日本の歴史上における嫡男とは? わかりやすく解説

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日本の歴史上における嫡男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 00:45 UTC 版)

嫡男」の記事における「日本の歴史上における嫡男」の解説

嫡男嫡子考え方日本生じたのは、律令制蔭位制導入由来する説があるが定かではない。この時には正室生んだ長男自動的に嫡子として扱われ蔭位において最優先位階授けられるになっていた。なお、この制度民間にも導入され戸籍にも記載されるになっていたが、当時未だに氏族単位行動することが多かった日本では全く定着せず、早くも奈良時代中期にはこの戸籍上の規定廃れていくことになったまた、嫡子定められてもそれによって他の兄弟に対して優位に立てか否か無関係であった極端な事例挙げれば平安時代初期延暦22年903年)、後に右大臣となった藤原北家藤原内麻呂嫡子定めたのは、当時北家嫡流藤原永手(内麻呂伯父)の娘が生んだ藤原衛で(『文徳実録天安元年11月5日条)、衛は10男で当時5歳対す長男藤原真夏は既に30歳従五位下中衛権少将1歳年下同母弟冬嗣も左衛士大尉であったその後、衛は当時貴族では異例24歳従五位下叙され恒世親王の娘(淳和天皇の孫)を妻に迎えた。だが、この時の右大臣異母兄の冬嗣であった当時太政大臣左大臣不在、また兄の真夏薬子の変失脚)。このため庶子とされた冬嗣とその子孫によって嫡子とされた衛は生涯圧迫され続け文章生選ばれるなどの異才持ち主ありながら正四位下右京大夫という低い地位没した。つまり、嫡子選ばれることで最初叙位などにおける効果はあっても将来保証を持つものではなかった。 平安時代後期蔭位制が意味を失っていくと、嫡子選択父親権限となり、その地位・財産を継ぐに相応し人物選択されるようになったその場合には母親身分出生順が考慮されたが、「立嫡」の儀式によって嫡男擁立する手続取られれば、正室次男以下や庶子継承もあり得た。なお、当時公家において嫡子の証とされていたのは、所領よりも日記公文書など代々当主継承されてきた記録類であった先例重視する公家社会ではその知識通じていることが宮廷官僚としての評価反映され、それが出世=家の繁栄直接つながったこのために、そうした記録類保持している事が結果的に出世優位に働くと考えられ公家は自らの嫡子定めた人物こうした記録類授けることでその社会的地位継承させようとした。 武家では、男子元服する際、太郎次郎生まれた順に沿って仮名をつける例があるが、嫡男太郎とし、嫡男同母弟が生まれた順に次郎三郎と呼ぶのに対して側室を母とする庶子場合嫡男より年長であっても嫡男をはじめ正室の子よりも下位仮名を使う例も見られ嫡男とその同母弟と庶兄弟との身分厳格であったまた、嫡男先に死んだ場合には、その嫡男である嫡孫伯父叔父にあたる嫡男兄弟達よりも優先的に後継者地位を得る事があった。 逆に側室の子であっても年齢や母の身分などを総合的に勘案し上で領主後継者として正当であると認められれば、これを嫡男と呼ぶこともあった。武家では、かつては正室生んだ全員による分割相続が行われていたが、南北朝時代頃から長子単独相続移行していった。「嫡男」の定義もこれに応じて変化したものと考えられている。 近世になると、将軍家大名家などでは代々嫡男に同じ幼名付け日本独自の習慣生まれた徳川将軍家の「竹千代」、加賀藩主前田家の「千代」など)。また将軍大名中国風に国主」「諸侯」などと呼ばれるうになるにつれ、そのまた嫡男呼び名にも中国風の「世子」が用いられるようになっていった。

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