主語・目的語・動詞の語順
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:33 UTC 版)
他動詞節に現れる主語 (S: subject)・目的語 (O: object)・動詞 (V: verb) の3つの要素の語順を考えると3!=6通りの可能性がある。他動詞の平叙文で主語と目的語の両方が代名詞でない完全な名詞句の場合では、6通りの語順全てが自然言語の基本語順として確認されているが、目的語が最初に来るOSV型とOVS型は珍しい。 Dryer (2011a) は世界1377の言語を調べ、可能な語順が複数ある場合には使用頻度によって基本語順を決めた。この調査によれば、SOV型が一番多く565言語、次いでSVO型が488言語であった。他の4つのタイプはいずれも100言語以下で、VSO型が95言語、VOS型が25言語、OVS型が11言語、OSV型が4言語であった。同じくらいよく使われる語順が二つ以上ある言語は189言語あり、これらは頻度によって基本語順を決定できないため Dryer は分類から排除した。 主語、目的語、動詞の語順の各類型にあてはまる言語の数類型言語の数主語・目的語・動詞 (SOV) 565 主語・動詞・目的語 (SVO) 488 動詞・主語・目的語 (VSO) 95 動詞・目的語・主語 (VOS) 25 目的語・動詞・主語 (OVS) 11 目的語・主語・動詞 (OSV) 4 基本語順なし 189 計: 1377 SOV型は世界中に分布しているが、中国・東南アジア・中東以外のアジアや、ニューギニアで特に支配的である。SVO型はサハラ砂漠以南のアフリカや、中国から東南アジア・太平洋西部にかけての地域、ヨーロッパに広く見られる。 SOV型 - 日本語、琉球語、アイヌ語、アルタイ諸語、インド・イラン語派、ドラヴィダ語族、チベット・ビルマ語派、ニヴフ語、ウィルタ語、ブルーシャスキー語、パーリ語、朝鮮語(韓国語)、アムハラ語、エスキモー語、チュクチ語、テュルク諸語、アイマラ語、ケチュア語、ナバホ語、ホピ語、バスク語、シュメール語、アッカド語、ヒッタイト語、エラム語など。 SVO型 - 英語、フランス語、中国語(広東語などの諸方言や漢文を含む)、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、カタルーニャ語、ルーマニア語、ブルガリア語、現代ギリシア語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、タイ語、ラーオ語(ラオス語)、ベトナム語、ジャワ語、インドネシア語、マレー語(マレーシア語)、クメール語(カンボジア語)、スワヒリ語、現代アラビア語諸方言、ハウサ語、ヨルバ語、グアラニー語、ナワトル語など。 VSO型 - 古典アラビア語、ヘブライ語、アラム語、フェニキア語、古代エジプト語、ゲエズ語、ゲール語、古典マヤ語、タガログ語、セブアノ語、イロカノ語、マオリ語など。 VOS型 - フィジー語、ツォツィル語など。 OVS型 - ヒシカリヤナ語など。 OSV型 - シャバンテ語(英語版)など。 ヒシカリヤナ語 toto y-ahosɨ-ye kamara 男 3:3-捕まえる-DIST.PST ジャガー 「ジャガーが男を捕まえた」 ナドゥブ語(英語版) awad kalapéé hapʉ́h ジャガー 子供 見る.IND 「子供がジャガーを見る」
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