日本の栽培種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 13:33 UTC 版)
栽培の歴史が長いことから、その土地ならではの伝統品種が多く、北部で丸・卵形の小・中型品種、中部が卵形・中長形の品種、南部では長形・大型品種が多い傾向がある。在来品種は東北の仙台長、山形の民田なす、京都の賀茂なす、大阪泉州の水なす、九州の大長茄子などがよく知られる。 東北・関東地方 民田なす(民田小なす) - 山形県鶴岡市民田に由来する江戸時代から続く伝統品種。果実は15 - 20グラムと小さく、辛子漬けなどに使われる。 早生真黒茄子 - 埼玉県草加市で発達した中長なす。やや小ぶりで、現在の中型なす交配品種の原型といわれている。 蔓細千成なす - 東京都 中部地方 やきなす - 新潟県豊栄市(現・新潟市北区) 十全なす - 泉州水なす系の一種で、昭和初期に新潟県中蒲原郡十全村(現:五泉市)で栽培したのが始まり。 深雪なす - 新潟県魚沼巾着系のナス。果実はやや大きめで、肉質が締まっている。煮崩れしにくい。 梨なす - 新潟県長岡市の在来種。巾着ナスより小ぶりで、漬物にされる。 ていざなす - 長野県天龍村 折戸なす - 静岡市清水区の伝統野菜で、2000年代に復活。初夢で縁起が良いとされる「一富士二鷹三茄子」と由来と伝わる。 奥三河天狗茄子 - 愛知県北設楽郡、奥三河で栽培されてきた伝統野菜。天狗の鼻のような奇形果ができやすく、長さ25 - 30 cmになる大型品種。 近畿地方 下田なす - 滋賀県湖南市下田地区で栽培され、小ぶりで軟らかく、あくがない。 杉谷なすび - 滋賀県甲賀市甲南町杉谷地区で栽培され、浅漬け・田楽・煮物などに使われる丸ナス。 高月丸なす - 滋賀県長浜市高月地区で栽培され、煮物・田楽・浅漬けなどに使われる丸ナス。 山科なす - 京都府(山科周辺) 賀茂なす(加茂なす) - 京都府の北山周辺で栽培される伝統野菜で、直径20 - 15 cm、重さ300グラムにもなる)。田楽・煮物などに使われる丸ナス。別名、大芹川(おおせりかわ)。 大和丸なす - 奈良県 水なす(泉州水なす) - 大阪府泉州地域で栽培され、水分の多い丸ナス。皮も身も柔らかく、アクも少ないので、浅漬けなどにして生食できる。大阪・泉州のぬか漬けが有名。 鳥飼茄子 - 大阪府摂津市 中国・四国・九州地方 田屋なす - 山口県(長門市、萩市)外観がよく、1本が500g以上のものが「萩たまげなす」。 十市なす - 高知県(南国市) 黒びかり博多長なす - 福岡県・博多野菜のひとつ。実は長くて35 - 38 cmにもなり、曲がりは少なく、皮が薄くてつやがある。生育旺盛で、低温期でも弱ることなく晩秋まで実をつける。 大長茄子 - 熊本県旧鹿本郡(山鹿市、熊本市)など九州地方で多く栽培されている。長さ40 - 50 cmと長大で、皮がかたいが果肉はやわらかい。焼き物、煮物、炒め物に向くが、皮がかたいため漬物には向かない。 赤なす - 長ナス系の早生種で熊本県の在来種。果皮が赤紫色で、果肉がやわらかく、種が少ない。焼き茄子に向き、漬物には向いていない。 肥後紫なす - 熊本の赤ナスから作られた大型品種。長さや太さがあり、やや赤味がある。アクが少なくてやわらかい。 佐土原なす - 宮崎県宮崎市佐土原町原産 薩摩白丸なす - 紫色の色素がなく、ヘタも実も淡緑色の大型の白丸ナス。皮はかたいが、加熱すると身は柔らかくなる。 鹿児島県白ナス - 鹿児島県で栽培されている白ナスで、在来種の薩摩白なすの系統。果実が薄緑色で「青なす」の名で売られている。果肉は白色で、とてもやわらかい。
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