普及と応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/16 07:21 UTC 版)
RiPPsはアルカロイド・テルペノイド・非リボソームペプチド・ポリケチドなどに並ぶ、天然物の主要なスーパーファミリーの1つに数えられる。特徴として分子量の大きさが上げられ1,000Daを超えるものが多い。上記のようにゲノムからその存在を推測することが容易であるため新たな天然物が多く発見されており、有機化学的な修飾も比較的容易であるとみられている。そのため創薬分野での研究が進んでいる。RiPPsはリボソームによって合成されるペプチドであるが、分子量や不溶性の高さから、抗体薬のようなバイオロジックではなく低分子化合物として扱われる。 RiPPsは生物活性の広範囲さから様々な用途で利用されている。ナイシンは保存料として、チオストレプトンはグラム陰性菌に対する抗生物質として、ノシヘプチドやズラマイシンは飼料添加物として、ファロイジンはアクチンへの高い親和性から顕微鏡法においての染料として、アナンチンは心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体の阻害剤として利用されている。 RiPPsやその誘導体には臨床試験が行われているものもある。チオペプチドGE2270-Aの誘導体であるLFF571は、クロストリジウム・ディフィシレに因る偽膜性大腸炎治療薬において利用される抗生物質バンコマイシンの代替として、安全性や有効性を試験するフェーズ2まで完了している。同じ疾病に利用されるランチビオティクスの一種であるアクタガルディンの誘導体であるNVB302も臨床試験を受け、フェーズ1が完了している。ヅラマイシンは嚢胞性線維症治療薬としてフェーズ2まで完了している。 生物活性なRiPPsには他に以下のようなものが含まれる。抗生物質であるシクロチアゾマイシンやボトロマイシン、極狭スペクトルなプランタゾリシン、細胞毒となるパテラミドA、化膿レンサ球菌の生成する病原性因子であるストレプトライシンS。またサイログロブリンを基とした生化学合成経路から、甲状腺ホルモンもRiPPsの1つとして数えられる。
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