帝国国策遂行要領の決定とは? わかりやすく解説

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帝国国策遂行要領の決定

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 13:58 UTC 版)

日米交渉」の記事における「帝国国策遂行要領の決定」の解説

9月3日、「帝国国策遂行要領」の陸海軍案が大本営政府連絡会議提出された。しかし、及川海相案文異議唱えたため、結局外交交渉により十月上旬頃に至るも尚我が要求を“貫徹し得る目途なき”場合に於ては直ち対米開戦を決意す」との修正加わり交渉継続余地を残すような表現となった(『機密戦争日誌』には「之により本案骨抜きとみるべし。十月上旬に於て更に大なる議論なるべし」と記されている)。 審議過程で、永野修身軍令部総長日本物資減りつつあり、これに反し敵側はだんだん強くなりつつある、今ならば戦勝チャンスがあるが、時とともになくなる恐れがある述べ杉山参謀総長動員などで時間がかかるので戦争準備完了目途10月下旬とし、なるべく早く決意したいとした。 この戦争準備10月下旬とする理由については、「九月六日御前会議質疑応答資料」によると、 石油備蓄多くて2年で、時日経過とともに戦争遂行能力低下すること 米国の海空軍が時とともに飛躍的に向上すること、特に来年以降米海軍軍備日本海軍凌駕すること 北方作戦(対ソ戦)は冬期大きな作戦至難で、この期間に速やかに南方作戦終え明年以降北方作戦備え必要があること の3点挙げられている。ちなみに戦争見通しについては「質疑応答資料」には次のようにある。 「対英米戦争長期持久移行すべく、戦争終末予想すること甚だ困難にして、とくに米国屈服求むることは先ず不可能と判断せらるるも、我が南方作戦効果大なるか、英国屈服等に起因する米国世論大転換により、戦争終末の到来必ずしも絶無にあらざるべし」 なお、「帝国国策遂行要領」には、別紙として、「対米(英)交渉に於て帝国達成すべき最小限度要求事項」がつけられていた。 米英日本支那事変理に容喙または妨害しない日華基本条約及び日満三国共同宣言により事変解決せんとする企図妨害しない ビルマ公路閉鎖し蔣介石政権対し軍事的政治的経済的援助をしない 米英極東において軍事的増強行わない 米英日本所要物資獲得協力する これらの要求応諾された場合日本は以下の約束をする。 仏印基地として支那以外の近接地域武力進出しない 公正な極東平和確立後、仏印より撤兵する フィリピン中立保障する (附)欧州戦争対す態度は、防護自衛観念により、又米国欧州戦争参戦場合三国条約対す日本解釈及び行動専ら自主的に行う。ただし、三国条約に基く日本義務変更しない これらの外交条件は、経済制裁受けて窮地ある日本としては明らかに過大要求であり、アメリカにとっては受け入れがたい内容であった。しかし日本としても欧米帝国主義囲まれている中での最善のあがきであった連絡会議は僅か1回7時間の審議案文可決し9月6日御前会議において「帝国国策遂行要領」は正式決定となった。なお、御前会議では、昭和天皇異例発言を行う一幕があり、明治天皇御製読み上げて統帥部に外交が主で戦争は従であると釘を刺した(ただし、天皇案文自体への干渉避けている)。

※この「帝国国策遂行要領の決定」の解説は、「日米交渉」の解説の一部です。
「帝国国策遂行要領の決定」を含む「日米交渉」の記事については、「日米交渉」の概要を参照ください。

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