岐阜県指定金融機関論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 22:18 UTC 版)
「大垣共立銀行」の記事における「岐阜県指定金融機関論争」の解説
岐阜県では、度々県の指定金融機関の見直しが話題となる。端的に言えば、指定金融機関に大垣共立銀行を加える事への可否である。指定金融機関制度が始まった1964年以来、岐阜県の指定金融機関は十六銀行単独(大垣共立は指定代理金融機関)であるが、これを大垣共立銀行を加えた輪番制ないし並立制にする事は同行の悲願であった。 この為、積極的な働きかけにより、岐阜県庁内や県議会・西濃地区選出議員を中心に「指定金融機関を輪番制にすべき」との議論が常々あったが、当時、大垣共立銀行は飛騨地方に店舗網を有しておらず、店舗の網羅性の観点がネックとなり立ち消えとなっていた。 こうした中、1999年(平成11年)12月、大垣共立銀行は、高山市に支店を開設し飛騨地方に進出、2000年(平成12年)10月には郡上信用組合(郡上市)を合併したことで、岐阜県内における店舗網も拡充し、また同時期、十六銀行経営層と岐阜県庁職員幹部の間で関係の齟齬が生じていたこともあり、再び指定金融機関の見直し議論が活発化した。 おりしも、当時はペイオフ解禁後の公金保護策が各地で検討され、岐阜県でも1964年(昭和39年)の指定金融機関制度導入以来続く、十六銀行への単独指定を見直す方針を打ち出した。2001年(平成13年)には、桑田宜典副知事(県庁職員出身)を会長とした「金融問題研究会」(研究テーマは制度融資・資産運用・指定金融機関の在り方で、現在は解散)から“指定金融機関を見直し、複数の金融機関が一定期間ごとに交代する輪番制にすべき”との提言が出された。 大垣共立銀行を指定金融機関に加える事に関しては、支持する側は次の3点を挙げる場合が多い。 大垣共立銀行は財務内容・規模共に十六銀行と極端な大差がある訳ではない。 輪番制にすることで競争原理が働き、県に対する金融サービスが向上する。 大垣共立銀行は東海信用組合・郡上信用組合の救済など県の金融秩序安定に貢献している。 なお、新たに指定金融機関を加える議論では、大垣共立銀行だけでなく資金量2兆円規模を持つ岐阜信用金庫も挙げる場合もある。ただし、都道府県から信用金庫が受託した事例はこれまで無い。 また、実際に、指定金融機関を見直すには、県側にもシステム変更の負担があり、銀行側にとっても指定金融機関受託に関しては地方自治体からの要求が厳しく、金融自由化の流れの中で利益的なうまみは殆ど無いとされる。この論争は、行政への協力を引き出したい岐阜県の思惑と、大垣共立銀行と十六銀行の“面子をかけた争い”の側面も否定できない。 なお、金融問題研究会の答申が出た2001年(平成13年)当時の梶原拓岐阜県知事は、選挙時の選対本部長に当時の十六銀行頭取(岐阜県商工会議所連合会長の立場で就任)が就いていた事もあり、指定金融機関の見直しは否定的であった。また、見直し推進派であった猫田孝県議(自民党岐阜県連幹事長・大垣市選出が郵政解散後、一時自民党を離党(2007年1月復党)した影響もあり、2006年(平成18年)現在特段議論の進捗は見られなかった。なお、古田肇岐阜県知事(同じく知事選時の選対本部長は、岐阜県商工会議所連合会長の立場で十六銀行頭取)は県の指定金融機関の見直しについては明確に否定していた。 2011年(平成23年)10月には岐阜県議会において、岐阜県最大会派の県政自民クラブより指定金融機関の交代制導入が岐阜県知事に対して提言された。自民党岐阜県連の猫田幹事長は、知事が同提言に賛同しなければ次の知事選で現知事を支援しない考えを示唆していた。 長らく論争が続いてきたが、2013年(平成25年)10月10日、開催中の県議会において最大会派県政自民クラブなどの全会一致の可決から、2015年度以降(当面5年間)、指定金は大垣共立銀へ交代することとなった。これに伴い、2014年10月20日、岐阜県庁舎2Fの正面玄関ホール東側に「ぎふ県庁支店」が開設された。そして2015年4月1日から、1年半、1億5000万円の時間と経費を掛けて準備を進めてきた県指定金の受託を開始した。
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