反粒子(はんりゅうし)
電子、陽子、中性子やニュートリノなど、物質を構成する素粒子には、それぞれ反粒子が存在する。電子に対する反粒子のことを陽電子、陽子に対する反粒子のことを反陽子などと呼んでいる。
粒子と反粒子は、エネルギーの塊から対になって発生する。逆に、粒子と反粒子が出会うとエネルギーに変わり消滅する。反粒子によって構成される物質を反物質と言い、反水素分子などが実験的に作られている。
反粒子は、宇宙線の中に混じっていたり、粒子加速器で人工的に作り出したりする以外は、身の回りには存在しない。しかし、宇宙初期のビッグバンで、そのときに放出された大量のエネルギーから粒子と反粒子は同じ数だけ発生していたはずだ。そこで、粒子と反粒子のほんのわずかな違い(CPの破れ)が、現在の通常粒子が多勢という宇宙を作り出したと考えられている。
CPの破れは、小林・益川行列というモデルで理論的に解明されている。今回の実験は、この理論を実験的に検証したものだ。小林・益川理論は、クォークの世代数など他領域への示唆にも富んでおり、湯川秀樹、朝永振一郎に次いで日本の素粒子物理学にノーベル賞が与えられる可能性も出てきた。
(2000.08.01更新)
反粒子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 05:38 UTC 版)
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反粒子(はんりゅうし 英: antiparticle)とは、ある素粒子(または複合粒子)と比較して、質量とスピンが等しく、電荷など正負の属性が逆の粒子を言う。特に陽電子や反陽子などの反レプトンや反バリオンをさす場合もある。
反粒子が通常の粒子と衝突すると対消滅を起こし、すべての質量がエネルギーに変換される。逆に、粒子反粒子対の質量よりも大きなエネルギーを何らかの方法(粒子同士の衝突や光子などの相互作用)によって与えると、ある確率で粒子反粒子対を生成することができ、これを対生成と呼ぶ。
理論
相対論的量子力学
相対論的量子力学においては、フェルミ粒子の振る舞いを記述する運動方程式であるディラック方程式に負のエネルギー固有値が現れるという問題があった。ポール・ディラックはこの問題に対する回答として、空孔理論を用いて「正のエネルギーを持つ反粒子が存在するせいである」とした。
場の量子論
場の量子論においては、ディラック方程式の解を運動量空間で展開し、負の振動モードを表す場に対して反粒子と呼ぶ。この枠組みでは、粒子と反粒子が衝突し光子に変わる、などの過程を生成消滅演算子を用いて数学的に記述することが出来る。現在の素粒子論は、場の量子論に立脚した標準模型が実験結果を非常に正確に記述することが分かっており、粒子や反粒子の散乱断面積、崩壊幅などは場の理論を用いて計算することが出来る。
数学的取り扱いにおいては、粒子が時間軸を過去に向かって進んでいるものを反粒子である、と解釈することもある(CPT定理)。
具体例
電子の反粒子は陽電子であり、同様に陽子には反陽子、中性子には反中性子がある(中性子は中性であるが反中性子は構成粒子であるそれぞれのクォークが反粒子であるため反粒子が存在する)。
光子では反粒子と粒子が同じで区別がない。
関連項目
反粒子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 14:53 UTC 版)
物理学の未解決問題ニュートリノはそれ自身の反粒子でもあるのか?ニュートリノはマヨラナ粒子か? 電荷を持たない粒子であるため、中性のパイ中間子のようにそれ自身が反粒子である可能性がある。ニュートリノの反粒子がニュートリノ自身と異なる粒子であるか否かは現在でも未解決の問題である。
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