正体の諸説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 09:09 UTC 版)
山男の正体については、前述の『絵本百物語』では山の気が人の形をとったものともあるが、妖怪研究家・多田克己は、江戸時代の百科事典『和漢三才図会』にある山わろ、玃、山精、魍魎などが混同された結果として生まれた妖怪像とのほか、ヒマラヤ山脈の雪男(イエティ)と同様、絶滅種類人猿のギガントピテクスの生き残りとの仮説も立てている。 柳田國男は1913年に、山人は日本に昔繁栄していた先住民の子孫であると信ずると述べ、1917年には「山人即ち日本の先住民」はもはや絶滅したという通説には同意してよいとしつつも、「次第に退化して、今尚山中を漂白しつゝあった者」が、ある時代までは必ず居たと推定されるとした。また、山人を鬼と関連付けて論じていた。南方熊楠は1916年の柳田宛書簡において、柳田の言う山人は、ただ特種の事情によってやむを得ず山に住み、時勢遅れの暮らしをして世間に遠ざかっている人間の男(または女)というほどのことだと述べている。南方は、自身の考える「真の山男」は「学術的に申さば、原始人類ともいうべきもの」であり、それは中国でいう山𤢖、木客の類であるとし、その存在説は日本以外にも多いけれども、その多くは大きな猴(サル)類を誤って伝えたものであるとした。 また妖怪研究家・村上健司によれば山姫(山女)と同様、普通の人間が精神に異常を来たして山男となった例も少なくなかったとされる。 柳田は山男(山人)に、里人にない特異な身体特徴が見られ、これを研究する事で「人類学や文明史に新たな事蹟」がもたらされることを望んでいたが、この柳田資料に残る山男(山人)の身体特徴の内、信頼性の高そうなものを拾ってゆくと、それが皆、白人(白色人種)の人種特徴と一致するという指摘がある。「鬼」「鬼の白人説」節も参照。
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