戦後の地政学批判と地政学史研究とは? わかりやすく解説

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戦後の地政学批判と地政学史研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:59 UTC 版)

地政学」の記事における「戦後の地政学批判と地政学史研究」の解説

敗戦直後小牧江沢国内地政学者多く公職追放処分にあった。しかし、追放解除後には多く学界復帰し戦後においても影響力持ち続けた。このことは、国内において地政学タブー視され、地政学対す学問的検討批判すらはばかられる原因となった。この時期地政学批判は、飯塚浩二によって行われた飯塚1947年に『地政学批判』を上梓し、地政学ロマン主義彩られ国家有機体説地理的決定論形骸にほかならず、「主観的希望的判断への誘惑から自己を守るために十分に武装していなかった」と述べた。さらに、飯塚は、ハウスホーファー自殺について「少くともこの『使徒』の生涯にあってはゲオポリティクが、その亜流に於ける如くに、処世のポリティクではなかったことの証拠とみたい」と記述し、「非常時意識の下に我が国行われた精神乃至思想動員の全過程が、ナチ独逸に於ける如く真理客観性への挑戦というような苛烈な形にまで突き詰められるどころか極めて妥協的に『日本古来』の価値体系強調という単純な線に沿って益々進められ事実所謂東亜新秩序理念として提唱されたところの『八紘一宇』の教義が、家族主義或いは家族国家理念そのまま空間的に推しひろげたものに過ぎず、その神話的内容をついに近代科学用語によって世界向かって説明することが出来ぬような性質乃至は段階のものとして終わったという事実」についても批判した戦前日本地政学本格的再検討は、1970年代後半始まった。この契機になったのは、当時経済地理学に対してマルクス主義地理学英語版)の観点から、方法論一部地政学類する概念復活しているという批判なされたことである。竹内啓一は「現代的課題として地政学批判展開するためには、事実確定前提作業が必要である」として日本地政学史の研究嚆矢放ち、これに触発される形で戦前戦中における地政学実態解明進んだ1990年代に入ると冷戦終結によるイデオロギーからの解放大半地政学者逝去一部地政学者回顧録出版インタビューへの応答戦前資料の発見などにより戦前地政学ニュートラルな視点からの再検討はじまった。たとえば、福嶋依子は、1970年代研究同時代地理学批判急なあまり、学説それ自体研究おろそかになっているという問題意識から、江沢譲爾学説再検討した。2020年現在において、戦前地政学研究は、単に当時の学説妥当性や、侵略戦争への加担批判するだけではなくそうした言説生産され支持される至った背景と、その社会的な影響同時代的な視点から解明しようとしている。

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