北海道コタン温泉遺跡出土品とは? わかりやすく解説

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北海道コタン温泉遺跡出土品

主名称: 北海道コタン温泉遺跡出土品
指定番号 513
枝番 00
指定年月日 1997.06.30(平成9.06.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 考古資料
ト書
員数 一括
時代区分 縄文
年代
検索年代
解説文: 本件は、コタン温泉遺跡から出土した縄文時代後期初頭資料一括である。
 コタン温泉遺跡は、北海道山越郡八雲町浜松二九八外に所在する遺跡は、内浦湾噴火湾)を望む標高二〇メートルから二五メートル海岸段丘の上面と、その段丘の東側画するブュウヒ川の沢に面した斜面付近に形成され直線距離約百メートル海岸線面している。晴れた日には有珠山羊蹄山をはじめ内浦湾海岸線一望できる風光の地である。
 遺跡は、昭和六十二年から平成二年まで、広域農道建設先立ち、四次にわたり発掘調査が行われた。その結果、主に段丘上の平坦面から縄文時代中・後期竪穴住居跡二五棟と石組一〇基等が、平坦面から沢の斜面にかけて縄文時代中-晩期土壙一二四基、および前・後期の貝塚三か所が検出された。調査遺跡一部、約四、九〇〇平方メートルについて行われ貝塚はほぼ完掘されている。
 本件一括上記のうち、後期初頭貝塚および同地点に所在する土壙から出土した土器石器石製品類、および多量の骨角牙製品類【こつかくせいひんるい】の一括である。遺物は、後期前半深鉢形等の土器類二〇箇と、削器【さつき】・石鏃せきぞく】等の石器石製品類七一箇釣針・銛頭【もりがしら】等の骨角牙製品類二五五箇、および貝刃【かいじん】等の貝製品一一箇で構成される
 本件特徴づけるのは多彩な骨角牙製品類である。これらは、鹿角【ろつかく】を用いた釣針や銛頭等の漁撈具、鹿角や陸獣骨用いた針・剥離具等の工具のほか、主に鯨骨作られた刀形骨器【かたながたこつき】や青龍刀骨器【せいりゆうとうたこつき】、横位に隆帯が彫刻された箆、鯨骨素材として歯を削り出し【くし】、さらに鹿角等を用いた髪飾【かみかざり】や叉状製品鳥骨素材とした針入など儀装身具多数含まれている。また、ネズミザメイトウサケ椎骨素材とした平玉鳥骨等を素材とした管玉もある。さらに三一箇の垂飾は、その素材多彩で、サメオットセイキツネの歯、ウサギ海亀の骨、さらには北海道棲息ていないイノシシ犬歯利用したものもある。
 石器石製品類は、石鏃・削器等を中心としたこの時期通有組成を示すが、青龍刀形石器岩偶、さらに硬玉大珠【こうぎよくたいじゆ】等が含まれていることは注目される土器類は、いずれも復元完形品であるが、口縁部胴部横位隆帯を貼付した、北海道南部在地色が強い余市式に属するものである
 以上、本件一括は、縄文時代後期初頭漁撈活動主体とした遺跡における、祭祀や装身を含む生活相の実態を知るうえで重要である。また、装身具素材として用いられイノシシ犬歯硬玉存在も、北海道縄文時代における本州方面との交易実態を示す具体例として、その学術的価値は高い。



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