北朝鮮の国家的出稼ぎ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 05:01 UTC 版)
北朝鮮では、外貨獲得のために労働力を輸出して、労働者の給料から天引きを行う国家的な出稼ぎが行われてきた。特に1990年代の「苦難の行軍」の時代には、自国内の食糧事情が悪化したことにより、国と労働者側のニーズが合致。ロシアシベリア地方の森林(北洋材)の伐採現場や遠くアフリカ諸国の建設現場などに多くの労働者が国家の手により派遣された。2015年、国連のマルズキ・ダルスマン北朝鮮人権状況特別報告者は、出稼ぎ労働者の実態をまとめた報告書を公表。派遣国数は17カ国前後、労働者の総数は5万人にのぼり、本国に送金された額は年間あたり12億-23億ドルにのぼると指摘している 。一方で、ポーランド やロシアの建設工事の現場などでは、しばしば休日のない長時間労働、低賃金といった劣悪な労働環境が取りざたされることもあった。 2017年9月、北朝鮮が弾道ミサイルの発射、核実験を行うと国連安全保障理事会は、北朝鮮に対する経済制裁を決議。その中には、海外で働く北朝鮮労働者の受け入れ禁止も盛り込まれており、当年中にクウェート、カタール、UAEなどは北朝鮮労働者に対する査証の新規発給、更新を停止する措置を採った。湾岸諸国では多数の労働者が建設現場で働いたが、今後は働く場が失われていく見込み。また、ロシアも労働者の滞在許可更新の制限を開始。2019年末までに、全ての北朝鮮労働者を帰国させる方針を打ち出している。
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