ADO16
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/16 07:57 UTC 版)
やがてオースチンも、モーリスを代表とするナッフィールド・グループとの合併が決まり、1952年にブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が誕生した。そして、ウーズレーとともにBMCの高級部門としての役割が与えられた。 1962年にモーリスから発売されたADO16(ADO はAustin Drawing / Design Officeを表す)は、徐々にそのシリーズを拡大していき、最終的にはBMCの6部門のすべてから少しずつ趣向を変えて販売されることになり、1964年にはバンデン・プラ版が加えられた。これが「バンデン・プラ・プリンセス1100」であり、大衆車ブランドのオースチンやモーリス、スポーツカーメーカーであったMGなどとの差別化を図るべく、思い切った高級化の手法が採られ、それまでの小型車の常識を覆すものとなった。 外装は以前のバンデン・プラと同じフロントマスクや、荘厳なグリル、フォグランプなどにより、他の ADO16 とは異なる高級感を醸し出していた。内装は、車内のあらゆる部分を柔らかなモケットで覆う、ダッシュボードにウォールナットのウッドパネルを使用、ドアトリム上端にウッドキャッピングを施す、シートはコノリーレザーをあてがい、分厚いクッションを使った上質なものを使用するなど、全長3.7 m、排気量1,100 ccの小さなサルーンに、それまでの大型高級車で培ってきた手法をそのまま持ち込んだ。また、前席背面には後席用の折り畳み式ウォールナット製ピクニックテーブルが組み込まれるなど、このサイズでショーファードリブンカーを思わせるしつらえとなっていた。小型ながら、優美なスタイルと豪華な内装で小さなロールス・ロイス、「ベビーロールス」と呼ばれた。後に1,275 ccエンジンが追加されている。 その後ADO16のマイナーチェンジに合わせた改良とコストダウンが行われた。リアコンビネーションランプの大型化、よりファストバックが強調されたスタイリング、内装の小変更などに加え、エンジン排気量を1,300 ccに統一するなどの変更が行われる。これに伴い、マイナーチェンジ以前のモデルをMk-I (マークワン)、それ以降を Mk-II と呼ぶようになった。Mk-Iのみテールフィンの存在が顕著で、リアコンビランプが小さく、その角度も直立気味なため、識別は容易である。 最終型となるMk-IIIは最後まで残ったADO16の一つとして、1974年まで生産が継続されている。
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