伊号第十九潜水艦の攻撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 16:07 UTC 版)
「ノースカロライナ (戦艦)」の記事における「伊号第十九潜水艦の攻撃」の解説
1942年(昭和17年)9月13日午前11時45分、アメリカ軍機動部隊発見の報告により連合艦隊はソロモン方面で行動中の潜水艦を攻撃に向かわせた。伊9、伊31、伊24、伊21、伊26、伊19、伊15、伊17、伊33の順番で散開線を形成することになった。ところが伊19は命じられた散開線への移動前に旧配備地点においてワスプを発見しており、命令通りに散開線へ移動していたならば、ワスプ撃沈の戦果は得られなかった可能性が高い。9月14日、アメリカ海兵隊をのせた輸送船6隻は、ガ島にむけてエスピリサント島を出撃した。アメリカ軍機動部隊は、この輸送船団の支援を任じられていた。B-17は前進部隊を爆撃して重巡妙高に軽微な被害を与えたが、米機動部隊の索敵機は日本軍機動部隊を発見できなかった。 9月15日、伊19(潜水艦長木梨鷹一少佐)が、.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}南緯12度25分 東経164度25分 / 南緯12.417度 東経164.417度 / -12.417; 164.417地点で空母ワスプ(艦長フォレスト・シャーマン大佐)を攻撃した。伊19は日本時間午前9時50分に音源を探知、10時50分距離1万5000mに「空母1、大型巡洋艦1、駆逐艦数隻」を発見、11時45分に魚雷6本を発射する。ワスプに魚雷3本が命中(伊19は4本命中と聴音)、同艦は炎上して漂流したあと、雷撃処分された。 ホーネットを護衛していたノースカロライナは、ワスプ被雷地点から北北東5浬付近にいた。ワスプに命中しなかった酸素魚雷がホーネット隊の方にむかっているとの通信があったので、各艦は回避運動に入った。伊19の魚雷は、駆逐艦マスティン (USS Mustin,DD-413) とデイル (USS Dale, DD-353) の艦底を通過したりかすめたりして、ノースカロライナに向かった。ノースカロライナは18ノットで航行中であったが、1番主砲塔真横の左舷に衝撃を受ける。魚雷はノースカロライナの装甲が無い吃水の深い部分(水線下20フィート)に命中し、舷側を破ってから炸裂した。火災は発生しなかったが、舷側の4層の防水区画は破壊され、衝撃で鋲が飛ぶなどして隔壁が変形し1番主砲塔基部の配電盤室や火薬庫にも浸水を来した。第2デッキや第3デッキの乗員区画も吹き上がった衝撃波で破壊された。乗員5名が死亡し23人が負傷したものの、巧みなダメージコントロールと堅牢な構造により、最大5.6度となったノースカロライナの傾斜は、およそ6分で復元された。機関には問題なく24ノットの速力発揮が可能であったが浸水を拡大させないために速度を制限して航行した。ノースカロライナは艦隊を離れて修理を行うように命令され、めくれ上がった外板を切り取ったり補強材を入れたりする応急処置を実施したのちに真珠湾に向かった。魚雷による破孔は32x18フィートの大きさであった(幅10m、高さ5m)。5人の死者はトンガタプ島の軍人墓地に埋葬された。修理のため、本艦は11月まで活動できなかった。 この攻撃で、駆逐艦オブライエン (USS O'Brien, DD-415) にも伊19の魚雷が命中した。魚雷1本を回避したが、2本目が右舷艦首に命中した。オブライエンの艦首は10番フレームより前が大破したほか、爆発の衝撃で隔壁の破損や船体へのクラック発生、外板のリベット脱落などが生じた。応急修理を受けてたのち、本格的な修理のため本国へ向かったが、同年10月19日に船体が折れて沈没した。 なお日本側の二次資料(公刊戦史『戦史叢書』など)では、伊19は一度の攻撃で3隻(ワスプ、ノースカロライナ、オブライエン)に魚雷を命中させたとする。魚雷6本を発射し、5本を命中させたことになる。しかしサミュエル・モリソンなど海外の研究者や二次資料では、伊19がワスプを撃沈し、空母ホーネットを狙った伊15がノースカロライナとオブライエンを撃破したとする見解もある。モリソン博士は「東ソロモン群島沖海戦(第二次ソロモン海戦)のときには好機を逸したこれら二隻の日本潜水艦も、その日は大あたりジャックポットに当たった」と評している。しかし伊15は魚雷発射を記録しておらず、3隻の戦果はいずれも伊19によるものだった。ワスプの沈没とノースカロライナの戦線離脱により、太平洋戦線での稼動空母は一時的に空母ホーネット、新鋭戦艦はワシントン (USS Washington, BB-56) だけになった。
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