普及と設備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 02:44 UTC 版)
かつてはホームシアターのための大画面を実現できる装置はプロジェクターや発売当初低輝度だったリアプロジェクションテレビに限られていた。映像機器ではレーザーディスクが登場し、音響機器ではドルビーサラウンドやドルビープロロジックの登場により、ステレオ再生からリアスピーカーが後ろ側に配置されたマルチチャンネルの再生が可能となった。しかし、スピーカー設置のハードルが高く、そのほかにも高価で大掛かりな設備が必要だったため、一般人には手の届かない娯楽であった。 1990年半ばに入るとDVDが登場する。DVDは家庭用VTRにはないデジタル記録による劣化の少ない映像、ドルビーデジタルによる、フロント左右、リア左右、センター、サブウーハーの5.1chのサウンド再生が可能であった。ドルビーデジタルより高音質のDTSというフォーマットもある。ドルビーより後発の規格であるため、初期の機器には未対応機種も存在する。そのため現状ではDVD・BDに両規格の音声が収録されることも多い。 2000年にプレイステーション2が発売されると状況が一変する。ほぼ同時期に5.1chシステムのセット商品が発売されるようになり、そこに大画面のプラズマテレビが開発され、液晶テレビの大型化と価格低下もあって、大画面・高画質の映像と臨場感のあふれるサウンドで、映画がより楽しめる環境を安価で構築することが可能になってきたのである。 テレビのデジタル化と共にHDMIが登場し、BDが登場する。BDでは高精細映像が実現され、音声規格もハイレゾにも対応出来るように拡張された。それに伴って、サラウンドスピーカーの数も増加。設置の手間も掛かるため、次善策としてテレビに組み込まれたバーチャルサラウンド機能を利用したり、サウンドバーを追加する場合は多い。この頃から徐々に一般にも浸透してきたが、日常生活で特に必要と言う訳ではないため、本格的な導入は作品鑑賞に高い関心がある一部の家庭に留まっている。 なお、これらの設備には様々な映像・音響機器が組み込まれ、付属する複数のリモコン取り扱いだけで、利用者を辟易させる。そのため、学習リモコンと呼ばれる機器で、一元的に操作できるように工夫する消費者もいる。これは機器によっては空調、照明といったリモコン操作を受け付ける設備すべてをコントロールすることができる物もある。ただ、多くの機器を操作できるようにするための設定に、結局専門業者の手を借りなくてはいけない場合がある。 特に業務用のシステムでは、一つのボタンで「遮光カーテンの開閉」「照明の調節」「音響・映像機器類の立ち上げ」「照明の上映状態への移行」「上映スタンバイ状態から映像ソースの再生開始」に加え、他のボタンで「上映終了後の照明やカーテンの制御」「機器の電源断」といった一連の動作を順を追って自動制御できるものがあり、全ての機器と室内環境の制御に、専用に設計された制御ボックスを利用する。これは電子工作の範疇で製作された一品物の制御ボックスがシステム内に組み込まれたものである。この業務用システムに倣い、家庭用システムでも制御ボックスを自作・あるいは発注して利用するケースも見られる。 近年では、スマホやタブレット端末にアプリをインストールして、システム導入の手間を省いたり、音声認識機能を導入して、操作の簡易化、一元化を図っている。
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