岐阜県庁舎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/14 10:40 UTC 版)
岐阜県庁舎(5代目) | |
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情報 | |
用途 | 岐阜県行政・立法の中枢施設 |
主構造物 | 行政棟、議会棟 |
設計者 | 日建設計・大建設計・岬建築事務所JV |
施工 | 行政棟:前田建設・大日本土木・TSUCHIYA・岐建JV 議会棟:前田建設・大日本土木・TSUCHIYA・青協建設JV |
建築主 | 岐阜県庁 |
事業主体 | 岐阜県庁 |
管理運営 | 岐阜県庁 |
構造形式 | 行政棟:鉄骨造、免震構造(一部耐震) 議会棟:鉄骨造、耐震構造 |
敷地面積 | 158,561 m²[1]
※公園等含む
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建築面積 | 10,949.21 m²[2] |
延床面積 | 82,257.47 m²[2] |
階数 | 行政棟:地上21階・塔屋2階 議会棟:地上6階 |
高さ | 106.19m(軒高:105.39m)[2] 鉄塔を除く[1] |
着工 | 2021年7月1日[3] |
竣工 | 2022年12月16日[4] |
所在地 | 〒500-8570 岐阜市薮田南2丁目1番1号 |

岐阜県庁舎(ぎふけんちょうしゃ)は、岐阜県岐阜市にある岐阜県庁の庁舎。
現在の庁舎は5代目である。
概要
現在の5代目庁舎は4代目県庁舎の東側に建設され、2022年(令和4年)12月16日竣工。2023年(令和5年)1月4日に開庁した[5]。行政棟と議会棟からなる。
行政棟は地上21階建て・塔屋2階建て。軒高105.39m、最高高さ106.19m[2]。建築面積は7,637m2。延床面積は68,329m2。1階には岐阜県の地場産品を展示したり、岐阜県の自然、文化、歴史などを映像で紹介する「GALLERY GIFU」、500人を収容する「ミナモホール」があり、20階には展望フロアーの「清流ロビー」がある。また、外装にはタイル(多治見市などが生産地)、内装にはヒノキ(飛騨地方や東濃が産地)、美濃和紙が使用されている[1]。
行政棟の建設費は約414億円で、春や秋の室温が高い日には外気を取り入れて冷房の代わりにする省エネルギー設計としていたが、供用開始直後から9~16階の換気設備近くで勤務する職員が隙間風で寒いと訴え、112カ所にウレタン樹脂を吹き込む応急措置が施された[6]。
議会棟は地上6階建てで高さ32m、建築面積は3,312m2、延床面積は13,929mである2[1]。
庁舎の建設に合わせて庁舎周辺も整備され、庁舎前に整備された公園は「ぎふ結のもり」として2022年(令和4年)7月16日に開園した[7]。職員用立体駐車場建設のため2018年(平成30年)3月に閉鎖された県庁バスターミナルは開庁に合わせて庁舎横に新設された[8]。
1階の売店(ファミリーマート)及び2階の食堂は来庁者が誰でも利用が可能である。また、2023年(令和5年)4月1日に1階に開園した「ぎふっこ保育園」は事業所内保育事業(認可保育園)であり、従業員枠(県職員)と地域枠(岐阜市在住者)の幼児の入園の申し込みが可能である[9]。
歴史
年表
- 1871年(明治4年)- 廃藩置県により岐阜県誕生。笠松村の旧笠松陣屋を県庁舎とする。
- 1873年(明治6年)3月 - 県庁舎を厚見郡今泉村(現・岐阜市西野町)の本願寺岐阜別院に仮移転。
- 1874年(明治7年)6月 - 岐阜市司町に2代目県庁舎完工。この建物は木造平屋建てで、官吏は畳に座して執務した。
