手数料問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 07:39 UTC 版)
指定金融機関をめぐる手数料の問題とは、指定金融機関としての業務を金融機関が行うために生じる費用に対して、地方公共団体が支払う手数料の額が釣り合わず、不採算となっていることを指す。 例えば、指定金融機関が納付書や口座振替による収納を行っても、地方公共団体が支払う手数料は無料か1枚(件)当たり10円以下であるのが一般的という状況が続き、このような手数料では収納手数料部分だけを見れば明らかに採算割れの状態になる。 この問題の端緒は、指定金融機関の制度が設けられた昭和39年の契約書において、経費はすべて金融機関側の負担にすると明記したことにあるとされている。 かつては、地方公共団体の指定金融機関になることは、地域における信用力を補完し、またコストをかけずとも、巨額の公金預金や地方債引受が確保できることなどから、各金融機関とも指定獲得競争を展開した。2000年以降になっても、岐阜県のように指定金融機関を巡って地域銀行間が競争をする事例や(大垣共立銀行#岐阜県指定金融機関論争)、北九州市のように2行輪番制としていたところにさらに2行が参加して4行輪番制となる事例、長久手市(愛知県)のように他の金融機関よりも手数料を値引きして新たに指定金融機関となることを希望する金融機関が現れた事例もある。また、福岡県では、1998年に麻生渡知事が指定金融機関である福岡銀行から政治献金を受けて問題になったことがある。 しかし、1990年代以降の金融自由化の流れの中、公金預金や地方債引受は複数の金融機関による金利競争が常態化し、指定金融機関業務はかつてほどの利益的な旨みをもたらさず、収納業務等でコストばかり掛かるとして、各銀行で業務見直しが進められた。 都道府県の9割・全地方公共団体の6割にて指定金融機関を受託している地方銀行は、収納代行・出納事務で全64行合計で年間1000億円の支出を余儀なくされており完全な赤字である。これは、地方公共団体が金融機関に支払う各種の手数料が、無料か安価なものになっていることに原因がある。全国地方銀行協会は、2000年に「今後の地方公共団体との取引のあり方」(要望)をとりまとめて、見直しの必要性を指摘し、それ以降も地方公共団体5団体に対して手数料等の見直し(値上げ)を繰り返し要求するようになった。 もっとも、収納業務(基本的に指定金融機関は地方公共団体の庁舎に行員等を派遣しなければならない)等で、地方公共団体より手数料を徴求する動きはある[要出典]ものの、実際に銀行が都道府県及び政令指定都市レベルの指定金融機関返上を行った事例はない[要出典](平成の大合併において、旧市町村の指定金融機関がその獲得に動かず、新設合併の結果、設定されずに事実上返上となった事例は多々ある)。[要出典]
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