報道ステーション人事騒動とBPO改編問題
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「第3次安倍内閣」の記事における「報道ステーション人事騒動とBPO改編問題」の解説
2015年3月27日、テレビ朝日のニュース番組「報道ステーション」の生放送で、元経済産業省官僚の古賀茂明がコメンテーターとしての最後の出演回で突然と「官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきました」などと発言し、これに対してキャスターの古舘伊知郎が「今のお話は私としては承服できません」などと激しく言い争う場面があった。これについてテレビ朝日広報部はお詫びを発表した。 2015年3月30日、官房長官の菅は午前の記者会見で古賀の発言について「まったくの事実無根だ」とし、「放送法という法律があるので、まずテレビ局がどう対応されるかを見守りたい」と述べた。 その後、自民党が衆院選前の2014年11月26日に「報道ステーション」がアベノミクスについて報じた内容について「公平中立」を求める文書を出していたが明らかとなり、自民党は「圧力ではない」と説明する一方、メディアの専門家からは個別番組への文書は異例で番組への介入と受け取られかねないとの指摘もある。 2015年4月13日、日本民間放送労働組合は、自民党が「報道ステーション」に対して「公平中立」を求める文書を出していた問題について「放送免許の許認可権限を背景にした政権政党が、個別の番組内容に注文をつけること自体『報道への介入』であり、政治的圧力以外の何物でもない」と抗議する委員長談話を発表した。 2015年4月15日、古賀茂明は週刊現代のインタビューの中で、古舘伊知郎との言い争いについて「古舘さんを批判するつもりは全くなかったのに、私をいきなり攻撃してきたので、こちらも本当のことを言わざるを得ませんでした」とし、古館は人事について聞かされていたが、わざと知らないふりをしたと自分に告白したと主張。2014年夏ごろから政権批判に後ろ向きになったとした上で「自分や古舘プロダクションの地位を守りたいと考えたのでしょうね。正直に謝ってくれただけまだマシかなと思って、もう私は諦めました」と語った。 一方、2014年5月14日に放送されたNHKの報道番組「クローズアップ現代」に出演した男性が「やらせがあった」と訴えている問題について、NHKの調査委員会は2015年4月9日に中間報告を公表した。 2015年4月17日、自民党情報通信戦略調査会はテレビ朝日とNHKの経営幹部を呼んで、それぞれ報道番組の内容について事情を聴取。情報通信戦略調査会会長の川崎二郎は会合後に記者団に対して、放送法違反があれば総務大臣は業務停止を命ずることができるとする放送法の規定に触れ、「あれは真実の放送ですかと会社に聞いているだけだ」と強調し聴取は問題ないとの認識を示した。自民党幹事長の谷垣禎一は調査会による聴取について「報道機関の自主性を十分尊重しなければならない。十分意識しながら対応している」と述べた。一方、公明党幹事長の井上義久は「介入と受け止められない慎重な対応が必要だ。自民党はきちんと説明責任を果たしたほうがいい」と懸念を示した。民主党代表の岡田克也は「報道の自由の尊重は必要だ」と指摘。維新の党政調会長の柿沢未途は「問い詰める場を設定すれば現場の萎縮をもたらす」と批判。共産党国対委員長の穀田恵二は「衆院選の期間中から続いている報道機関に対する圧力と取られかねない」と述べた。 同調査会は17日の会合で、NHKと日本民間放送連盟でつくる放送倫理・番組向上機構(BPO)について、政府側の人間や官僚OBを入れるなど政府が関与する仕組みの創設を含めて組織のあり方を検討する方針を固めた。川崎は、法律で担保された第三者機関が放送内容をチェックする欧州の仕組みを例に挙げ「テレビ局がお金を出し合う機関できちんとチェックできないなら、独立した機関の方がいい」と言及。 しかし、番組の内容などの問題点を検証するBPOを法律で規定することには自民党内にも慎重意見があるほか、BPOへの政府の関与には識者らの間で批判も出ている。テレビ朝日とNHKに関しては、BPOへの申し立ても検討されており、川崎は「(番組で批判された菅義偉)官房長官の立場で本当におやりになるか。私だったらやる」と語った。
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