役員報酬
「月次報酬」「役員賞与」「退職慰労金」「ストックオプション」など役員に支払われる報酬の総称のこと。
従来は、年功的で不透明な運用が行われているケースが多かったが、ここ数年、投資家(株主)が経営体制に対して「モノを言う」姿勢を強めていることもあり、コーポレートガバナンス体制の構築と合わせて、急速に見直しの動きが起きている。
日本においては、厚生年金基金連合会が「株主議決権行使基準」を策定し、役員報酬に対する姿勢を明確にするなどその動きが注目されている。
主な改革方向は、
(1)責務に応じた報酬水準の設定
(2)業績に連動した報酬体系の設計
(3)ストックオプションなど株主価値と連動した報酬の導入
などであり、特に年功的な運用がされている「役員退職慰労金」については廃止する企業が相次いでいる。
役員報酬
役員報酬
役員報酬とは、取締役及び監査役の職務執行の対価として支払われる定期的な報酬である。会社法において、定款でその額を定めるか、もしくは株主総会の決議で定めることとされている。通常は株主総会決議で報酬総額の上限を決め、各役員への配分は取締役会決議に委ねる場合が多い。
法人税において、役員報酬は原則として損金算入が認められているが、不当に高額な場合は算入が認められない。適正額かどうかは、その役員の職務内容、会社の収益、従業員の給料とのバランス、同業種同規模会社の支給状況等から判断する(実質基準)か、もしくは定款、株主総会で定められた額を超えていないかどうか(形式基準)で判断する。
2010年3月31日の内閣府令により、上場会社は役員報酬情報の開示が義務づけられることとなった。具体的開示内容は以下の3点。
1.1億円以上の報酬を受け取っている役員の氏名と報酬額
2.役員区分ごとの総額報酬と種類別の内訳(金銭報酬、ストックオプション、賞与、退職慰労金等)
3.報酬額、算定方法の決定に関する方針(報酬ポリシー)
(上記3点を有価証券報告書に掲載)
役員報酬の開示を通して、株主、投資家への説明責任を果たすとともに、より一層のコーポレートガバナンスの強化が求められることとなった。
役員報酬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/26 03:06 UTC 版)
役員報酬(やくいんほうしゅう)とは、団体・企業などの役員が受ける報酬のこと[1]。
概要
役員報酬は、一般的な賃金に共通し、月給や賞与や退職金の形態の場合が多い。他には、年俸の形態の場合、あるいは、金銭とは別の株式やストックオプション、物品、サービスを支給する場合もある。役員報酬は、役員のパフォーマンスを評価し、報酬を提供するための重要な手段であり、企業の経営陣と株主の間の利益を調整する役割も果たす。
役員報酬の決定
役員報酬は、通常、企業の取締役会によって決定される。報酬の額や形態は、役員の職務、経験、業績、企業の業績、業界の標準などに基づいている。また、役員報酬は、企業の財務状況や市場環境に応じて調整されることもある。
法人税法34条においては、法人税法上の役員(みなし役員を含む。使用人兼務役員になれない役員は兼務役員から外される)の場合は、定められた固定給等(定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与、退職給与、兼務役員の使用人分給与)以外の役員報酬は損金不算入という規定がある。[2]
「賃金」との違い
役員報酬と賃金との主な違いは、受給対象者とその目的にある。賃金は、企業の従業員に対して支払われ、その労働に対する対価である。一方、役員報酬は、企業の役員に対して支払われ、その経営成果に対する報酬である。賃金は労働者の生活を支える基本的な収入であり、役員報酬は経営者の業績を評価し報酬を提供する手段である。
その他、
高額な役員報酬
大企業でも、賃金で年間1億円を超えることは珍しい。その一方で、役員報酬ならば高額になることが多く、年間1億円を超えることもある。その場合、上場企業ならば有価証券報告書に記載義務がある。Zホールディングスの取締役でLINEの代表取締役である慎ジュンホは、役員報酬として年に43億3500万円を受けた[3]。
脚注
出典
関連項目
役員報酬と同じ種類の言葉
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