他の「爆買い」の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 14:37 UTC 版)
「爆買い」の言葉は日本製品の購買だけでなく、中国資本による日本の都市部での不動産投資にも使われている。大量ではないものの現金で支払われる大きな買い物であることからそう呼ばれた。不動産の爆買いは日本だけでなく、欧米諸国でも起き、世界各国で不動産バブルの原因となっているとされる。アベノミクスの円安や日本銀行の金融政策によりシンガポールや香港、ニューヨーク、ロンドンなどの他の都市と比べて割安感が増したのと、圧倒的な新築物件の多さが魅力となっており、東京では購入者のためのツアーも組まれている。東京の目黒雅叙園が米国のファンド経由で中国資本に買収された際も「爆買い」と呼ばれた。不動産だけでなく、巨額の粉飾決算で揺れていた東芝の創業事業である家電部門への海信集団や美的集団による買収や製造業では戦後最大の経営破綻をしたタカタへの米キー・セーフティ・システムズ(中国の寧波均勝電子の100%子会社)による買収など中国資本による日本企業の買収も「爆買い」と報じられた。また、中国による日本国債の「爆買い」も報じられ、2016年には世界最大の日本国債保有国となっている。ただし、「爆買い」が造語される前から中国政府系ファンドとされるOD05オムニバスチャイナトリーティによるトヨタ自動車をはじめとする200社前後の日本企業の大量株取得や日本国債の大量保有は取り上げられていた。 また、かつての日本、特に円高が急激に進行したバブル景気の時代に、ヨーロッパやアメリカなどの観光地を訪れる日本人旅行客が現地で土産物などの商品を大量に買い込んでいた行為を、近年の訪日中国人旅行客になぞらえて「爆買い」と形容する動きもみられる。2015年4月30日放送のNHK『所さん!大変ですよ』では、「文房具“爆買い”騒動の謎」と題し、品質が高く使い勝手のよいチョークを製造していた羽衣文具が廃業を公表したのが発端となり、2014年10月に日本各地でチョークの爆買い騒動が起きたと報じられた。国内で備品として確保しようとする教育機関・教員による買い占めが相次いだだけでなく、スタンフォード大学のブライアン・コンラッド教授を中心としたアメリカの数学者約200人で、1トンのチョークの在庫を共同購入していたことが明らかになった。同教授によれば「アメリカのチョークはもろく折れやすい。折れるたびに思考が停止し、集中が持続できない」のだという。 オーストラリアにおいては、2015年頃より自国製品を信用しない中国人らによる粉ミルクの転売目的での大量購入が発生。「ホワイトゴールド」との造語が生まれるほど乳製品関連株が急騰する一方で、品薄に悩まされている。 2015年9月23日には、中国共産党の習近平総書記がアメリカボーイング社の工場を訪れ、旅客機300機の発注で合意したことが「爆買い」として報じられた。同年10月に習総書記がドイツを訪れてエアバスの旅客機130機を発注した際も「爆買い」と報じられた。走出去と呼ばれてきたアフリカや中南米などの資源国への中国の巨額投融資も「爆買い」と呼ばれている。 また、中国によって行われているスポーツ選手(例:中国サッカー・スーパーリーグ)やノーベル賞を受賞した科学者などといったお雇い外国人的な人材のスカウトも「爆買い」と形容されている。日本のアニメーターに対する中国企業の「爆買い」も報じられている。また、高考に代表される中国国内で過当競争の様相を呈している受験戦争を避けて日本の東京大学などに大量の中国人が留学していることは「爆買い」を捩って「爆留学」とも形容されている。また、2022年の北京冬季オリンピックをきっかけに、中国ではウィンタースポーツなど「雪」を目的とした旅行がブームとなり、訪日旅行においても「爆滑り」現象が起こり、2019年2月と3月の訪日中国人スキー客は、前年比1.5倍と予想されたという。
※この「他の「爆買い」の例」の解説は、「爆買い」の解説の一部です。
「他の「爆買い」の例」を含む「爆買い」の記事については、「爆買い」の概要を参照ください。
- 他の「爆買い」の例のページへのリンク