ハーバリウム
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ハーバリウム(herbarium)は、植物学において保存された植物標本の集積(植物標本集)を指す言葉である。こうした標本になっているのは、植物の個体全体または部分である。これらは乾燥処理が施され台紙に貼り付けられたもの(押し葉標本)が通例であるが、素材によってはアルコールや他の防腐剤に浸して保存されるもの(液浸標本)もある。
またいくつかの言語において「herbarium」は標本が所蔵されている建物や、所蔵するだけでなくそうした標本について調査をする科学的機関など、植物標本館を指す言葉でもある。こうした施設としてのハーバリウムは、通常植物園や博物館の重要な部門として設置されている。
ハーバリウムにある標本は、植物分類学に置いて、分類群や類型を調べる参考資料として不可欠ものであるし、その標本がタイプ標本(基準標本)である場合は種の定義の基準であるためなおさらその重要度は高い。
また、インテリア装飾性の高いガラス瓶とシリコンオイルや流動パラフィンなどを用いて、鑑賞目的で製作された植物標本もハーバリウムと呼ばれる。また、近年日本では植物標本に限らず、アート性の高いハーバリウムを製作する新しい技法が開発され、デザイナーズハーバリウム(Designers Herbarium)と呼ばれている。
作業
その形や色を保存するため、野外から採集された植物(の一部分)は、新聞紙の上に平らに広げて乾燥させる。その際、普通は吸取紙または吸収性のある用紙を間に挟み、植物圧縮機にかける。その後、標本は堅く白いシート(台紙)に貼り付けられ、その植物に関する記載、採集された日や標高、特殊な生息状況など必要なデータラベルが貼り付けられる。その後、このシートは保護用のケースに入れられる。昆虫類の攻撃に対する予防策として、押し葉標本にされた植物は凍結または毒が塗られて処理されるほか、ケースも殺菌消毒される。
植物の詳細な情報にはいつどこでその植物が採集されたのか、生育地、色(時間が経つにつれて色褪せるため)、そして採集者の名前が通例含まれている。
利用
植物標本集は植物の分類群の研究、地理的分布の研究、そして植物分類学上の学名を固定させる上で必要不可欠なものである。このため、植物標本には、その植物のできるだけ多くの要素を含んだものが望ましいとされる(花、茎、葉、種子、果実など)。植物学者としても有名なカール・フォン・リンネの植物標本集は、現在イギリスにあるロンドン・リンネ協会が所蔵している。
多くの大学や博物館、植物園は植物標本館を所有している。アメリカ合衆国の有名な植物標本館にはハーバード大学植物標本館、ワシントンD.C.・スミソニアン協会運営の国立自然史博物館にあるアメリカ合衆国国立植物標本館、ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館、ミズーリ植物園などがある。また標本館は分類学および分子系統学上利用される、植物のDNA情報源としても有益であることが明らかになっている。
関連項目
外部リンク
- Index Herbariorum(英語) - 世界のハーバリウムのデータベース。2023年3月1日閲覧。
- リンネ植物標本館公式サイト(英語)
- カリフォルニア大学バークレー校、大学植物標本館公式サイト(英語)
- 王立キュー植物園標本館公式サイト
- 東京都立大学 牧野標本館(日本語)
- 中央研究院植物標本館(HAST)公式サイト(中国語)
植物標本館(BEL)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 14:46 UTC 版)
「アルスター博物館」の記事における「植物標本館(BEL)」の解説
当館の植物標本(BEL)の基盤となる標本類は主に4つの起源があり、ベルファスト自然史協会(英語版)(1821年設立)、1863年設立のベルファスト自然史野外活動会(Belfast Naturalists'Field Club)、ベルファスト美術博物館(1905年設立)の旧蔵品に加えて1968年にクイーンズ大学植物学部の植物標本館(BFT)から買い取った蒐集品で構成され、総点数は10万点超。1830年以前のアイルランドの植物相に関する資料はほとんど収蔵しないものの北アイルランドの標本はよく網羅され、世界各地で収集した標本は寄贈や交換、購入によって得たもので、藻類 、地衣類、菌類、コケやシダ植物、針葉樹から被子植物まで、植物界のすべての類が揃う 。 当館最古の標本は藻類であり、1798年にジョン・テンプルトンが採取したBatrachospermum moniliforme (BEL:F41)のほか、標本番号BEL:F42-F47の資料は1815年にドニゴール県の「沼地」でやはりテンプルトンが採取し収蔵時に誤ってThorea ramoissimaと識別され、1841年にハーベイが初めて公表した。
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「植物標本館」の例文・使い方・用例・文例
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