初代後期(1969年 - 1973年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 05:19 UTC 版)
「フォード・マスタング」の記事における「初代後期(1969年 - 1973年)」の解説
この節では内外装のデザイン変更が大きかった1969 - 1973年モデルを後期型とするが、英語版ウィキペディアではこの間も「初代」として扱っており、英語圏の資料でも同様の記述が多く見受けられる。ホイールベースは1964年の登場時(1964 1/2モデル)から1970年モデルは不変の108in.(2,743 mm)であったが、1971 - 1973年モデルは109in.(2,769 mm)となった。 前期型に比べ大型化され、性能と価格も全体的に上昇して登場した。ファストバックの名称はスポーツルーフに変更された。また、特定のグレードを持たなかったマスタングにグレード名が付いた。ボディはハードトップ、コンバーチブル、ファストバック(スポーツルーフ)の三種。グレードはハードトップと、その豪華仕様のグランデ。スポーツルーフと、それをベースにさらにスポーティなルックス&パフォーマンスを持ったMach 1(日本では通常「マッハ1」と呼ばれる)が登場。 フォードではマーケティングの一環としてレースに参加し、ホモロゲーション取得用のモデルをフラッグシップとして設定することを計画した。フォードではシェルビー・アメリカンを興したキャロル・シェルビーに依頼しチューニングモデルのGT350(シェルビー・マスタング)で参戦したが、高価で売り上げが見込めないことから、GT350よりも幅広い層に購入できる価格に抑えたBOSSを新たに開発し、こちらを主力とすることとなった。 Bossシリーズには、1969年と1970年モデルにBoss 302とBoss 429の2タイプがあり、特に前者はレーシングマシン直系の302「ボス」V8を搭載したトランザムシリーズ(英語版)のホモロゲーションモデル(排気量5,000㏄以下)に合致させたモデルである。フロントにエアダムを備え、ボンネットやロービーム部分を艶消し黒で塗っているのが特徴(1969年型)。Boss 429はNASCAR用ホモロゲーション取得用であり、単にエンジンの市販台数(500台)をクリアするためにのみ作られた(マスタング自体にNASCAR出場資格はなかった)。マスタング歴代最大排気量(429cu.in.= 7.0L)となるビッグブロック(英語版)ヘミエンジン(厳密にはセミ・ヘミ。フォードではブルー・クレセントと呼称)が搭載され、ボンネット上にはひときわ大きなエアスクープが取り付けられた。カタログスペック上は375馬力であるが、実際には600馬力以上あったと言われている。Boss429はフォードの生産車と言うよりは、むしろ改造車というべきで、フォードのワークスともいうべき「カー・クラフト」で生産された。コブラジェット428V8を登載したMach 1にオハイオ州リマで生産したBoss429エンジンを合体させた。1971年からは規定が変わり、セミヘミ351 cu.in.のエンジンを載せた「Boss351 」が1806台生産された。 これはエンジンの公認を取るために生産されたもので、この車自体はレースに出なかったものの、パワーと足回りのバランスが秀逸だったと評価されている。 マッハ1は、1969年と1970年モデルではコブラジェット428V8、1971年モデルでは429 cu.in.Cobre Jetを搭載し、さらにオプションでSuper Cobre Jetラムエア・インテークを装備していた。しかし翌年からは351 cu.in.のみになった。 1973年マイナーチェンジ。フロントグリルのフォグランプが横型から縦型になりグリル開口部が大きくなる。 映画では1971年モデルが『007 ダイヤモンドは永遠に』のボンドカーに採用され、1973年モデルが『バニシングin60″』で主役のエレノア(エレナー、ELEANOR)に抜擢され、約40分間のカーチェイスシーンを務めた。 栃木県警察にマッハ1の1973年モデルのパトロールカーが高速取締用車両として導入(寄贈)され、鹿沼市の免許センターに展示されている。 当初はそれなりの販売台数であったが、初代よりも大型化、ハイパワー化したため燃費が悪化しており、加えて1973年に起こった第一次オイルショックの影響もあり、小型軽量化など、省資源指向への対応ができなかったことで、最終的には販売が低迷してしまった。
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