平板測量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 08:16 UTC 版)
狭い地域の等高線地図を作成するための測量。三脚の上に平板・図面を設置、アリダードを用いて測点を目視し、図面上に実際の地形を記述する。雨や風に弱いが、内業を行う必要がない。最近ではトータルステーションの普及により、あまり使われることがなく、測量士試験・測量士補試験では平成20年度より問題から削除されているが、高校等の実習で放射法などの基礎を学ぶために使用されることは多い。 局地的な狭い地域の平面測量には、器具も操作も簡単な平板測量が便利である。現地の地形を対象としながら、直接紙上に図化していくために必要な測量を忘れることがなく、また測定に誤りがあればすぐに発見でき図面の正確さを確かめながら作業ができる。欠点としては見通しのきかない場所では効力が発揮できず、外業が多いため天候条件に大きく左右され、また結果も精密さに欠けるところがある。 補助用具としては測量針(マチ針)、その他、作図用具の三角定規、三角スケール、鉛筆、消ゴム、ナイフ、メモ用ノートなどがいる。 測量作業を始めるにあたっては、準備作業が必要である。区域全体について境界や地形を調査して、現地の概略の見取図を描く、最も能率よく実施できる測点の位置を選定し、測量杭(鋲)を打つ、作業の手順を計画する、など。その他、土地所有者の了承を得たり、必要な手続きがあれば済ませる。 平板の据付けについて、平板据付けの3条件というのがあり、一般に定向、致心、整準の順に誤差の影響が大きい。 致心(求心)は、他上の測点と平板上の測点とが同一鉛直線中にあるようにする操作で、前述の求心器および錘球によって行う。実際の作業では、次の定向操作とは互いに影響し合うので、この2つの条件を同時に満足させるためには、何回か並行して操作を繰り返すことになる。 平板を何回も据え替えて測点を移動する間、常に平板の方向は最初に据え付けた方向と同一でなければならな。その方法としては、磁針によってもよいが、精度を考えると、据え替える前の測点とを結ぶ方向線に沿わせてアリダードの定規縁を合わせ、視準板の見透線を利用してその測点に立てたポールを視準しながら平板を回転させて方向を正す方法が確実である。 整準は、平板を水平にする操作である。脚頭の3本ある整準ネジのうち底辺に当する2本のネジを結ぶ方向と平行にアリダードを置き、この2本の多準ネジを操作して気泡を中央に導き左右方向の水平を正す。左右のネジは互いに反対の方向に回し、気泡は左手親指の回す方向に動く。次にアリダードを今の方向と直角に置きかえ、残りの整準ネジ1つを用いて縦方向の水平を正す。以上の操作を数回繰り返し調整する。整準は標高差のある区域を何回も据え替えて移動するとき、影響が大きく現われる。 日本初の平板測量図は、第2次フランス軍事顧問団のヴィエイヤール指導による、1875年の日本陸軍による『習志野原及周回邨落圖』であるとされている。
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