民営化後の収縮と拡大
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「カナディアン・ナショナル鉄道」の記事における「民営化後の収縮と拡大」の解説
株式公開の成功に続き、CNは積極的な合理化を進め、省燃費の新型機関車の購入をするなどの方策により、最高の株価を記録した。カナダ全土にある多くの支線が1990年代終盤までに整理され、それを引き継いだ多くの独立系の短距離路線の鉄道が改めて設立された。こうした路線の合理化は、ハリファクス〜シカゴやトロント〜バンクーバー、プリンスルパートといった東西を結ぶ貨物輸送をCNの中核事業たらしめた。DWPの路線を使用したウィニペグ〜シカゴ間の列車の運行もはじめた。 カナダ国内での撤退に加え、アメリカ国内で南北方向への路線延長を会社の方針とした。アメリカ国内の鉄道会社の再編が進行中であった1998年、CNはイリノイ・セントラル鉄道(IC)を買収した。ICはバンクーバーとノバスコシアを結ぶCNの路線を、シカゴからニューオーリンズへの路線と接続するものであった。この、ひとつの鉄道会社を買収したことが、CNの企業としての目を、カナダ国内を東西を結ぶということだけでなく、北米自由協定に基づいて南北を結ぶということに向けさせた。CNは、カナダ国内の資源をアメリカの中心地域、そしてカンザス・シティ・サザン鉄道を通じてメキシコに輸出する企業へと変貌を遂げた。 1999年、CNと、アメリカ第二の鉄道会社であるBNSF鉄道は合併の協議に入っていると発表した。その際、新会社として北アメリカ鉄道を設立し、CN民営化法に基づき本社をモントリオールに置くこととした。CNの社長ポール・テリエとBNSFの社長ロバート・クレブスによるこの発表に、競合する一級鉄道であるユニオン・パシフィック鉄道(UP)やCPRが抗議した。利用者たちは1998年にUPがサザン・パシフィック鉄道を買収した際にテキサス州南東部においてサービス低下と混乱を招いた経験から、これに反対した。これらの圧力により、連邦陸上運輸委員会(英:Surface Transportation Board、STB)はすべての鉄道には合併までには15ヶ月の猶予を課すこととし、とりわけCNとBNSFの合併を阻止しようとした。その結果、この合併は撤回された。 STBによる猶予期間終了後、2001年にCNはウイスコンシン・セントラル社(WC)を買収した。これによって、CNはミシガン湖とスペリオル湖周辺の鉄道網を入手でき、シカゴとカナダ西部の間をより便利にすることができた。WCはカナダ国内にもスーセントマリーやアッパー半島に接続するアルゴマ・セントラル鉄道という子会社を持っていたので、これもこの買収に含まれた。WCの買収はCNをEWSのオーナーをも意味した。EWSはWC主導で設立された合弁会社でイギリス最大の貨物鉄道会社であった。 2003年5月13日、ブリティッシュコロンビア州政府は国営企業であるBCレール(BCR)の車両と設備をオークション方式で売却すると発表した。州政府はいわゆる地上設備、つまり路線と線路敷設権を保有する。11月25日、CPRやアメリカの企業を退け、CNが10億カナダドルで落札した。譲渡は翌2004年6月15日に終了した。CPRを含む多くの反対者は、州政府とCNを不正取引があったとして告訴したが、政府によって否定された。 政府がBCR沿いの街に景気刺激策として施したのだ、という議論もされた。政府は、この政策は沿線の経済開発を進めるためだと主張したが、地方自治体がリース料を得るための売却だ、と見る者もあった。この数年前、この路線の旅客輸送は損失の拡大に伴ってBCRによって廃止されていた。廃止された旅客輸送はロッキー・マウンテーニアがとって替わったが、運賃はBCR時代の2倍以上となった。 CNはまた2003年10月に、ブラックストーン・グループから3億8000万ドルでグレート・レーク・トランスポーテーション(GLT)を買収すると合意したことを発表した。GLTはベッセマー・アンド・レイク・エリー鉄道(BLE)、ダルース・ミセーベ・アンド・アイアン・レンジ鉄道(DMIR)、ピッツバーグ・コンニュート・ドック社の親会社であった。CNが買収に踏み切った最大の理由は、WCを買収して以来、シカゴ〜ウイニペグ間の路線についてミネソタ州ダルース付近にあるわずか17キロメートルの"峡谷"を抜けるためにDMIRの軌道使用権を利用する必要があったためであった。CNとしてはこの区間を買収したかったのだが、GLTから企業全体を買収するよう要求されたのである。またGLTの資産には、諸種の港湾施設に加えて、石炭や鉄鉱石などの大量輸送に適した五大湖を航行する8台の船舶も含まれていた。STBはこの取引を認可し、2004年5月10日、CNはGLTを買収した。
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