映画・ビデオ・書籍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 10:58 UTC 版)
音楽に関してはビデオやDVDでのライヴ演奏やスタジオ録音風景などの海賊版(DVDに関しては「海賊盤」も使う)も出回っている。その品質は全般的に正規品より劣る例が多く、テレビ番組のビデオソフト類に関しては放送を録画したのをそのままマスターに流用しただけという例も珍しくなく、中には正規版が発売される前に映画館で隠し撮りしたとされる映画版ソフト類まで存在するほどである。また、編集技術も粗雑な出来なものも多いので、消費者にとっても値段につられてこのような粗悪品を掴まされるリスクも大きく、ネットオークションでも海賊盤の疑いが強い出品物が多く確認される。 ウルトラセブンのオリジナルが数回目の再放送をした時点(1970年代初頭)で、その第12話が被爆者側からと言われる抗議により欠番となり、裏でテレシネされたものが徐々に出回っていった。当時は家庭用ビデオが出始めた時代であったため、画像や音質の悪い何度もコピーが繰り返された「海賊版ビデオ」がその後もファンやマニアの中で出回っていた。しかし、この英語バージョンが1990年代半ばから後半にかけて何度かアメリカ合衆国で放送され、そのコピーが日本へ逆輸入され、現在も「海賊版」として出回っている(詳細はスペル星人の項を参照)。 北米市場などでは、日本のアニメコンテンツなどの海賊行為を繰り返す人々には、金銭目的ではない別の理由があるという。コンテンツ内容の提供のされ方などがその理由に挙げられており、ファンサブに劣る翻訳の質の悪さであったり、コンテンツが数か月もの間遅れて提供されることなど、それらを不満に感じるユーザー間で多くの海賊行為が行われている。またコピーガードなどによりモバイル機器で持ち歩けない利便性の悪さなども理由の一つとされている。 コンテンツ自体がほとんど提供されていない国などもあり、そのような国ではファイル共有サイトを介してコンテンツの海賊行為が行われており、ビジネス上の失敗の裏返しである場合もある。 中国などでは日本の漫画をスキャンして無断で翻訳し販売する海賊版が横行していたが、近年では当局の取り締まりが厳しくなったことで店舗での販売は出来なくなり、ネットでの無断配信に移行した。 音楽作品としては、ビートルズの全映画作品中唯一正式発売されていない『レット・イット・ビー』が海賊版業者のターゲットとされていたが、これも2003年の時点で正式リリースが決定した。その他、ビートルズの映画作品以外の映像作品に関しては海賊版対策も含め『日本公演』『エド・サリヴァン・ショー』出演時の作品など次々に映像化されている。 映画やライヴ映像のビデオなどでもコピーガード付の製品が普及した。DVDは通常の専用機材では基本的にコピー不可能。 海賊版のビデオ作品にもコピーガードをつけたり、コピーガードごとコピーした製品が出回った例もあった。 日本国内取締り例としては、2005年初頭、各種映画を個人的に無断コピーしたDVDを、安価販売していた露店商が逮捕された。その後も、逮捕された例は後を絶たない。 当然ながら「書籍」や「写真集」などにも「海賊版」は存在しうる。例として宮沢りえの1991年の写真集『Santa-Fe』の海賊版が、当初、東南アジア一帯で出回ったことがあった。 海賊版ビデオソフトをレンタルビデオ店に売り歩く業者はカバン屋と呼ばれる。 また、インターネットの普及に伴い、テレビの放送番組を録画したものを、放送局、制作プロダクションなどの著作権者に無断でYouTubeなどの動画共有サイトに投稿する視聴者(ネット海賊版)も多くおり、一部の深夜アニメでは作品に無断アップロードをしないように呼びかける啓発字幕を出している他、日本民間放送連盟加盟局でも2015年2月からゴールデン・プライムタイムと原則として15分以上放送される深夜番組を対象に「番組をインターネットに許諾なく公開することは違法です。」とした啓発字幕を放送している。 さらに、インターネットの普及により、著作権者に無断で海賊版へ誘導させる、「リーチ・サイト」と呼ばれる一連のリンク情報サイトが存在し、それを運営する会社は広告収入を得ることができるようになっているが、2020年10月の著作権法の一部改正により、この「リーチ・サイト」については懲役5年以下などの罰則が設けられた。ただ、この「リーチ・サイト」行為は解消されてはおらず、2022年1月には大阪府在住の男の容疑者が、「無料映画クラブ」なる海賊版への誘導を目的として掲載した「リーチ・サイト」へ誘導し、興行会社の東映・東宝などの著作権侵害をしようとしたとして逮捕された例がある
※この「映画・ビデオ・書籍」の解説は、「海賊版」の解説の一部です。
「映画・ビデオ・書籍」を含む「海賊版」の記事については、「海賊版」の概要を参照ください。
- 映画・ビデオ・書籍のページへのリンク