ブリティッシュ・モーター・コーポレーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/26 03:54 UTC 版)
「ライレー」の記事における「ブリティッシュ・モーター・コーポレーション」の解説
1952年にはナッフィールドとオースチン・モーター・カンパニーが合併し、ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)となった。 この結果、ブランド戦略の混乱・錯綜と、プロダクション・モデルの特徴希薄化は救いがたいものとなった。ライレーはMGとウーズレーの間に置かれ、ライレーモデルのほとんどはオースチン/モーリスで設計された車のバッジエンジニアリング、つまり姉妹車となってしまった。 BMCでの代表的なライレー車としては、ナッフィールド時代から開発が進められ、1953年から生産されたライレー・パスファインダーがあげられる。これはライレー2.5L4気筒エンジンを搭載し、ライレーRMシリーズの後継となった。イタリアン・デザインの影響を受けながら構築されたフルワイズ・フラッシュサイドのオールスチールボディは、ナッフィールドに所属していたジェラルド・パーマーによる社内デザインである。これはボディを共用して別エンジンを搭載し、内外装を若干変更したウーズレー・6/90のベースともなっている。 しかし伝統あるライレー・ツインカムは動弁・吸排気系が両側に配置され、加工箇所も多いため、高性能だが基本的に大量生産に不向きな高コストエンジンであった。対して戦後開発されたBMC標準エンジン(オースチン系の設計で4気筒のAシリーズ・Bシリーズ、モーリス系の設計で6気筒のCシリーズ)はいずれも構造単純なターンフローOHVで、エンジン片側に動弁系一切が集約され、当時のトランスファーマシンでも一括加工しやすかった。この結果BMCは、旧ナッフィールド系各車に混在していたサイドバルブ(モーリス系実用小型車などが搭載)、SOHC(ウーズレー・MGなどが搭載)、そしてライレー・ツインカムOHVなど雑多なエンジンを合理化対象にして製造中止し、1950年代後半までには大排気量6気筒エンジンを搭載していた一部の最高級モデル(オースチンA135シリーズなど。Cシリーズよりも大型のエンジンを商用車と共用していた)を除いて、ほとんどの量産車種をA・B・Cいずれかの標準エンジン搭載に集約してしまった。 このため1957年以降パスファインダーはウーズレー6/90とのエンジン面での違いもなくなり、内外装に僅かな差別化が見られるだけのライレー・ 2.6(ツー・ポイント・シックス)という名前の姉妹車となった。 2.6は大戦後唯一の6気筒ライレーではあったが、そのエンジンは量産性と汎用性だけがとりえで性能面ではいささか凡庸鈍重なCシリーズエンジンであり、それ以前のビッグフォー2.5より性能は低下した。これがライレー最後の大型モデルであったが、1959年5月には生産終了した。長年の経緯から名ばかりが残ったようなライレーとウーズレーは小型車が主流となり、ライレーは2L以下のセグメントに収斂された。 1957年、ライレー・1.5(ワン・ポイント・ファイブ)とウーズレー・1500が登場した。シャーシ設計の優れた1000cc級小型車モーリス・マイナーのフロアパネルを利用し、フルワイズの丸みのあるボディに1クラス上の1500ccエンジンを搭載したウーズレーとライレーの姉妹車である。外見は共通だったがライレーはよりスポーティな車として宣伝された。このシリーズは小型車レースでも大いに活躍したが、生産期間は長くなかった。 1959年4月でのライレーの最上級はライレー・4/68(シックスティ・エイト) サルーン。今回はMGマグネット・マークIII とウーズレー・15/60と姉妹車だった。1961年には全車共にモデルチェンジされ、ライレー・4/76(セブンティ・シックス)となる。4/68、4/70はオースチンA50系のバッジエンジニアリングともいうべきもので、内外装の仕上げはともかく、骨格と性能はきわめて凡庸な実用セダンに過ぎず、スポーティさとは程遠い車であった。 最後のライレーとなったのは、1960年代、Miniベースで作られたライレー・エルフ (Elf)および、Miniの上位モデルに当たるADO16シリーズの一つライレー・ケストレルである。もちろんこれにも(ライレーと同じく惰性で残されていたような)ウーズレーの姉妹モデルがありウーズレー・ホーネット・ウーズレー・1100/1300と称した。今回は外見が異なり、中身が一緒となっていた。 これら最後のライレーとなったバッジエンジニアリングモデルの生産終了は1969年だった。以後ブランドは休止状態である。 1994年、ローバー・グループが BMW に買収された。Mini が BMW/MINI となり、BMW はトライアンフとライレーのブランド商標権をも保持することになった。 BMWは、長く生産されてブランド性の高いMINIをBMW/MINIとして復活させたが、ライレーの空白期間はあまりにも長く、近い将来にライレーが復活する見込みは立っていない。
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