- 1924年(大正13年)10月 - 岐阜市司町に3代目県庁舎完工(現在の旧岐阜県庁舎)。鉄筋3階建て。工費約150万円、工期1年7か月[2]。建築顧問は矢橋賢吉、佐野利器、施工は銭高組が請け負った。なお、当初は中央部に高塔を設ける計画であったが、着工3か月後に発生した関東大震災により見直されたと伝えられている[10]。
- 1958年(昭和33年)- 3代目県庁舎の北側部分を増築[11]。
- 1966年(昭和41年)2月11日 - 岐阜市薮田南に4代目県庁舎竣工。地上12階建て。工費約25億2千万円、工期1年7か月[2]。3代目庁舎は岐阜総合庁舎となり、2013年の閉庁後は南側部分を残して解体。
- 1978年(昭和53年)8月10日 - 議会西棟(3,429.01 m2)を増築。
- 2022年(令和4年)12月16日 - 5代目県庁舎竣工[4]。建設工事費約496億円、工期3年2ヶ月余[2]。
- 2023年(令和5年)1月4日 - 5代目県庁舎開庁。
3代目県庁舎
4代目県庁舎
岐阜県庁舎(4代目) | |
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情報 | |
用途 | 岐阜県行政・立法の中枢施設 |
主構造物 | 事務棟、議会棟、厚生棟 |
設計者 | 日建設計工務 |
施工 | 間組 |
建築主 | 岐阜県庁 |
構造形式 | SRC造(事務棟・議会棟) RC造(厚生棟) |
敷地面積 | 79,380.00 m²[12] |
建築面積 | 10,219.27 m²[13] |
延床面積 | 52,567.95 m²[13] |
階数 | 事務棟:地上12階(塔屋3階) 議会東棟:地上3階(一部4階) 議会西棟:地上3階 厚生棟:地上2階(一部3階)[12] |
高さ | 56.34m(軒高:47.51m)[13] |
着工 | 1964年(昭和39年)7月6日[14] |
竣工 | 1966年(昭和41年)2月11日 |
所在地 | 〒500-8570 岐阜市薮田南2丁目1番1号 |
位置 | 北緯35度23分28.722秒 東経136度43分19.901秒 / 北緯35.39131167度 東経136.72219472度 |
特記事項 | 2023年(令和5年)2月17日閉庁[15] |
4代目県庁舎は1966年(昭和41年)に岐阜市薮田地区に竣工した[15][16]。第8回BCS賞受賞[17]。
建物は事務棟、議会東棟(旧:議会棟)、議会西棟、厚生棟(旧:互助会棟)からなる[12][13]。1964年(昭和39年)7月6日着工(地鎮祭)、同年7月14日起工式、同年12月22日立柱式、1965年(昭和40年)7月10日定礎式、着工から1年7か月後の1966年(昭和41年)2月11日に竣工式を迎えた[14]。
当初は1966年(昭和41年)4月末完成予定だったが、竣工式を紀元節(現在の建国記念の日)に当たる2月11日に迎えたいという岐阜県知事・松野幸泰(当時)の要請を受け、約2か月半前倒しで完成した[18]。なお、本庁舎は着工当時、官公庁舎の建物としては日本一の高層ビルだった[19]。
本建物は、行政機関としての事務棟、立法機関としての議会棟、職員福祉のための厚生棟(旧:互助会棟)の3つから構成され、それぞれ独立しているが、連絡通路で一体となって結び付けられている[17]。本建物のある薮田地区は往時水害があったため、敷地は全面盛土を行い、地下室は設けず、水害防止を考慮して1階に機械室と電気室を設け、スロープを設置して直接2階の玄関およびホールへ行けるようにした[17]。標高は13.095m[13]。ランプウェイ及びデッキは大型バスでも回転できる十分な幅を持ち、特異なファサードと広大な前面駐車場を備えていた[17]。
建物の仕上げ材に岐阜県内産を出来るだけ用いており、ランプウェイに恵那石、濃尾平野の四季を表現した玄関の大理石製モザイク壁画、多治見の焼物、内部間仕切りのメラミン化粧板に県内産を使用しており[17]、5代目庁舎にも、矢橋六郎のモザイク壁画「春・夏・秋・冬」が、新議会棟には人間国宝の陶芸家・加藤孝造の陶壁「さきがけ」がそれぞれ旧庁舎から移設されている[20]。
