各地の狸の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 10:24 UTC 版)
狸(狢や猯とも呼び習わされる)が化ける話は日本各地に伝わっている。全国的には人間に化けた話、寺の僧に化けた話、大入道やのっぺらぼうなどの妖怪に化けた話、狸囃子などといった不思議な音を起こした話、呼び掛けながら人の家の戸を叩いた話、金玉八畳敷の話などが知られる。とりわけ四国などでは狸に関する伝承が多く確認されており、さまざまな話や霊験、妖怪が他の土地以上に狸と結びつけられて語られていた。 江戸時代末期から大正・昭和初期にかけて大きな勢力をもった名のある狸としては、団三郎(新潟県佐渡島)・芝右衛門(兵庫県淡路島)・太三郎(香川県屋島)などをはじめとして、寺社にまつられ信仰の対象ともなっている狸も数多い。ほかには八百八匹の眷属(八百八狸 はっぴゃくやだぬき)を従えていたとされている隠神刑部などが江戸時代末期以後、講談を通じてよく知られていた。 「Category:化け狸」も参照 文福茶釜(ぶんぶくちゃがま) 狸が化けた茶釜が寺の持ち物となる昔話。群馬県館林市茂林寺の伝説では、狸が守鶴(しゅかく)という僧に化けて七代寺を守り、汲んでも尽きない茶を沸かしたとされている。 狸囃子(たぬきばやし) 発生源をはっきりつかむことも確かめることも出来ない不思議な太鼓やお囃子の音。江戸(東京都)では、本所七不思議や番町七不思議のひとつなどにも数え挙げられており、深夜にどこからともなく太鼓の音が聞こえてくるものを「狸囃子」といった。童謡『証城寺の狸囃子』は證誠寺に伝わる伝説を元に作られた。 宗固狸(そうこだぬき) 茨城県飯沼弘教寺に墓がある。寺の僧に化けていたが、ある日昼寝をして正体を現した。しかし、長く仕えたというのでその後も給仕をさせていたと伝えられている。 袋下げ(ふくろさげ) 長野県北安曇郡大町(現・大町市)。タヌキが高い木に登り、通行人目がけて白い袋をぶら下げたという。 竹伐狸(たけきりだぬき) 京都府南桑田郡保津村大年(現・亀岡市)。山の竹藪の中に棲んでおり、竹を切る音を立てて人を化かす古狸。 負われ坂(おわれざか) 大阪府南河内郡。夜にある坂を通ると「おわれよか、おわれよか」という声がするので、気丈な男が「負うたろか負うたろか」と言うと、松の株太が乗りかかった。家に帰ってナタで割ろうとすると、古狸が正体を顕わして詫びたという。 重箱婆(じゅうばこばば) 熊本県玉名郡、宮崎県日向市。古狸が重箱を手に持った老女に化けて現れたという。熊本ではさらに重箱婆が「重箱婆じゃ、ご馳走はいらんかえ」と言いながら、人に石のようなものを担がせるという。 赤殿中(あかでんちゅう) 徳島県板野郡堀江村(現・鳴門市)。夜中、タヌキが赤いでんちゅう(袖のない半纏)を着た子どもに化けて背負うことをしつこくねだる。仕方なく背負うといかにも嬉しそうな様子で、その人の肩を叩くという。 傘差し狸(かささしたぬき) 徳島県三好郡池田町(現・三好市)。雨の降る夕方など、傘をさした人に化けて通行人を招く。傘を持ち合わせない人がうっかり傘に入れてもらうと、とんでもない所に連れていかれるという。 首吊り狸(くびつりたぬき) 徳島県三好郡箸蔵村湯谷(現・三好市)。人を誘い出して首を吊らせるという。 小僧狸(こぞうたぬき) 徳島県麻植郡学島村(現・吉野川市)。小僧に化けて夜道を行く人を通せんぼし、怒った相手が突き飛ばしたり刀で斬ったりすると、そのたびに数が倍々に増えて一晩中人を化かすという。 坊主狸(ぼうずたぬき) 徳島県美馬郡半田町(現・つるぎ町)。坊主橋という橋を人が通ると、気づかぬ間に坊主頭にしてしまうという。 白徳利(しろどっくり) 徳島県鳴門市撫養町小桑島字日向谷。狸が白徳利に化け、人が拾おうとしてもころころ転がって捕まえることができないという。 兎狸(うさぎたぬき) 徳島県。吉野川沿いの高岡という小さな丘で、ウサギに化けてわざとゆっくりと走り、それを見つけた人は格好の獲物と思って追いかけた挙句、高岡を何度も走り回る羽目になったという。 打綿狸(うちわただのき) 香川県。普段は綿のかたまりに姿を変えて路傍に転がっているが、人が拾おうとして手を伸ばすと動き出し、天に上ってしまう。 軍隊狸(ぐんたいたぬき) 愛媛県や香川県など。人間に化けた狸が兵士として日露戦争などに従軍したというもの。。
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