法曹志望者の大幅な減少、法曹の質の低下の懸念とは? わかりやすく解説

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法曹志望者の大幅な減少、法曹の質の低下の懸念

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 14:04 UTC 版)

法科大学院定員割れ問題」の記事における「法曹志望者の大幅な減少、法曹の質の低下の懸念」の解説

法科大学院入学者減少前述のとおりであり、入学者数の減少法曹志望者の減少意味する旧司法試験時代には、最も多い平成15年50,166人が出願しており、昭和45年以降少ない年でも2万人以上が司法試験出願していた。これに対し例え平成25年司法試験出願者数は10,315人、司法試験予備試験出願者数11,255人を合わせて合計21,570人にとどまっており、旧司法試験時代比べる法曹志望者数自体大きく減少していることが分かる法科大学院制度理念は「質量ともに豊かな法曹」を養成するというものであったが、司法試験合格者数旧司法試験時代より大幅に増加されているにもかかわらず法曹志望者数は逆に減少しており、その法曹志望者も法科大学院ルートではなく予備試験ルート流れている。このため、「質量ともに豊かな法曹」を実現するという観点から法科大学院制度正当性説明することは、もはや困難になりつつある。一方司法試験合格者数増加させたことに伴い法曹者となる者の質の低下各方面から指摘されている。以下に主な指摘挙げる。 (1)平成25年3月22日衆議院法務委員会における最高裁事務総局人事局答弁椎名毅委員みんなの党)が、司法改革以前比較して司法試験合格者数倍増しているにもかかわらず判事補への採用人数年間100人前後でほとんど変わっていない点について、「司法制度改革行って新司法試験受かった人たちの成績余り期待できていないという意味なんでしょうか」と質問したところ、安浪亮介最高裁判所事務総局人事局長は「私どもとしては裁判官になってほしいと思う者であっても弁護士事務所方に行くという者もおりますし、その一方で、やはり裁判官として仕事をしていく上では、裁判官にふさわしい資質能力備えた者でなければならないということありますもので、修習生の数がふえたからといって直ち判事補として採用する者が増加するという関係にはないというふうに見ております」と答弁している。つまり、最高裁司法試験合格者数が約2,000人に増加したにもかかわらず判事補適す資質有する司法修習生任官しないため判事補定員満たさない自認しているのであり、これは最高裁自らが司法修習生質の低下認めた同然であると解釈されている。 (2) 二回試験不合格者数の急増司法試験合格者数の増加に伴い司法修習生考試いわゆる二回試験)の不合格者数が急増している。旧司法試験時代,二回試験不合格または合格留保追試対象)となる司法修習生ごくわずかであったが,司法試験合格者数増大とともにその数は増加し旧司法試験時代最後修習期である59期平成17年司法試験に相当)では,二回試験不合格者が10人,合格留保者(追試対象者)が97人もの多数のぼった最高裁は,翌60期から二回試験追試廃止し,二回試験所定成績達しない者は直ち不合格とする取り扱いとした。60期以降における,二回試験不合格者数は以下のとおりである。 旧60期 71人(うち新規受験者60人) 新60期 76人(うち新規受験者59人) 旧6133人(うち新規受験者20人) 新61113人(うち新規受験者101人) 旧6223人(うち新規受験者9人) 新6275人(うち新規受験者70人) 旧6328人(うち新規受験者12人) 新6390人(うち新規受験者85人) 旧6424人(うち新規受験者10人) 新6456人(うち新規受験者56人) 6546人(うち旧試験組の新規受験者5人、新試験組の新規受験者38人) 66期 43人(うち新規受験者39人)最高裁事務総局は、不合格者数が激増した60期の二回試験について、『新60期司法修習生考試における不可答案概要』を公表しており、60期不可答案は、例え次のような問題点一点とどまらず複数積み重なっているなど、他の記載部分併せて答案全体をみても、実務法曹として求められる最低限能力修得しているとの評価を到底することができなかったと説明している。○ 刑法重要概念である「建造物」や「焼損」の理解足りずに,放火媒介物である布(カーテン)に点火してこれを燃焼させた事実認定したのみで、現住建造物等放火罪客体である「建造物」が焼損たかどうかを全く検討しないで「建造物焼損」の事実認定したもの○ 債務消滅原因である民法505条相殺効果誤解して相殺の抗弁によっては反対債権との引換給付効果生じるにとどまる旨を説明したもの○ 放火犯人被告人であるかが争点事案で、「被告人犯行を行うことが可能であった」といった程度評価しかしていないのに、他の証拠検討することなく短絡的に被告人放火犯人であると結論付けるなど、「疑わしきは被告人の利益に」の基本原則理解できていない言わざるを得ないもの○ 2年有償飼い猫を預かる契約内容には「生存させたまま返還するまでの債務含まれない。」との独自の考えに基づき、「死亡させても返還債務履行不能にはならない。」と論じたもの一方62以降不合格者数が減少傾向にあるものの、これは成績下位者を救済しやすくするために小問形式採用されるなど、試験問題自体変更されたことに起因するものであり、司法修習生の質が向上したわけではない理解されている。上記問題について、白浜朗弁護士は「実務修習での成績評価をしていると、従前は、優良可の判定のうち、「可」の判定をしなければならない修習生はほとんどいなかったのだが、最近は、「可」の判定やむなしとなる修習生がかなりのとなっているから修習生の水準低下していることは間違いないので、そのような中、不合格者が減っているということは、我々弁護修習実務関わる弁護士指導や二回試験対策よかったからというようなことでは説明できないのである」と述べている。

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