2023年(令和5年)2月17日、閉庁式が行われた[15]。2024年12月より解体工事が始まる。
建築概要
以下は竣工時のデータである[21]。
- 敷地面積:79,380.00 m2
- 建築面積:10,219.27 m2
- 延床面積:49,138.65 m2(当初)、後に議会西棟(3,429.01 m2)を増築して52,567.95 m2[13]
構造規模
- 事務棟:地上12階(塔屋3階)、鉄骨鉄筋コンクリート造
- 議会東棟:地上3階(一部4階)、鉄骨鉄筋コンクリート造
- 議会西棟:地上3階、鉄骨鉄筋コンクリート造
- 厚生棟:地上2階(一部3階)、鉄筋コンクリート造
仕上概要
- 外装:カーテンウォール三丁掛け(実寸227mm×90mm)タイル貼り及び二丁掛け(実寸法227mm×60mm)貼り、一部花崗岩水磨き
- 屋根:アスファルト防水、クリンカータイル貼り
- 建具:アルミサッシュ及びステンレス、一部スチール製
設備概要
- 受変電設備:受電は中部電力岐阜支店加納変電所から三相3線30KV60Hzで地中電線路で引き込まれており、屋外の特高変電所で受電して本館1階の主変電室で変電する。1階に中央監視室があり、塔屋1階に第1、第2変電室がある。
- 電灯動力設備:電灯コンセント回路は、中性点直接接地、三相4線式18V/105V、幹線1,000Aバスダクト方式で配線し、蛍光灯や白熱灯、その他水銀灯などに使用している。
- 自家発電設備:事務棟1階に自家発電装置が設置されており、買電が停止すると停電圧継電器で検出してディーゼルエンジンを起動し、エンジン直結の発電機で定格電圧が確立すると、油入遮断機が投入されて負荷に電源を供給する。ディーゼル機関は4サイクル水冷式12気筒600PS、1200rpm、発電機は6極3,300V 500KVA 60Hz、力率80%。
- 蓄電池設備:特高及び高圧器の操作電源、継電器電源、表示用電線及び停電灯(非常灯)電源の畜電源として合成樹脂槽入密閉型クラッド式据置蓄電池1,000Ah 52台×1組設置。
- 登退庁表示機設備:議員用の50室表示器=6か所、県及び警察用の30窓表示器=72か所。
- 火災報知設備:受信器はア型1級120回線用、副受信機は中央制御盤室及び総務宿直室に120回線用、警察宿直室に25回線用、議会宿直室に15回線用を設置し、感知区域を116に区分。
- 空調設備:二重ダクト方式による個室制御、全自動中央集中制御式。
- 熱源設備:ターボ冷凍機550トン×1基、500トン×1基を直列運転。
- 給水設備:受水槽 容量240トン、高置水槽(飲料水用)1.7m3×2基、(雑用水用)25m3×2基。
- 消火設備:屋内消火栓 本館51、議会棟7、厚生棟4、連結送水口2か所、屋外消火栓2か所
- 客用エレベーター:6基(定員15名、容量1,000kg)、直流ギヤーレス型、速度150m/s、シグナル群乗合自動併用方式。
所在地
岐阜県警察本部庁舎

岐阜県総合庁舎
岐阜県の出先機関の庁舎として、県内に次のとおり総合庁舎が設置されている。
- 西濃総合庁舎(大垣市)
- 可茂総合庁舎(美濃加茂市)
- 東濃西部総合庁舎(多治見市)
- 飛騨総合庁舎(高山市)
- 揖斐総合庁舎(揖斐川町)
- 中濃総合庁舎(美濃市)
- 郡上総合庁舎(郡上市)
- 恵那総合庁舎(恵那市)
- 下呂総合庁舎(下呂市)
脚注
- ^ a b c d 『岐阜県庁』岐阜県 。2023年1月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g “県庁舎のご案内”. 岐阜県 (2024年11月27日). 2025年1月14日閲覧。
- ^ “行政棟工事進捗情報”. 岐阜県. 2023年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月7日閲覧。
