品目別交渉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 16:28 UTC 版)
「日本のTPP交渉及び諸議論」の記事における「品目別交渉」の解説
コメ 日本は778%の高い関税を維持する一方で、最低輸入量に従い、1割に当たる年77万トンを無関税で輸入する。更にアメリカとオーストラリアからの無関税の輸入枠を新設する。これに対して、日本政府は新たな輸入枠で国内に入るコメと同量の国産米を備蓄米として買い入れ、価格への影響を抑えることを検討している。 肉類 牛肉、豚肉の関税を段階的に大幅に引き下げる。牛肉は現行の関税38.5%を当初27.5%に。その後段階的に引き下げ、16年目以降は9%となる。豚肉はソーセージなどに使われる安い価格帯のものへの関税は、現行の1kg当たり482円を当初は同125円に。その後段階的に引き下げ10年目以降は50円になる。日本政府は畜産農家の経営悪化を考慮して、参加国からの輸入量が急増した際に高い関税に戻す「セーフガード」(緊急輸入制限措置)を設ける方向で調整を続けている。 水産物 マグロ、サケ、マスなどは11年目までに、アジ・サバは12〜16年目までに関税撤廃する。 乳製品 バターや脱脂粉乳などの乳製品に低関税の輸入枠を設ける。チェダー、ゴーダ、クリームチーズなどは16年目までに関税を撤廃。2015現在の日本は国内の生乳生産の減少により、バター不足が慢性化し、一部輸入に依存する状態であった。 小麦 アメリカ、カナダ、オーストラリアに小麦の輸入枠を新設。当初は計19.2万トン、7年目以降は25.3万トンとし、関税は維持。代わりに国が輸入して製粉会社に転売する時に上乗せする輸入差益を発効から9年目までに45%削減。 酒類 ボトルワインの上限税率(125円/リットル)は、関税削減期間中は維持し、8年目までに関税を撤廃。清酒、焼酎は11年目にそれぞれ関税が撤廃されることが明らかになった。 自動車・自動車部品 日本から輸出する製品に対する関税の99.9%を撤廃する内容で合意した。 医薬品 加盟国のバイオ医薬品の独占的に販売を認めるデータ保護期間(製薬会社に独占的に販売を認める期間)が実質8年間とした。もともと日本ではバイオ医薬品を含む新薬の再審査期間は原則8年間と規定されているため、結果的に国内事情に大きな変化は生じない公算が高い。 著作権 「著作権法#TPP整備法による改正」および「日本の著作権法における非親告罪化」も参照 TPPの合意文書第18.77条6項(g)では「当該締約国の権限のある当局が、…告訴を必要とすることなく法的措置を開始するために職権により行動することができる」と著作権侵害罪の非親告罪化を定めている。これを受けて平成28年2月に文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会において取りまとめられた「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に伴う制度整備の在り方等に関する報告書」等を踏まえ、以下の点につき改正法が成立、2018年(平成30年)12月30日から施行される事が決定した。 保護期間延長、有償著作物等の著作権等侵害等罪の非親告罪化、アクセスコントロールの回避行為の違法化、アクセスコントロールの回避行為の為の装置販売の刑事罰化、配信音源の二次使用に対する報酬請求権の付与、および損害賠償に関する規定の見直し。
※この「品目別交渉」の解説は、「日本のTPP交渉及び諸議論」の解説の一部です。
「品目別交渉」を含む「日本のTPP交渉及び諸議論」の記事については、「日本のTPP交渉及び諸議論」の概要を参照ください。
- 品目別交渉のページへのリンク