302「ボス」V8
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「フォード・チャレンジャーV8」の記事における「302「ボス」V8」の解説
(302 "Boss" V-8) 302HPの後継機として開発されたトランザム用のエンジンである。1968年11月から翌年1月にかけ、FIAツーリングカー (当時グループ2) 公認を取得するボス302マスタング (公認名称、フォード・1969マスタングボス302) 用に1,000機製造され、1969年8月から12月にかけて再びFIAツーリングカー公認を取得するマスタングボス302 (公認名称、フォード・1970ボス302マスタング) 用に1,000機製造された。さらにトランザムの規則によりFIA公認取得後もマスタングボスと共に継続製造されたため、総製造機数は2年間で8,600機以上となり、HPとは異なり事実上の量産機である。その一部はマーキュリー・クーガーエリミネーターに転用された。なお、1968年12月からの2月間に1万車両製造され、FIA量産ツーリングカー (当時グループ1) に公認された同名車両のエンジンは通常の302V8である。 実用化を目前に控えたクリーブランドエンジンに採用されているポリアングルウェッジ燃焼室と傾斜バルブを備えたシリンダーヘッド (以下、クリーブランドヘッド) を採用している。これはポートが吸気、排気それぞれの方向へ寄せられ、通常では並行配置されるバルブは前後左右 (吸排気方向を縦とした場合) に角度を持たせることで、吸気ポートが短縮されプッシュロッドを回避する屈曲度合を緩和している。その他の構成はほぼHPと同一である。燃料供給装置は1969型式年度がホーリー・4バレルキャブレターで、競技用オプションがそれのデュアルクワッドである。1970型式年度はトランザムの規則変更によりデュアルクワッドを廃止した。また1969型式年度と1970型式年度では吸排気ポートの寸度が若干異なる。後者の方が吸気ポートの絞りがきつくなっており、排気バルブも小径化されている。 302「ボス」V8主要諸元 (年度は型式年度) (寸度諸元はチャレンジャー302V8に同じ)圧縮比1969年 10.5: 1, 1970年 10.6: 1 (いずれもプレミアムガソリン指定) 燃料供給装置 (型式) 定格流量 立方フィート毎分 (kL/min)4バレルキャブレター (ホーリー・4150) 780 CFM (22.1) グロス最高出力 英馬力 (kW) @ rpm1969年 290 (216) @ 5600, 1970年 290 (216) @ 5800 最大トルク ポンドフィート (N⋅m) @ rpm290 (393) @ 4300 1969年のトランザムではHPに匹敵する505から510英馬力 (377 - 380 kW) の最高出力であったが、同一手法を用いたことで同じ轍を踏み、成績は芳しくなかった。1970年は最高出力を475英馬力 (354 kW) に抑えながら中低速トルクを太らせ、テクニカルコースで扱いやすくした。この手法は成功し、フォードは当季トランザムのマニュファクチャラーズチャンピオンとなった。 1970年型フォード・マスタングボス302 フォード・マスタングボス302 (トランザムレース仕様) 1970年型マーキュリー・クーガーエリミネーター
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