北朝鮮の参加
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「2018年平昌オリンピック」の記事における「北朝鮮の参加」の解説
2017年9月、北朝鮮の張雄IOC委員はIOCの公式メディアとのインタビューで、「政治とオリンピックは別物である」、「選手が出場資格を得れば、平昌五輪への参加は問題ない」という認識を示した。実際に、9月にはフィギュアスケートの平昌冬季五輪予選を兼ねたドイツの大会で、北朝鮮のリョム・テオク、キム・ジュシク組が全競技を通じて、平昌五輪の出場枠を獲得した。国際社会が北朝鮮への制裁を強化する中で、文在寅大統領は北朝鮮に平昌五輪へ参加するよう求めており、9月21日の国連総会における一般討論演説でも、北朝鮮の参加に向けて努力を続ける考えを示していた。一方、北朝鮮は平昌五輪への参加を表明しなかった。 2017年10月12日、韓国の康京和外相は国会において、与党共に民主党の議員に対する答弁で「北朝鮮が核・ミサイル開発をめぐって国際的な孤立を深める中で、平昌パラリンピックへの参加意向書を国際パラリンピック委員会に提出した」と語った。その上で北朝鮮の平昌五輪参加については、「フィギュアスケートのペアが出場権を得た。それ以外も多くの選手が参加できるようにIOCも積極的に協力しており、方法を模索している」、「北朝鮮から選手や応援団など多くの人が参加することを願っています」と述べ、平昌冬季五輪への参加も呼びかけたが、北朝鮮は態度を明らかにしていない。 2018年1月1日、北朝鮮の最高指導者である金正恩氏が「新年の辞」において平昌冬季五輪に北朝鮮代表団を派遣する用意があるとの声明をだした。これを受けて1月9日にも南北閣僚級会談が行われ、北朝鮮が平昌冬季五輪に参加することが正式に発表された。 2018年1月15日、北朝鮮の対外宣伝サイト「朝鮮の今日」は五輪を自分たちの統一政策の一環だと宣伝する動画を「YouTube」で公開した。動画には、韓半島旗と北朝鮮の国旗を振るシーンが何度も登場するが、太極旗(韓国の国旗)は一度も登場しないなどの内容から、一部からは「『平壌五輪』と誤解されかねない」と陰口をたたかれた。また20年にわたる招致活動にもかかわらず前夜祭が『金剛山文化行事』という形で北朝鮮開催になったことに地元の不満が爆発した。「国際オリンピック委員会(IOC)がまるで国連の役割をしているかのような錯覚に陥る」との声も上がり、AP通信は「金正恩朝鮮労働党委員長はまるでチャンピオンであるかのように五輪をもてあそんでいる」と報じた。 「2018年平昌オリンピックの南北合同チーム選手団」も参照 北朝鮮の競技参加については、南北閣僚級・次官級実務会談においてアイスホッケーの南北合同チーム結成が合意された。IOCのトーマス・バッハ会長が南北合同チームに非常に前向きであるとされ、韓国政府の決定にも影響があったとされる。この合意について、予選で同組の日本とスイスが人数増等の公平性の観点からこれに反対した。南北合同チームに合流する北朝鮮選手は現在4-6人で、チームの組織力を殺さないため攻守5人が構成する「ライン(組)」で一括して起用するとされる。 当事者の選手サイドでは、代表のセラ・マレー監督が「北朝鮮の選手を入れろという圧力がなかったらと思う」とコメントした。代表チームのメンバーからは不満が上がり、ゴールキーパーのシン・ソジョンが「14年間オリンピックの舞台を夢見てきました。大きな期待をかけてきただけにとても当惑し、失望しています。」、「選手たちは『(南北合同チーム問題を)変えることはできないのだから、みんな気持ちを引き締めて練習に集中しよう』と話していました。動揺せずに五輪の舞台で最後まで頑張る姿をお見せしたいです」などと語った。 開催地の韓国平昌よりも北朝鮮が目立つため、『平壌オリンピック』との批判が韓国国内から出ている。文在寅大統領の支持層からも批判が出たため、支持率の低下をもたらした。オリンピックを利用する北朝鮮の政治的動きと、文在寅政権が示す北朝鮮への譲歩に韓国のメディアからは、「まるで、北朝鮮が主導する『平壌オリンピック』だ」との声が上がっている。 前夜祭の『金剛山文化行事』は中止され、北朝鮮選手は五輪期間中にメダルも獲得できなかったが、一時的にせよ緊張緩和をもたらした北朝鮮は外交上の成果で「金メダル」級をおさめたと評された。
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