三人姉妹
★1.三人姉妹の末子が物語の主人公となり活躍する。あるいは末子が幸福になる。
『黄金のろば』(アプレイウス)第4~6巻 ある国の王が3人の娘を持っていた。3人のうち、末娘のプシュケがきわだって美しかった。彼女は女神ヴェヌスの息子エロス(クピード)の妻となり、やがては神々の仲間入りをした。
『篁物語』 篁が、右大臣の娘に求婚する。右大臣には3人の娘があったが、大君・中の君は拒否し、三の君が篁の求婚に応ずる。後、大君・中の君は身分の低い男の妻になり、三の君と結婚した篁は出世して、宰相より上の位になった。
『美女と野獣』(ボーモン夫人) 野獣の宮殿のバラの1枝を商人が折ると野獣は怒り、「お前あるいはお前の娘の1人が、死なねばならぬ」と言う。商人の3人娘のうちの末娘ベルが、父の命を救うために野獣の宮殿に住む。しかし野獣と見えたのは、美しい王子が魔法で姿を変えられていたのだった。
『蛇婿入り』(昔話)「水乞型」 爺が、「日照りの田に水をかけてくれる者がいたら、3人いる娘の1人を嫁にやってもよい」と独りごとを言う。蛇が田に水をかけ、娘を要求する。3人娘の長女も次女も「蛇の嫁などにはならぬ」と拒絶し、末娘が承諾して、蛇について行く(山形県最上郡真室川町)→〔瓢箪〕4。
『まっしろ白鳥』(グリム)KHM46 3人姉妹の長女と次女がバラバラ死体の部屋を見る。驚いて持っていた卵を落とし、卵に血がついたために、長女と次女は魔法使いの男に殺される。末娘が、卵をしまっておいて部屋を見、長女と次女を蘇生させる。魔法使いは「お前は試験に及第したから私の嫁にしてやる」と言うが、末娘は魔法使いをだまして焼き殺す。
*長者の3人娘の末子が、天稚彦と結婚する→〔変身〕2bの『天稚彦草子』(御伽草子)。
*3人娘の末姫が、早池峯(はやちね)山を得る→〔夢の売買〕2の『遠野物語』(柳田国男)2。
『リア王』(シェイクスピア) 80歳を越して退位したリア王には、3人の娘がいた。長女ゴネリルと次女リーガンは父を邪魔者扱いし、リア王は怒りと悲しみで狂気となって、荒野をさすらう。ゴネリルとリーガンは、ともに有夫の身でありながら、悪人エドマンドの愛を得ようとして争い、ゴネリルはリーガンを毒殺して、自殺する。父リア王を愛する末娘コーディリアはフランス王と結婚し、父を救うため、兵を率いてエドマンドの軍と戦うが敗れ、捕らわれて絞殺される。リア王も悲嘆して死ぬ。
★3.近代劇の三人姉妹。
『三人姉妹』(チェーホフ) オーリガ、マーシャ、イリーナの3人姉妹は貴族の家柄だが、父が死に、時代も変わったので、働いて暮らしをたてねばならない。オーリガは学校の教師をして、校長になる。マーシャは不倫をするが、結局別れる。イリーナは婚約者を決闘で失う。3人姉妹の兄アンドレーは借金をして、屋敷を抵当に入れてしまう。幕切れに、オーリガは2人の妹を抱いて言う。「生きていきましょう。もう少ししたら、私たちにもわかるような気がする。なぜ生きているのか、なんのために苦しむのか・・・・」。
『叫びとささやき』(ベルイマン) 3人姉妹のうちの次女、37歳のアグネスが子宮癌で死ぬ。死体となったアグネスは、すすり泣きながら長女カーリンを呼び、「そばにいて。手を握って温めて」と請う。カーリンは「あなたの死に関わりたくない」と言って、頼みを拒否する。アグネスは三女マリアにも同様に訴え、マリアに抱きつき接吻する。マリアは悲鳴をあげて逃げる。女中のアンナだけがアグネスを優しく抱き、アグネスはようやく安らかに眠る。
『古事記』上巻 スサノヲの持つ十拳剣(とつかのつるぎ)を、アマテラスが3つに折って噛み砕き、吐き出す息の霧から、3柱の女神が生まれ出た。最初にタキリビメノミコト、続いてイチキシマヒメノミコト、タキツヒメミコトの順に生まれ出た。この3女神はスサノヲの十拳剣を物実(ものざね)として生まれたので、スサノヲの子とされた。
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