- ^ a b 「岐阜県庁の新庁舎、きょう16日竣工〝親しめる〟県庁へ 地上20階・展望フロアにはソファも 開庁は1月4日」『岐阜新聞Web』岐阜新聞社、2022年12月16日。オリジナルの2022年12月18日時点におけるアーカイブ。2023年1月5日閲覧。
- ^ 『新岐阜県庁舎開庁式・仕事始め式を開催』(プレスリリース)岐阜県、2022年12月26日。オリジナルの2023年1月7日時点におけるアーカイブ 。2023年1月7日閲覧。
- ^ 「新庁舎なのに隙間風:岐阜県 112か所応急措置」『読売新聞』2023年3月28日、8面。2023年4月3日閲覧。
- ^ “「ぎふ結のもり」が開園”. 岐阜県庁. 2022年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月7日閲覧。
- ^ 『「県庁」バス停の移設について』(プレスリリース)岐阜バス、2022年12月20日。オリジナルの2023年1月4日時点におけるアーカイブ 。
- ^ “岐阜県庁内保育施設「ぎふっこ保育園」のご案内”. 岐阜県庁 (2022年10月22日). 2025年1月14日閲覧。
- ^ 旧岐阜県庁舎建築文化財報告書、7頁
- ^ 旧岐阜県庁舎建築文化財報告書、2頁
- ^ a b c 建築業協会 1967, p. 55.
- ^ a b c d e f “県庁舎のご案内”. 岐阜県庁. 2016年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年1月14日閲覧。
- ^ a b 小川陽一「岐阜県庁舎新築工事完成にあたりて」『経済時代』第31巻第2号、経済時代社、1966年2月1日、30-31頁、doi:10.11501/2203896。
- ^ a b c 「旧岐阜県庁舎、56年の歴史に幕 「4代目」閉庁式、定礎石外す」『岐阜新聞Web』岐阜新聞社、2023年2月18日。オリジナルの2023年2月19日時点におけるアーカイブ。2023年2月19日閲覧。
- ^ 建築業協会 1967, p. 53.
- ^ a b c d e 建築業協会 1967, p. 54.
- ^ 松野幸泰「岐阜県新庁舎の完成式を迎えて」『経済時代』第31巻第2号、経済時代社、1966年2月1日、26-27頁、doi:10.11501/2203896。
- ^ 「12階建て新庁舎着工」『中部要覧―愛知・岐阜・三重版』1965年版、中部経済新聞社、1965年7月1日、94-95頁、doi:10.11501/3032432。
- ^ 「モザイク壁画・陶壁の「レガシー」継承 愛知・岐阜で相次ぎ移設保存」『朝日新聞デジタル』2024年5月4日。
- ^ 建築業協会 1967, pp. 54–55.
参考資料
- 『旧岐阜県庁舎建築文化財報告書』岐阜県 。
- 「4 岐阜県庁舎」『第8回 1967 建築業協会賞作品集』、財団法人建築業協会、1967年10月23日、53-64頁、doi:10.11501/2526612。
関連項目
外部リンク
- 県庁舎のごあんない - 岐阜県庁
- 岐阜県庁「4代目庁舎から5代目庁舎に移転」関連
- 岐阜県広報課YouTube内公式アカウントより
- 岐阜新聞社YouTube内公式アカウントより
- 中京テレビYouTube内公式アカウントより
- 伊勢湾まで見渡せる展望フロアには大勢の人 岐阜県の新庁舎で開庁式 地上21階建て高さ106メートル - 「CBCニュース」YouTube公式チャンネルより
- 【懐かし映像】 岐阜県庁舎と岐阜市庁舎が完成【1965年7月10日~1966年2月11日】 - 「メ〜テレニュース」YouTube公式チャンネルより
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