出火推定場所における燃焼実験とは? わかりやすく解説

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出火推定場所における燃焼実験

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)

千日デパート火災」の記事における「出火推定場所における燃焼実験」の解説

大阪府警捜査一課・南署特捜本部は、1972年6月22日午前10時過ぎから約4時間を費やし出火元と推定される千日デパートビル3階東側ニチイ千日前店の寝具売場で「燃焼実験」をおこなった失火疑い掛けられている工事監督には、供述関係者の証言以外に直接的な証拠存在せず出火原因特定できないこと、またデパートビル側の防火管理不備などについて刑事責任追及するには科学的な立証が必要ということで、出火するまでの時間的経過や煙の流れ科学的に分析するために燃焼実験不可欠とされた。実験に際しては、商品装飾など火災当日の状態に復元し火災前の現場状況再現した。この燃焼実験には、大阪地方検察庁大阪市消防局大阪府警科学捜査研究所鑑識課員20人、火災発見者工事作業者4人、デパート保安係員2人実験立ち会った当初火災現場での本格的な燃焼実験は、建設省千日デパート火災調査委員会から「実際火災条件とは違うことから正確なデータ得られない」と意見出されていて、実施断念されていた。しかしながら捜査当局は「防火管理者らの刑事責任追及するには科学的な検証が必要である」として、何らかの形で火災現場においての燃焼実験模索していた。その結果捜査当局火災の完全再現実験断念し発火に至る時間的経過や煙の流動性検証することに限定した燃焼実験実施する方針固めた燃焼実験に際しては、出火推定場所である3階寝具売場木製商品台(高さ10センチメートルの上に「夏用布団化繊)」を10重ねで3列並べ(高さ1メートル)、鑑識課員が火の点いたマッチのすり軸を洋布団の上投げ捨てて実験開始された。1回目消えて失敗したが、2回目着火成功したマッチの火は洋布団の上で約5分間燻り続けたが、6分30秒後に30センチメートル四方発火し、7分後には高さ80センチメートルの炎が勢い良く燃え上がった。この発火状況は、火災第一発見者である工事作業者の目撃証言概ね一致しており、実験現場から南西40メートル離れた火災当日作業現場待機していた4人の工事作業者の確認得られた。洋布団から燃え上がった炎と煙は、その後天井スラブ)まで立ち昇り表面を這うようにエスカレーター開口部流れていく様子確認された。燃焼実験の後に発煙筒使って煙の流動性確認された。 翌23日午後からも引き続き火災現場燃焼実験が行われ、実験2日目は「7階プレイタウン」への煙の流動性について調べられた。実験立会い前日同様に大阪地方検察庁大阪市消防局大阪府警科学捜査研究所鑑識課員80人が参加していたが、そこに建築学専門家である京大助教授加わった出火推定場所の3階寝具売場に「夏用布団」計69を2メートル四方、高さ1.1メートル積み重ね14時37分にマッチ点火して実験開始された。洋布団着火した火は瞬時燃え上がり、立ち昇った煙は階段ダクト天井エレベーター隙間吸い込まれるように流れて行く様子モニター確認された。実験開始から1415秒後に7階プレイタウンの南側エレベータードアの隙間から煙が噴き出す様子確認された。18分後にクローク前の周辺に煙が充満し酸素ボンベ装着していない人は、その場に留まれる状態ではなくなった。更にそれから2分後にはプレイタウンのホール全体に煙が充満した。この実験結果から、遅くとも出火から20以内には、プレイタウンに煙が充満することが確認された。実際火災では、膨大な燃焼物から発生した煙と熱は実験とは比べ物にならないほど多量であり、窓などの開口部もその多く閉じられ閉鎖空間となっていたことから、遥かに短時間多量の煙がプレイタウンに充満した推測された。大阪府警捜査一課・南署特別捜査本部特捜本部)は、2日間の燃焼実験データ解析して工事監督失火容疑固め防火管理者らの刑事責任追及する、とした。また同特捜本部は、大阪市消防局調査結果および2日間の燃焼実験の結果を基にした「煙のデータ解析」を建設省建築研究所および京大工学部鑑定依頼した。これは延焼階で発生した多量の煙がどのような経路伝ってプレイタウンに流入したのかという流動性と、多く犠牲者を出す原因となった煙について、その速さ、量、濃度成分どれくらいであったかという危険度を算定する目的為されたのである。同特捜本部は、鑑定結果発表され次第業務上過失致死容疑防火管理者らの刑事責任厳しく追及し書類送検する方針だ、とした。

※この「出火推定場所における燃焼実験」の解説は、「千日デパート火災」の解説の一部です。
「出火推定場所における燃焼実験」を含む「千日デパート火災」の記事については、「千日デパート火災」の概要を参照ください。

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