事件発覚から検挙まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 17:28 UTC 版)
「河瀬駅前交番警察官射殺事件」の記事における「事件発覚から検挙まで」の解説
加害者の元巡査Xは2017年(平成29年)4月に採用され、2018年1月29日に滋賀県彦根警察署に配属された後に、事件発生まで1か月足らずの2018年3月26日に現場交番に配属されて被害者Aが加害者Xの教育係を務めていた。現場の河瀬駅前交番はJR東海道本線(琵琶湖線)河瀬駅前の商店・住宅が建ち並ぶ地域にある。 加害者Xは被害者Aとともに2018年4月2日・5日・8日・犯行当日の11日と計4回一緒に交番で勤務したが、書類の不正確な記載を訂正するよう指導されたり、パトカーで出動する際に行き方を調べてないことなどを叱責されたりしたことから怒り・鬱憤を募らせるとともに「能力を否定され自尊心を傷付けられた」ように感じた。 交番で2人と一緒に勤務していた20歳代の男性警察官は、被害者Aの生前の人柄について「書類指導は細かく厳しい人だった」、加害者Xのことは「パソコンが苦手だったが、元気であいさつがしっかりしていた」と証言した。その上で当時の2人の様子に関して「Xは事件の9日前(2018年4月2日)に書類作成を巡り被害者Aから12回か13回訂正を求められた。修正は翌日未明の3時までかかり、Xは疲れていた様子だったが『理不尽な指導・暴言・暴力』は一切なかった」と証言した。 滋賀県警察(以下「滋賀県警」または「県警」と略す)によれば事件当日の2018年(平成30年)4月11日は午前8時30分から巡査部長Aおよび巡査Xの2人で勤務しており、加害者Xは被害者Aとともに朝から現場に行き、交番に戻ると被害者Aから行方不明届の作成を指示されたが「できない」と答えて叱責された。これに腹を立てた加害者Xは2018年4月11日午後7時47分ごろ、パソコンで作業していた被害者Aの背後から拳銃を2発発射して銃弾を被害者Aの頭部・背部に命中させて即死させ(殺人罪)、パトカーで逃走して不法に拳銃・実弾3発を所持した(銃砲刀剣類所持等取締法違反)。 交番に設置された防犯カメラに記録された映像によれば2018年4月11日午後7時47分ごろ、机に向かって事務作業中だったAに対しXが背後から突然頭部に発砲した。Xはさらに1発をAの背中を撃った。Aが前方に倒れた直後、Xは正面のドアから交番を出て交番に配備されていたパトロールカーで逃亡した。 Xは事件10分後にATMを使用して預金を引き出した。それを裏付ける目撃証言として、事件発生時間帯に交番付近を通りかかった女性は「Xとみられる制服を着た男性警察官が交番から約250m離れたコンビニエンスストアに立ち寄り、そのコンビニに設置された現金自動預け払い機(ATM)を使用する姿を目撃した」と証言した上、コンビニ駐車場にはパトカーが駐車されていた。ATMの出金限度額は50万円だったがXが引き出した金額も50万円だった上、後述のように身柄を確保された際の所持金も約50万円だった。Xはこの他にコンビニでたばこ2箱・ライター1個を購入したが、これらの物品は身柄を確保された際には所持していなかった。 同日午後8時15分ごろ、滋賀県愛知郡愛荘町在住の住民から「パトカーが田んぼに突っ込んでいる」と所轄の東近江警察署に通報があった。 東近江警察署捜査員が確認したところ、そのパトカーは現場交番配備の車両であることが判明した。そのため、連絡を受けた彦根署員が交番に向かったところ、交番内で被害者巡査部長Aが後頭部・背中からそれぞれ血を流して倒れているのを発見して「人が倒れている」と119番通報した。 Aは彦根市内の病院に救急搬送されたが間もなく死亡が確認された。死因は司法解剖の結果「頭部を銃撃されたことによる即死」(脳幹部損傷)だったことが判明した。 傷が銃で撃たれた様なもの(銃創)だったことに加え、同じ交番に勤務しているはずの巡査Xが行方不明になっていたことから滋賀県警は「XがAを射殺し、その後逃走した可能性が高い」と判断して殺人事件として捜査を開始した。Xは身柄を確保される約15分前に携帯電話で親と会話していた。 被疑者Xは翌12日未明、愛荘町内の近江鉄道本線の線路上を制服姿で歩いていたところを捜査員に発見され、殺人容疑で身柄を確保された。被疑者巡査Xは抵抗することなく身柄を確保され、同日5時30分ごろに殺人容疑で逮捕された。Xは逮捕された当時は制服姿のままで、現金約50万円が入った財布・携帯電話を所持していた。 巡査Xが「拳銃を田んぼに捨てた」と供述したことを受けて滋賀県警は「第三者に拾われたら危険だ」としてその捜索のために警察官を大量投入し、午前7時になって残り3発の実弾が装填された拳銃がベルト・手錠・警棒とともに同県犬上郡豊郷町内の田んぼに放棄されているのが発見された。拳銃にはもともと計5発の銃弾が装填されていたが、発見時点で残っていた銃弾が3発だったため「5発のうち2発がAに向けて発砲された」とされる。
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