大学卒業から理研時代とは? わかりやすく解説

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大学卒業から理研時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:31 UTC 版)

仁田勇」の記事における「大学卒業から理研時代」の解説

1923年3月東京帝国大学理学部化学科卒業卒業研究松原行一教授指導の下で有機化学専攻)、直ち理化学研究所現在の独立行政法人理研)に入り西川正治博士研究室結晶によるX線回折研究始めた当時X線回折純粋に物理学領域であったが、西川仁田有機化合物X線回折方法応用してみることを勧めた。これが後に日本結晶化学大きな分野を開く端緒となった西川はどんな有機化合物が適当かは仁田自分決めるように指示したいまからみれば極めて幼稚なX線解析方法しかなかった1920年代に、何ができるかについて仁田悩んだ末に選んだのがヨードホルム(CHI3)の結晶だった。 有機化学生化学など周辺領域を含む)における最も基本的な概念炭素原子価が4価であることである。つまり炭素原子がほかの原子化学結合するとき4本の手を出し、それによって隣の原子結ばれて有機化合物分子ができあがる。この4本の"手"が空間でどの方向向いているかについては、1874年オランダ化学者ファント・ホッフ四面体説を提唱した。すなわち炭素原子正四面体中心に置いたとき4本の結合正四面体の4個の頂点方向に向くというものである。これは光学異性体存在説明するために考えられ結論であったが、仮説に過ぎなかったのである。いわば有機化学全体が、この仮説の上築かれていたわけである。仁田取り組んだのは、この正四面体構造仮説実験によって証明できないかという問題であった。そのためなるべく簡単な有機化合物当時X線回折技術取り組めるような物質として選んだのがヨードホルムであった。この物質については三つヨウ素原子正三角形頂点にいることがわかったので、もし炭素水素原子その三角形中心の上にあれば四面体モデル合致することがわかったが、炭素原子どの位置を決めるところまでは当時技術ではできず完全な証明には至らなかった。 そこで次に選んだのは、容易に入手でき、室温安定ペンタエリスリトールであった。これは炭素原子中心にあって、4個のCH2OHグループがそれについている。その付き方がファント・ホッフ仮説通りかどうか調べようというわけである。この物質については、Mark と Weissenberg が既に同じねらいでX線回折研究行い、フアント・ホッフの仮説とはちがう四角錐構造結論していた。つまり分子ピラミッド形頂上炭素原子があり、底辺正方形四隅が隣の炭素原子という構造である。不審思った仁田は、自分つくった結晶ラウエ法でX線回折実験をした。その結果Markらの結論誤っていると判断しさらに詳しく自分回折データ検討した結果四面体構造対称性許されることが判りファント・ホッフ仮説否定されていない結論した。なおこの問題についての最終的な決着は、1937年のもっと完全な回折実験による解析を待たなければならなかったが、1927年理研欧文報告掲載され仁田のこの画期的な論文に対してMarkはそれに反論する論文発表したが、最終的に仁田結論正しいことを認めた仁田Mark長い友人としての交流の始まりであった小さな分子だけでなく、タンパク質核酸RNADNA)、酵素などの生物体を構成する巨大分子構造反応生理活性などの理論実験が、すべて炭素原子正四面体原子価基礎としていることを思えば仁田業績意義きわめて大きいといわなければならない

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