正体の暴露
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 23:01 UTC 版)
2007年1月にウィキアに雇われると、Essjayはウィキアのプロフィールページを変更し、「私が本当は誰なのか白状します」("came clean on who he really was")として、自分はライアン・ジョーダン(Ryan Jordan)であるとした。これに対し他のウィキペディアの利用者は、新しいウィキアのプロフィールとそれまでウィキペディアで公表されていた経歴との齟齬について、ウィキペディアの会話ページで質問した。最初の質問に対しては、Essjayは丁寧な返答を行い、以下のように述べた。 「 ウィキペディアや他のウィキメディアプロジェクトの上には、荒らしやストーカー、精神病質者が数多くうろついていて、攻撃、ストーキング、あるいはその人の人生を破壊できるような人はいないか探しています(ここでの行いのせいで逮捕された人も何人かいます)……身元の特定につながるようなことを何かちょっともらせば、ストーカーたちはあなたを探し出します……私は自分自身でいること、決して自分の性格を隠さず、常に私であり続ける一方で、たいしたことではないと思われること、年齢、居住地、職業など、についてはディスインフォメーションを用いることにしたのです…… 」 後になってEssjayはウィキペディアの利用者ページに、「うまく役を演じて」("doing a good job playing the part")シフをだましたとも述べている。 これをうけて、社会運動家でウィキペディアを批評しているダニエル・ブラント(Daniel Brandt)は、『ニューヨーカー』誌に経歴の矛盾を報告した。2007年2月末に『ニューヨーカー』誌は Essjay が後になって自らの名をライアン・ジョーダンだと明らかにしたことなどに触れた訂正文とともに記事をアップデートした。この訂正文では「現時点ではEssjayは実名がライアン・ジョーダンだと述べ、24歳で高等教育の学位は所有しておらず、教職についたことはないと述べている」とした。 2007年3月3日になり、香港大学の助教授で技術ジャーナリズムの主任およびメディア研究センター主任を兼任するアンドリュー・リー(Andrew Lih)はそのブログ上で、この問題に対するEssjayのコメントの中には『ニューヨーカー』誌記事の執筆者ステイシー・シフに対して「中傷および名誉棄損の強い疑い」("the dangerous domain of defamation and libel")があると述べた。リーの引用によれば、Essjayはウィキペディアの利用者会話ページに「しかも、彼女[シフ]は私の時間の見返りとしていくつかの提案をしたのですが、私はそれに対して、もし本当にそうしたいと思うのなら、代わりに財団に寄付してください、と返しました」と記していた。リーはこれに対して以下のようにコメントしている。 「 これはジャーナリストにとってもっとも深刻な告発にあたる。情報源に見返りを渡すことは、印刷ジャーナリズムの慣習では決してしてはいけないことだ。これを見てすぐに、ステイシー・シフを、ピューリッツァー賞受賞者で『ザ・ニューヨーカー』に執筆している彼女に対してこんな過ちを告発するなんて、まったく信じられないと思った。シフ女史の倫理に深刻な問題があるのか、Essjayの言葉にまた一つ怪しいものが加わったのか。 」 リーはまた、シフに連絡をとってEssjayに時間の見返りに支払いをするといったのか尋ねたと記し、これに対する彼女の返信メールを引用した。このメールでシフは、Essjayの主張は「まったくのでたらめ」("complete nonsense")だと述べた。
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