正体をめぐる推測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 02:16 UTC 版)
「サトシ・ナカモト」の記事における「正体をめぐる推測」の解説
サトシ・ナカモトの正体を巡っては、ナカモト名義で公表・投稿された過去の論文、メーリングリスト、e-mailなどのやりとりなどを根拠にして、さまざまな推測や憶測や分析がされている。 そもそもこの名前が登場したのは2008年11月1日、あるサーバのメーリングリストに、「Satoshi Nakamoto」という執筆名で、新しいデジタル通貨に関する論文がアップロードされた時である。その論文がアップロードされた時点では、メーリングリスト参加者の誰も「Satoshi Nakamoto」などという名前を聞いたこともなかった。Benjamin Wallaceは2011年時点で、「Satoshi Nakamoto」をGoogle検索しても情報が得られないため明らかに仮名(偽名)だと述べた。 「Satoshi Nakamoto」のものとして表示されていたe-mailアドレスは、ドイツのフリーのメールサービスのものだった。 彼のビットコインに関する最初のソフトウェアは共同作業によるものと推測されており、このため、サトシ・ナカモトとは特定の個人ではなく、あるグループが共有して使っている偽名だ、と推定している人もいる。 ソースコード中のコメントやフォーラムへの投稿に時おり使用されるイギリス英語の綴りやイディオム(例えば"bloody hard"といった表現)の使い方がナカモト、もしくは少なくともナカモトであると主張するグループの一個人を推測させるヒントになるという見方もされ、その場合、イギリス英語を使う人だと推定している人もいる。 スイスのプログラマーでコミュニティにおける活発なメンバーでもあるステファン・トーマスは、ナカモトがビットコインのフォーラムに投稿した時間帯をグラフ化した(その数は500件以上にものぼる)。その結果、グリニッジ標準時で午前5時から11時(日本時間で14時から20時)のあいだ、ほぼ投稿がないことが明らかとなった。土曜日や日曜日でもこのパターンは当てはまっており、つまりこの時間帯はナカモトの睡眠時間なのではないかと推測された。もしナカモトが個人であり普通の睡眠習慣の持ち主であるなら、彼が住んでいるのはUTC−05:00もしくはUTC−06:00の地域と推測される。これは北米の東部標準時や中部標準時、中央アメリカの西インド諸島や南米が当てはまる。 ナカモトの正体については様々な説が浮上した。ここでは有名なものを挙げる。 2011年、ジョシュア・デービス(英語版)は雑誌ザ・ニューヨーカーの記事の中で、ナカモトの正体について多くの可能性から、フィンランドの経済社会学者Vili Lehdonvirtaと、ダブリンのトリニティ・カレッジにて暗号理論を研究したアイルランドの学生Michael Clearに絞り込んだと主張した。両者ともにナカモトではないと強く主張している。 2011年10月、調査ジャーナリストのアダム・ペネンバーグ(英語版)はナカモトとはニール・キング、ウラジミール・オクスマン、そしてチャールズ・ブライのことであるとする間接証拠について言及。それには、2008年に彼らが出願した特許の出願書類が含まれていた。ペネンバーグが3人に接触した時、彼らは全員ナカモトであることを否定した。 ジェド・マケーレブがナカモトの正体ではないかと言われたことがある。マケーレブはファイル共有サービスOvernet、eDonkey2000(英語版)の創始者であり、ビットコインの取引所マウントゴックス (Mt. Gox) の設立者でもある。かつてはビットコインを強力に支え、後に他のデジタル通貨・リップル (Ripple) を発展させるための会社リップル・ラボを共同設立した。 テキサスのセキュリティー研究者であるダスティン・D・トランメルはナカモトであると推測されたが、公的に否定している。 2013年12月、ニック・サボー(英語版)は逆テキスト分析で関係があるとされた。サボは非集中的な通貨システムに熱心で、「ビットゴールド」についての論文を出したこともある。これはビットコインの前身と考えられた。 2014年3月、ジャーナリストのリア・マグラース・グッドマン(英語版)は雑誌ニューズウィークの記事において、アメリカ合衆国カリフォルニア州のテンプルシティ(英語版)に住み、出生名がサトシ・ナカモトであった、現在64歳のドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモトこそが話題のサトシ・ナカモトであると述べた。しかし、ドリアン・ナカモトはこれを否定。ニューズウィーク誌は間違って引用したとし、彼がかつて関わっていた国家機密の技術系の仕事について「私はもはや関係ないので議論できない」と語った部分を誤用しているとした。また同日、ナカモトがP2P財団に自身のアカウントで3年ぶりのメッセージを投稿したが、「私はドリアン・ナカモトではない」と述べている。 2016年5月2日に、オーストラリアの起業家クレイグ・スティーブン・ライト(英語版)が自らがサトシ・ナカモトであると報道機関に対し名乗り出た。その証拠として、本物のサトシ・ナカモトしか知り得ないはずの暗号キーを使って電子署名をしてみせたが、まだ本物とするには疑問も残っていると報じられている。 2019年4月、ジョン・マカフィーがナカモトの正体を知っていると主張した。 日本に留学経験のあるエストニア出身の研究者とその関連会社が関係しているという説がある。
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