ピトレシンとは? わかりやすく解説

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アルギニンバソプレッシン

分子式C46H65N15O12S2
慣用名 アルギニンバソプレッシン、Arginine vasopressin、[Arg8]バソプレッシン、[Arg8]vasopressin、アルギニンバソプレシン、Arg-Vasopressin、AVP、Arginine-vasopressin、ピトレッシン、Pitressin、8-アルギニン-バソプレッシン、8-Arginine-vasopressin、ピトレシン
体系名:L-Cys(1)-L-Tyr-L-Phe-L-Gln-L-Asn-L-Cys(1)-L-Pro-L-Arg-Gly-NH2Cys(1)-Tyr-Phe-Glu(NH2)-Asp(NH2)-Cys(1)-Pro-Arg-Gly-NH2


バソプレッシン

(ピトレシン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/10 22:41 UTC 版)

IUPAC命名法による物質名
発音 [ˌvzˈprɛsɪn]
薬物動態データ
血漿タンパク結合 1%
代謝 主に肝臓と腎臓
半減期 10–20 分
排泄 尿
データベースID
CAS番号
11000-17-2 
ATCコード H01BA01 (WHO)
PubChem CID: 644077
IUPHAR/BPS英語版 2168
DrugBank DB00067 
ChemSpider 559126 
UNII Y87Y826H08 
KEGG D00101  
ChEBI CHEBI:9937 
ChEMBL CHEMBL373742 
別名 Antidiuretic hormone (ADH); arginine vasopressin (AVP); argipressin
化学的データ
化学式
C46H65N15O12S2
分子量 1,084.24 g·mol−1
物理的データ
密度 1.6±0.1 g/cm3
テンプレートを表示
AVP
識別子
記号 AVP, ADH, ARVP, AVP-NPII, AVRP, VP, AVP gene, AVP (gene), Prepro-AVP-NP II, arginine vasopressin gene, vasopressin gene, prepro-arginine-vasopressin-neurophysin II gene, vasopressin-neurophysin II-copeptin, vasopressin-neurophysin 2-copeptin, prepro-AVP2
外部ID OMIM: 192340 MGI: 97453 HomoloGene: 417 GeneCards: AVP
遺伝子の位置 (ヒト)
染色体 20番染色体 (ヒト)[1]
バンド データ無し 開始点 3,082,556 bp[1]
終点 3,084,724 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
染色体 2番染色体 (マウス)[2]
バンド データ無し 開始点 130,418,093 bp[2]
終点 130,418,974 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 protein kinase activity
ホルモン活性
cysteine-type endopeptidase inhibitor activity involved in apoptotic process
neurohypophyseal hormone activity
受容体結合
V1A vasopressin receptor binding
V1B vasopressin receptor binding
neuropeptide hormone activity
細胞の構成要素 細胞外領域
細胞質基質
clathrin-coated vesicle membrane
細胞外空間
secretory granule
樹状突起
生物学的プロセス negative regulation of cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic process
血管収縮
negative regulation of release of cytochrome c from mitochondria
ERK1 and ERK2 cascade
water transport
細胞間シグナル伝達
negative regulation of apoptotic process
protein kinase C signaling
generation of precursor metabolites and energy
positive regulation of peptidyl-serine phosphorylation
positive regulation of gene expression
renal water homeostasis
シグナル伝達
アポトーシス
membrane organization
regulation of signaling receptor activity
Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路
maternal aggressive behavior
positive regulation of systemic arterial blood pressure
positive regulation of cytosolic calcium ion concentration
negative regulation of female receptivity
グルーミング
locomotory behavior
positive regulation of cell population proliferation
positive regulation of glutamate secretion
有機環状化合物への反応
positive regulation of cell growth
positive regulation of prostaglandin biosynthetic process
positive regulation of cellular pH reduction
response to testosterone
response to nicotine
社会的行動
regulation of renal sodium excretion
hyperosmotic salinity response
母性行動
勃起
response to ethanol
positive regulation of vasoconstriction
multicellular organismal water homeostasis
negative regulation of transmission of nerve impulse
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒト マウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_000490

