基本手当日額
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 08:13 UTC 版)
失業したと認定された1日あたりに支給される金額を、「基本手当日額」という。例えば、認定日において20日失業したと認定されれば、「基本手当日額」に20を乗じた基本手当が支給される。 「基本手当日額」は、原則、最後の6か月間の賃金(税引前)の総和を180で除した金額(賃金日額)の45〜80%の金額である(第16条、第17条)。厚生労働大臣は、毎月勤労統計による前年度の平均給与額の変動した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の賃金日額の下限・上限額、基本手当日額の算定のための給付率を乗じる賃金日額の範囲となる額(自動変更対象額。10円未満四捨五入)を変更しなければならない(第18条1項、2項)。 ここでいう「賃金」とは、「被保険者として雇用された期間に対するものとして同期間中に事業主の支払義務が確定した賃金」とされている。したがって、事業主の支払義務が離職後に確定したもの(離職後に労使協議により離職前にさかのぼって昇給が実施された場合等)はここでいう「賃金」には算入しない。また、臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(いわゆる「ボーナス」や「退職金」等)は含めない。取締役等、会社の役員が被保険者として認められた場合でも、役員報酬の部分は「賃金」に含めず、労働者としての「賃金」のみを算入する。なお、賃金が日給制・時給制・請負制によって定められている者の場合、最後の6か月間の賃金の総額を、最後の6か月間の労働日数で除した額の70%が最低保障される(短時間労働者には最低保障は適用されない)。 賃金日額は、受給資格にかかる離職の日の年齢により上限が異なる。令和元年8月以降、上限(最高額)は、離職時の年齢が30歳未満の者については13,630円、30歳以上45歳未満の者については15,140円、45歳以上60歳未満の者については16,670円、60歳以上65歳未満の者については15,890円。下限は年齢にかかわらず2,500円である(第17条4項、令和元年7月31日厚生労働省告示76号)。また自動改定された下限額が最低賃金日額(地域別最低賃金の額の全国加重平均額×20/7。施行規則第28条の5)を下回る場合は、当該最低賃金日額が下限額とされる(第18条3項)。これは最低賃金との逆転現象が生じないようにするためである。 基本手当日額の算定は、賃金日額が2,500円以上5,010円未満である場合は、賃金日額の80%となる。賃金日額が5,010円以上の場合は60歳未満で離職した者と60歳以上〜65歳未満で離職した者とでは算定式が一部異なり、60歳未満の場合は、賃金日額が12,330円以下の場合は賃金日額の50〜80%、12,330円を超える場合は賃金日額の50%となる。60歳以上65歳未満の場合は、賃金日額が11,090円以下の場合は賃金日額の45〜80%、11,090円を超える場合は賃金日額の45%となる(1円未満は切り捨て)。 特定受給資格者・特定理由離職者については、その離職事由の発生する前と離職時における賃金日額とを比較し、高いほうで算定する。 基本手当日額は、離職した理由や給付を受ける者の住所地において区別はされない。 受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合には、その収入の基礎となった日数分の基本手当の支給については、以下の通りとする(第19条1項)。厚生労働大臣は、年度の平均給与額が、直近の控除額が変更された年度の前年度の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年度の8月1日以後の控除額を変更しなければならないとされ(第19条2項)、「控除額」は令和元年8月以後、1,306円である(令和元年7月31日厚生労働省告示77号)。 その収入の1日分に相当する額(収入の総額を基礎日数で除して得た額)から「控除額」を控除した額と基本手当の日額との合計額が賃金日額の80%に相当する額を超えないときは、基本手当の日額に基礎日数を乗じて得た額を支給する(基本手当が全額支給される)。 合計額が賃金日額の80%に相当する額を超えるときは、超過額を基本手当の日額から控除した残りの額に基礎日数を乗じて得た額を支給する(基本手当から超過分が減額され支給される)。 超過額が基本手当の日額以上であるときは、基礎日数分の基本手当を支給しない。 特別支給の老齢厚生年金(60歳代前半の老齢厚生年金)の受給権者が求職の申込をした場合、その翌月から基本手当の支給を受け終わった月又は受給期間が経過するに至った月まで、老齢厚生年金は支給停止される(基本手当は支給停止されない。厚生年金保険法附則第11条の5)。
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