ワイヤーロープ wire rope
ワイヤーロープ
ワイヤーロープ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/10 05:35 UTC 版)

ワイヤーロープ(Wire rope)とは、素線となる金属束をストランド(子綱)となるワイヤでねじりよりあわせてつくられる金属製ロープ。
概要
ワイヤロープの素線は、一般に針金と呼ばれる軟鋼線と、ばね鋼のピアノ線の中間くらいの硬さのものが使われる。撚りの主な構成パターンは、素線を一段から多段に同心円状に片方より合わせた螺旋状(スパイラル)型、ストランドをさらに心綱周りに一層から数層より合わせるものストランデッド型などがあり、ストランデッドからさらにより合わせ、より大きな直径のワイヤーロープとなるケーブルレイドロープと呼ばれるパターンもあり、レイドロープの複数のストランドで構成させている。
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S撚りの普通撚り(LHOL)はロープの撚りとストランドの撚りが逆向き
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Z撚りのラング撚り(RHLL)ではロープの撚りとストランドの撚りが同方向
歴史
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現代のワイヤーロープは、ドイツ・ニーダーザクセン州クラウスタールハルツ山地での採掘に使用するために、1831年から1834年に鉱山技師ヴィルヘルム・アルベルトによって発明された [1] [2]。以前から使用されていた鎖や、麻など天然繊維で作られたロープよりも優れていることが証明されたため、直ちに普及した[3]。
建設

撚りロープ
大規模な吊橋では平行線ケーブルが使用されるが、小規模な橋や支線式鉄塔など支持荷重が比較的小さいものでは撚線ワイヤーロープも多く使用される。
終端(エンド)処理
ワイヤーロープを切断した端部はほつれ止めや、先端がワイヤーブラシのように物を傷受けないよう処理する必要がある。吊り下げフック等と連結できるようループ状にすることが多く、環の内側には摩耗防止にシンブル(指ぬきの意)という金具がつくこともある。
アイスプライスまたはフランダースアイ
ループの基部の撚りを緩めて隙間を作り、先端をほどいたストランドを差し込んで引き締め、一体化させたもの。張力が加わるとより強い抜止力が働く自緊作用もあるが、元々は繊維ロープで用いられてきた方法で、堅い鋼線のワイヤーロープでは可能な太さに限度があり、特に素線が太いものには使えない。
ワイヤーロープクリップ

ボルト締めのクランプ金具で固縛するもの。現場合わせが容易だが耐久性はやや劣る。
スエージターミネーション(かしめ)

スリーブやフェルールと呼ばれる、主にひょうたん型断面形の筒状金具にワイヤーを通し、電線に用いる圧着端子と似た要領で締め潰して固定するもの。生産性が高く固定力も強いが、太く大荷重のロープではスリーブも頑強で、かしめ加工に相応の機器が必要になり、現場施工よりも工場生産寄りの手法である。
脚注
- ^ Koetsier,Teun; Ceccarelli, Marc (2012). Explorations in the History of Machines and Mechanisms. Springer Publishing. p. 388. ISBN 9789400741324. オリジナルの31 March 2017時点におけるアーカイブ。 9 April 2014閲覧。
- ^ Donald Sayenga. “Modern History of Wire Rope”. History of the Atlantic Cable & Submarine Telegraphy (atlantic-cable.com). 3 February 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。9 April 2014閲覧。
- ^ Modern History of Wire Rope - Donald Sayenga Archived 2010-10-27 at the Wayback Machine.
関連項目
外部リンク
ワイヤーロープ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 02:48 UTC 版)
ワイヤーロープはトラクション式エレベーターなどで用いられる巻上索である。材質は炭素鋼が用いられ、建築基準法によって安全率を10以上確保することが義務付けられている。ロープの構造は、まずストランドと呼ばれる細い鋼線をより合わせたものがあり、さらにそのストランドを8本ほどより合わせてできている。柔軟性を保つために、ロープの中心部にはマニラアサやサイザルアサなどの硬質繊維芯が入っている。太さは直径10 mm・12 mm・16 mmなどがあり、かご積載量に応じて使用する本数が増えたり、より太いものが使われる。トラクション式ではロープの両端にかごとカウンターウェイトが吊るされていて、それらの連結部にはソケットと呼ばれる器具にバビットメタルを注入するという末端処理が施されていて、連結強度を確保している。 高層ビルのエレベーターでは使用するワイヤーの質量が多く、そのままの状態では最上下階近辺ではかご側とカウンターウェイト側の重量がワイヤーロープの自重によってアンバランスになり、巻上機のシーブから滑り落ちてしまう恐れがある。そのアンバランスを解消するために、かご底部とカウンターウェイト底部との間には、コンペンセーティングロープあるいはコンペンセーティンチェーンと呼ばれる、重量バランス調整用のワイヤーロープやチェーンが渡されている。 映画等に登場する、エレベーターのワイヤーが切れて高速で落下するシーンには誤りが多い。エレベーターのかごを吊り下げるワイヤーの強度は定員の約10倍の重さに耐えられる強度を有することが義務づけられており、ワイヤーの使用本数も3本以上いるため、その全てが切断すること自体が極めてまれである。万一、切断してかごが落下に転じても、調速機ロープが同時に切断されない限りは、定格速度の1.4倍で非常止め装置が作動して急停止する。つまり、映画『マトリックス』のワンシーンのように爆破されたり、主ロープと調速機ロープが同時に破断されない限り、落下事故は起き得ない。 なお、2011年7月26日には東京メトロ有楽町線・副都心線平和台駅でエレベーターのワイヤー3本が全て切れて数m落下する事故があり、乗っていた50歳代の女性が尻や肘に2週間の打撲傷を負うという事故が発生している。1945年7月28日、エンパイア・ステート・ビルディングに航空機が激突したことによってエレベーターのかごが300メートル以上落下する事故が起こったことがあるが、乗っていた従業員は生存していた。 以前は「非常止め装置が調速機ロープを切断されるなどして作動しなくても、エレベーターはエレベーターシャフト周壁との間隙が小さいことにより、かごにかかる空気抵抗が大きいため、ある程度の減速効果を有する」と言われていた[要出典]が、東芝エレベーターテスト塔での落下事故で、減速効果はほとんどないと証明された。このような効果を得るには、シャフト内の空気量が不変でなければならない。
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