終末の到来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:08 UTC 版)
「ダニエル書」で像を砕く石を象徴として描かれた4番目の世界帝国崩壊と「神の国」実現の様子は、新約聖書の「手紙」・「ヨハネの黙示録」でそのありさまが描写され、これが普遍史第4期に当たる。終末が近づくと7つの封印が解かれ、続いて天使によって7つのラッパ(黙示録のラッパ吹き)が吹かれ、その度に天変地異が起こる。例えば第3のラッパが鳴ると「ニガヨモギ」という名の星が墜ち、水の1/3が苦く変化してたくさんの死者が出るとある(第8章、11)。1986年に起こったチェルノブイリ原子力発電所事故の際、「チェルノブイリ」が「ニガヨモギ」と訳されたことから、ヨーロッパでは終末が近いと受け止めた人々もいた。 この次々と封印が解けラッバが響く間、「黙示録」ではさまざまな存在が登場する。太陽を纏い月を踏み12の星を飾る冠を被る「女」を、七頭十角の赤い竜(黙示録の獣)が襲う(第12章)。さらに十角七頭の獣と二本角の獣(第13-14章)、最後に十角の赤い獣に乗る「大淫婦」が現れる(17章)。そして、7番目のラッパが吹き鳴らされた時、赤い獣と大淫婦は滅び、再来のキリストと「千年王国」がこの世に現れる。人々には最後の審判が下り、選ばれた者たちは神の国に受け入れられる。こうして終末は到来し、永遠の救済が約束された神の国ではよもや歴史がこれ以上刻まれることは無い。 この「ヨハネの黙示録」は、ユダヤ人やキリスト教徒に弾圧を加えたローマ帝国11代皇帝ドミティアヌスが在位した1世紀末頃に成立した黙示文学である。迫害に耐える教徒たちは、ローマ帝国の崩壊とともに訪れる再来のキリストと救済を熱望し、本書を残した。しかしながら登場するさまざまな存在が何を意味するかについては、黙示録の中には書かれていない。
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