)シャツ」のように、濡れて広がる意では相通じて用いられる。◇「しみる」は液体・気体・におい・味や外部からの刺激などが、内部にまで入りこむことで、「煙が目にしみる」「寒さが身にしみる」「煮物は味がしみるのに時間がかかる」「心にしみる音楽」などという。◇「にじむ」は、その部分から周囲へ広がる、また、内部から表面に出てくる意で、「絵の具の色がにじむ」「落ちた涙で字がにじむ」「涙で街灯がにじんで見える」「涙がにじみ出る」などと用いる。
「浸みる」の例文・使い方・用例・文例
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