手術プロセスと臨死体験の詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 05:49 UTC 版)
「パム・レイノルズの臨死体験」の記事における「手術プロセスと臨死体験の詳細」の解説
午前7時15分、手術室に運び込まれた時点ではパムは覚醒しており、点滴をたくさん打たれたことを覚えていた。麻酔薬が打たれるとパムの意識は喪失した。パムの身体は手術台に固定され、両目は乾燥を防ぐためにテープで閉じられた。ここからパムの脳波は継続的に測定され、脳幹の機能の有無を調べるために両耳には100デシベルの音を生じさせるイヤホンがはめこまれた。 午前8時40分、医師や看護婦、麻酔医や人工心臓ポンプ技師たちが入室し、手術が開始された。パムの頭は剃髪され、スペッツラーによるメスで切開された。そしてモーターが内蔵された「骨のこ」がパムの頭蓋を切り取り始めた。 一方その頃、パムの意識は「スペッツラーの肩に座って」手術室全体を眺めていた。「骨のこ」の音を聞いた事により覚醒したパムの意識は、いつのまにか頭部から抜け出していた。パムは看護婦が自分の髪の毛を剃る場面や手術で使用中の「骨のこ」の刃が交換されるシーンを観ていた。 スペッツラーは頭部の切開を終えた後、顕微鏡を用い頭蓋内の手術を始めた。その間、女性の心臓外科医がパムの右鼠径部の動脈と静脈を探し当てた。しかしその血管はバイパス装置に繋ぐためには細すぎる事が判明した。 同時刻、パムは「女の人の声」が、パムの静脈と動脈が細すぎる、と話すのを聴いていた。その血管と繋ぐための心肺バイパス装置も目撃していた。 午前11時、パムの身体の冷却が始まり、体温は摂氏14度まで低下した。5分後にパムの心臓は完全に停止し、同時に脳波も平坦になり、脳幹の機能も低下し始めた。 午前11時25分、イヤホンから発する音への聴神経反応が消失したため、脳幹の機能も停止した事が確認された。そしてパムの身体からは血液が抜き取られた。 その頃、パムは祖母に呼ばれたように感じ、意識を上昇させ始めた。トンネルのような場所を通り抜けたパムは「信じられないほど明るい」光と遭遇した。その中には光で形作られた人々がおり、そのうちの一人が祖母であった。また伯父や祖父など、仲の良かった親族数人と再会した。パムはそれ以上、光の中に入っていけないような感覚に襲われた。親族がパムに光るような養分を与えると、パムは元気を取り戻し始めた。 手術室では、スペッツラーがパムの動脈瘤を切除し終え、温められた血液がパムの体内に再び注入され始めた。すると、すぐに脳幹や脳波は反応を示し、最初の生命兆候が知らされた。 午後12時、パムに心室細動が起きたため、除細動器による電気ショックが行われた。 その頃、パムは仲の良かった伯父に連れ添われ、トンネルの入り口に戻った。するとシーツがかかっている自分の身体が見えた。身体は死体のように見え恐ろしかったが、伯父に押し出されたパムは「氷水のプールに飛び込むように」自分の体の中に飛び込んだ。 午後12時32分、パムの体温はまだ低かったが、生命を維持できる程度には上がっていた。パムの身体からチューブや計器類が引き離され、手術は完了しようとしていた。病院内では「ホテル・カリフォルニア」の音楽が流れ始めた。身体の中に戻ったパムの意識は「ホテル・カリフォルニア」の最後の一節を肉体の耳で聴いた。 スペッツラーの手術報告には「午後2時10分、患者は挿管されたまま回復室に運ばれたが、状態は安定している」と記されている。 パムは幻を見たのだと思い、手術回復後に周りの者にジョークとして話を聞かせた。家族の者は皆笑っていたが、同時に話を聞いていた医師や看護婦、麻酔専門医の表情は硬く「それは幻覚ではないよ」とパムに告げた。
※この「手術プロセスと臨死体験の詳細」の解説は、「パム・レイノルズの臨死体験」の解説の一部です。
「手術プロセスと臨死体験の詳細」を含む「パム・レイノルズの臨死体験」の記事については、「パム・レイノルズの臨死体験」の概要を参照ください。
- 手術プロセスと臨死体験の詳細のページへのリンク