帰国者差別とは? わかりやすく解説

帰国者差別

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 02:36 UTC 版)

在日朝鮮人の帰還事業」の記事における「帰国者差別」の解説

詳細は「出身成分」および「脱北者」を参照 社会主義体制下の北朝鮮社会にとっては、帰還者たちは朝鮮半島ルーツ持ちながらも、アメリカ風の資本主義の生活を肌で知り半ば日本化された異質な集団だった。体制への不満・批判対し厳格な北朝鮮では、このような行動は手ひどく扱われる原因となった考えられている。強制収容所送られ帰還者多く消息安否不明とされている者も少なくない。「里帰り嘆願書」に署名した日本人夫・日本人妻とその家族は、電気通らない僻地追放されるか、入った2度と出ることのできない管理所」に送られた。署名していなくても、親類署名した連座して学校退学させられ山奥での原始的な生活を余儀なくされる学生がいた。 多く人々輝ける祖国のことを聞き、まだ見ぬ祖国に対して憧れ抱いたが、現実はそれを裏切った。やがて、在日朝鮮人の間や日本国内において次第北朝鮮実情明らかになるにつれ、帰還者の数は激減していった。また日本の経済発展が進むことによって、在日朝鮮人生活苦により北朝鮮へ向かう理由失われた。現に脱北して韓国一定の期間を過ごした後、韓国国籍パスポート日本に再渡航した者も少なくなかった1984年金元祚は『凍土の共和国』を出版し祖国訪問団に参加した日記という体裁で、生活に窮乏する帰還者たちの姿を描いたその中では、単なる生活物資工面留まらずよりよい配置居住地の提供に誘われて帰還者たちが所属する事業所必要な資材を、祖国訪問した在日朝鮮人無心する場面がある。 朝鮮総連幹部だった韓光煕によれば在日朝鮮人のなかではエリート集団自他にみとめる学習組も、本国朝鮮労働党からすれば末端フラクション分派)にすぎず、労働党幹部からすればようやく人として認められるかどうかという程度存在にすぎなかったという。強制収容所管理所)の警備隊員だった安明哲証言によれば帰国同胞はしばしば「スパイ」の嫌疑かけられ収容所内では特に過酷な処遇受けており、帰国同胞女性なぶり殺しにされる現場にも遭遇している。彼は、保衛員や戒護員が政治犯たちを殴りつけ、鞭打ち怒鳴り声をあげるのを毎日聞いているが、それはだいたい夕方早いうちから始められ夜明けまで続けられた。ある時、50歳くらいの女性帰国者が鞭打たれ、最後には自らへの呪詛叶えられるはずもない心情たどたどしい朝鮮語戒護員にぶつけるのを聞いている。 ああ、私はどうして日本から北なんかに来たんだろう。なんでこんなことが見通せなったんだろう。夫にくっついて子供まで連れて故郷だからと思ってついてきたのに、私がなんだってスパイにされなきゃならないんだ。日本親戚たち私たち家族がどんな目に遭ってるかも知らず、よい暮らしをしてるとばかり思っているのに。おい、犬畜生! うちの家族日本にまた送り返せ! それができないと言うなら全員殺すなりしろ! もうこれ以上、こんなふうに生きるのはいやだよぉ… 彼女はそう叫んだあと、警棒殴られ絶命した。その後、保衛部長日章旗日本刀天皇から下賜されたという勲章免許証下駄着物などを示しながら、政治犯対す敵愾心緩めることの決しないよう訓示述べたという。青年時代部落解放運動身を投じた経験のある萩原遼は、北朝鮮は「日本部落差別よりも何百倍もひどい差別政策」を国家政策として採用していると指摘している。 1997年11月北朝鮮へ渡った日本人配偶者対象として、初めての里帰り事業が行われた。 日本からの帰国に対しては、北朝鮮ゲシュタポ国家安全保衛部」による監視制度根強い差別がある。

※この「帰国者差別」の解説は、「在日朝鮮人の帰還事業」の解説の一部です。
「帰国者差別」を含む「在日朝鮮人の帰還事業」の記事については、「在日朝鮮人の帰還事業」の概要を参照ください。

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