機能障害・設備の故障
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 06:17 UTC 版)
流入する汚水は主に生活系の排水であるため、施工が正しく行われていれば、誤った使い方や、設計した能力以上の水量、濃度での流入が無く、適正な維持管理が行われていれば、概ね性能を満たすことが出来る(機器、および内部装置の経年劣化、駆体破損等による障害を除く)。流入水量が設計水量以内でも、ピーク水量が多い場合水質の維持が困難な場合がある。また、流入水量が著しく少ない場合、汚泥の解体による透視度の低下や、処理水のpH値の低下を招く場合がある。 機器の不備、維持管理が不十分な場合機能を発揮できない場合がある。そのため保守点検は使用開始前から行う事とされている。また速やかに機能を発揮させるために、シーディング(種汚泥の投入)を行う事が必要である。 水量以外での機能障害で主に原因となるもの 家庭の場合での機能障害厨芥・油脂分の流入が多い(高負荷)、洗濯排水の流入が多い(発泡)、便器洗浄剤等薬剤の流入が多い(発泡およびpH値の低下および上昇)、ペットの糞尿(性能として、人の屎尿を処理するものとしている)・毛等難分解物質の流入、トイレットペーパー・生理用品等の大量流入(汚泥の堆積増加による詰まり) 事業所の場合での機能障害事業系厨房の厨芥の流入が多い、便器洗浄剤等薬剤の流入が多い、雑排水の流入が少ない、事業系排水の流入が多い(浄化槽法では一部の事業系排水の流入を認めている)。 その他機能障害となるもの事業所系統の用途で場合、最近のトイレでは節水便器を設置する傾向にあるため、浄化槽へ流入する屎尿のBODや栄養塩類濃度が高くなる傾向にあるため、雑排水の流入が少ない施設では、水質を維持することが難しい状況がある。 活性汚泥方式等の浮遊汚泥を処理に用いる場合、処理槽内に死水域が生じる場合、糸状菌が発生し(バルキング現象)処理機能の低下を引き起こす。 家庭や、医療施設、老人ホーム等では、雑排水使用量が多くなる傾向があり、処理能力以上の水が流入する傾向にあり、水質の維持が難しい状況がある。 医薬品の常用や、糖尿病患者などの屎尿が流入する場合、機能障害が発生する場合がある。 ミジンコ、サカマキガイ、ヒル(主にイシビル)等の生物が発生した場合、生物膜を食害する。また虫の幼虫(主にユスリカ蚊の幼虫等)が大量発生し、槽内配管内に詰まり、機能障害が発生する。 機器・駆体の損傷による障害 機器については、常時稼働する機器が多いため、5〜10年程度で故障等発生する場合が多い。 槽内配管については、槽内で発生するガス、汚水中に含まれる塩分等で10年程度で腐食、漏れが発生する場合が多い。 維持管理が不十分な場合、槽内設備(濾材、接触材、担体)等の詰まりから、押さえの破損による浮上、流出が発生する場合がある。 駆体については、樹脂製のもの(FRP等)は駆体そのものの劣化が進みにくいため30年程度は補修等の必要がないようであるが、外部よりの力(過重物の積載、地震、土圧、水圧など)が加わり、破損・変形が発生(漏水、隔壁の変形・破損、配管の脱落、勾配不良、浮上、沈下、水平の狂いなど)する例が認められる(東日本大震災では、震災による駆体の破損、浮上、沈下、および液状化による破損、浮上、沈下が多数認められた)。RC製については、特に腐敗式は、発生するガスにより、20年程度で内部コンクリートの劣化により、補修が必要になる傾向にある。 マンホールは、鋳鉄製の物は上部よりの過重による破損・変形、および発生するガス(消毒剤による塩素ガス及び、汚泥の腐敗による硫化水素等の腐敗性ガス)によりマンホール内側より腐食する場合がある。樹脂製の物は鋳鉄製同過重による物に加え、紫外線による劣化が発生する。
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