日本の「面」と「ステージ」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/24 14:40 UTC 版)
「ステージ (コンピュータゲーム)」の記事における「日本の「面」と「ステージ」」の解説
日本で一般的な「面」という呼称の由来については、1978年にタイトーが発売したアーケードゲームで、社会現象を引き起こした『スペースインベーダー』に由来するという説がある。同作では、画面に整列したインベーダーを全て倒すまでが一区切りとなり、その後は同じ並びで一段下がって、難易度の上がった状態で再開されていた。このことからインベーダーを全て倒すことを「1画面消す」などと呼ぶようになり、そこからゲームの段階を「1画面目、2画面目」と呼ぶようになり、それを略して「1面、2面」となったというものである。ただ、この時点では「面」という表現はタイトーが公式に使ったわけではなかった。ところが、1980年秋に発表された『インディアンバトル』のチラシには、「2面、4面、6面と、2段階おきにクリアするごとに投縄のパターンが現れ」という文章が出てきており、「面」という表現が一気に広がっていたのがわかる。 この時期のアーケードゲームのチラシや、筐体に添えられたルールの説明書きを見ると、メーカーごとに言葉の好みのようなものがみられる。「面」にあたる表現については、たとえばセガは1980年の『侍』や『トランキライザーガン』では「ラウンド」を使っていた。またタイトーは「パターン」をよく使っていた。一方、早いうちから「面」を使っていたのが任天堂で、1979年夏発表の『モンキーマジック』のチラシには「面数がふえると」との表現があるほか、『ヘッドオンN』のチラシにも、「1DOT(点)消すごとに5点、2面全部消すごとに点数が増加し」とある。ナムコにおいては、1979年秋発表の『ギャラクシアン』と1980年夏発表の『パックマン』のチラシを見ると、面数を示す画面右下の旗やフルーツを「クリア数」としている一方、『パックマン』の仕様書では、この画面右下のフルーツを「ラウンド表示」と説明している。またこのすぐあとの1980年秋に出た『タンクバタリアン』では、各面の開始時に「ROUND 1」などと表示される。 「ステージ」という言葉を「面」にあたる表現として最初に使用したのは、ナムコが1981年9月に発売した『ギャラガ』とみられる。それ以前の他社のアーケード作品には見られず、厳密に世界初かは不明だが、最初期のものには違いない。なお、1980年秋に登場したナムコの『ラリーX』では、「チャレンジングステージ」というものがあったが、ゲームとしての区切りはあくまで「ラウンド」であった。コナミも1982年夏発売の『ツタンカーム』で、早くも「STAGE」を使用している。コナミでは遡る1981年の『アミダー』において、ボーナス得点のチャンスで「BONUS STAGE」と表示され、これはビデオゲームにおける「ボーナスステージ」という表現のかなり早い例とみられる。1980年代中盤以降、作品中のステージ名に関わらず「ボーナスステージ」という表現が定着していく。 「ステージ」という表現の登場はかなりインパクトがあったらしく、 「面数を「STAGE」という言葉で表すのを見て、当時ずいぶん驚いたのを覚えています。「こんなかっこいい呼び方が許されるのか!」というくらい新鮮でしたね。」 — 見城こうじ、「ビデオ・ゲーム・グラフティ」、「マイコンBASICマガジン」1989年6月号 といった意見もある。シューティングゲームの金字塔『ゼビウス』(1983年)で使われた「エリア」という表現は、『スターフォース』(1984年)をはじめ、後にいくつものシューティングゲームでも採用されており、『ゼビウス』の影響とも思われる。アーケードゲームの雑誌記事によれば、1980年代後半にはすでに「ステージ」が最有力で、「ラウンド」はその次であったようである。 英語の「stage」には、「舞台」や「劇」の他に「段階」や「過程」といった意味があり、様々な場面を進んでいくゲームにはより適しているとも言える。アーケードでは1985年の『魔界村』や『スペースハリアー』、家庭用では1986年の『悪魔城ドラキュラ』に1987年の『ロックマン』など、高い人気を得た話題作のいずれもが「ステージ」を採用していた。『ロックマン』では、挑戦するステージを自由に選べる「ステージセレクト」という要素もあり、後に影響を与えた。一方の「round」には、「円形」や「丸い」といった意味の他に「一周」といった意味があり、ボクシングなどに見られる「1戦」といった使い方もあり、同じような展開の繰り返しに向いているとも言える。特に『ストリートファイターII』より始まる、1990年台の対戦型格闘ゲームの大流行において、「~本勝負の内の1戦」という使い方で定着した。対戦格闘において「ステージ」は、「戦う場所(背景)」という意味で主に使われるようになった。『ファイアーエムブレムシリーズ』に代表される「シミュレーションRPG」と呼ばれるジャンルでも、ストーリー上の区切りと言えるマップを「面」や「ステージ」と呼ばれていることが珍しくない。
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