北朝鮮の人口統計の実態
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「朝鮮民主主義人民共和国の人口統計」の記事における「北朝鮮の人口統計の実態」の解説
脱北者の多くの証言から、北朝鮮の人口は当初から2000万人を切った状態で、苦難の行軍で人口上昇が確実に阻まれた可能性がある。北朝鮮建国時から1000万人を1950-60年代に保持していたとされる公式統計も、合計特殊出生率とは矛盾が生じる。苦難の行軍による500万人以上の餓死者と誇大に脱北者によって宣伝されることが多いが、実際には「本来の資本主義経済であれば北朝鮮の人口は実際の人口プラス550万人であったはず」という観測である。この観測をCIAが支持しているが、CIAは北朝鮮の統計捏造には触れていない。 中央統計局 (北朝鮮)(英語版)が作成した機密資料である秘密人口統計によると、2019年の北朝鮮の人口は2050万人程度であるという。2019年5月3日、FAOとWFPは「北朝鮮の食糧安全保障の評価」報告書を発表したが、基本的な統計情報を北朝鮮当局から受け、北朝鮮の人口を2500万人と推定して「北朝鮮の人口の40%である1010万人の食糧不足に直面している」と報告しているが、北朝鮮の食糧難を判断できるバロメーターである北朝鮮内の米価格は、2019年5月現在4200ウォン水準で、2018年5月に比べて1000ウォン近く下落している。北朝鮮の人口調査は、2008年に韓国とUNFPAの財政支援で、北朝鮮が実施した国勢調査があり、人口を2405万人と発表したが、この調査でさえ専門家によって統計操作が強く疑われており、李碩(朝鮮語: 이석、韓国開発研究院)は、2011年に発表した「2008年の北朝鮮の人口センサスの分析と問題点」という論文で、「朝鮮人民軍の総兵力数に関連する意図的な統計の歪みが疑われ、これらの統計は、既存の人口統計とも不一致であり、互いに調和していない」「現在存在する北朝鮮のすべての人口統計は、統計的歪みの可能性と矛盾の問題から自由ではない」と主張している。強力な中央集権制と監視社会であり、配給制を実施している北朝鮮が自国の人口を正確に把握していない可能性は希薄であり、実際に北朝鮮当局は、正確な人口統計を密かに管理しており、これに基づいて政策を立案していることは、中央統計局 (北朝鮮)(英語版)が作成した機密資料である秘密人口統計を通じて確認される。この秘密人口統計は、数十年の間に北朝鮮の人口変動推移を1000人単位まで正確に記録しており、北朝鮮の人口は、2005年に2100万人を超えたが、2009年に2000万人台に後退し、その後は減少を続けており、推移通りならば、2019年現在の北朝鮮の人口は2050万人程度と推定され、国力を膨らませるために、人口を水増して、人口操作することは、過去の社会主義国の共通の現象であり、北朝鮮も例外ではない。 興味深い点は、北朝鮮が過去に国際社会に公表した人口は、当時の韓国の人口の半分のレベルを維持するよう調整していることである。この操作は建国時から行われているため、実際の北朝鮮が1948年に何人の人口を擁していたのかは完全にわからなくなってしまっている。北朝鮮の人口が外部推定よりも450万人少ない場合、北朝鮮に必要な食糧需要も大幅に減少し、北朝鮮の1年間の必要穀物量は、北朝鮮の1人当たり一日平均配給目標基準量としている500グラムを基準に考察することができ、北朝鮮の人口が2050万人であれば、全国的に毎日1万500トンが必要であるが、実際に多くの脱北者も「北朝鮮では全国の一日配給量目標1万トンという言葉は常識のように流通している」と証言している。CIAの2021年の調査から550万人を引くと北朝鮮の総人口は2033万1360人であり、2019年の北朝鮮の人口は2050万人程度であることに僅かな裏付けが取れる。
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