NM_011025

RefSeq
(タンパク質)

NP_000481

NP_035155

場所
(UCSC)
Chr 20: 3.08 – 3.08 Mb Chr 20: 130.42 – 130.42 Mb
PubMed検索 [3] [4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト 閲覧/編集 マウス

バソプレッシン: Vasopressin)は、ヒトを含む多くの動物で見られるペプチドホルモンである。ヒトでは視床下部で合成され、脳下垂体後葉から分泌される。片仮名表記ではバゾプレシン: Vasopressin)などと書かれることもあり、抗利尿ホルモン(: Antidiuretic hormone:ADH)、血圧上昇ホルモンとも呼ばれる。多くの動物ではアルギニンバソプレッシン(: Arginine vasopressin:VP)だが、ではリシンバソプレッシン鳥類ではアルギニンバゾトシンである。アルギニンバソプレシンは高用量で強力な血管収縮作用を持ち、心肺蘇生敗血症などにおいて血管収縮薬として用いられる他、低用量で尿崩症の治療にも用いられる。合成アルギニンバソプレシン製剤(商品名 ピトレシン)が市販されている。

ヒトにおいて

抗利尿ホルモンの名の通り、腎臓での水の再吸収を増加させることによって、利尿を妨げる働きをする。またVaso(管)+ press(圧迫)+ in から作られた語であることからもわかるように、血管を収縮させて血圧を上げる効果がある[5]

意義

利尿を妨げることは体液の喪失を防ぐことになり、脱水ショックなどのように循環血漿量が減少した時(血漿浸透圧が上昇した時)に体液を保持する意義がある。

構造

9アミノ酸からなるペプチドである。Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Arg-Gly-CONH2のCysとCysがS-S結合でつながった構造。

合成・分泌

視床下部にある神経細胞体で合成されたシグナルペプチド(SP)、バソプレッシン(VP)、ニューロフィジン(NPH)、糖タンパク質(GP)からなるプレプロプレッソフィジンと呼ばれるプレプロホルモンは、最初にシグナルペプチドを取り除かれプロホルモンとなり、軸索輸送により脳下垂体後葉にあるシナプスへ送られる間に開裂しバソプレッシンとなり、血管内へ分泌される。

受容・伝達

バソプレッシンのシグナル腎臓細胞膜にあるV2受容体を介して伝えられる。そして、3量体Gタンパク質であるGsタンパク質に情報は伝達され、それがアデニル酸シクラーゼを活性化させる。それによりATPがcAMPに変わり、そのcAMPはAキナーゼを活性化する。そのAキナーゼは小胞にあるアクアポリン2を管腔側に移行させて、管腔内の水を細胞内に再吸収する。それにより抗利尿作用が促進される。

作用機序

腎臓尿細管細胞の1つである集合管内にあるアクアポリン2(AQP2)が管腔側細胞膜の間質液に移動し、集合管内の水の透過性が上昇し水分再吸収を促進する。

バソプレッシンに関連した疾患

治療薬としてのバソプレッシン

ホルモン補充療法

バソプレッシンは、脳下垂体後葉の荒廃による分泌不全(中枢性尿崩症)に対して、注射剤として用いられている。 また、誘導体であるデスモプレッシンは、注射・点鼻の形で用いられている。

救急医療における適応

敗血症性ショックに対する血管収縮薬として、ノルアドレナリン投与で効果が不十分な場合に第二選択として投与が考慮される(『日本版敗血症ガイドライン2020』)。

以前、心停止に対する血管収縮薬の1つとして投与されていたこともあったが、現在のガイドライン(『JRC蘇生ガイドライン2015』:2020でも変更なし)では推奨されていない(『バソプレシンをアドレナリンの代用として使用すべきでないことを提案する(弱い推奨、低いエビデンス)』)。

ヒト以外の生物において

腎臓とは異なるタイプの受容体が脳にも分布しており、バソプレッシンが動物の行動に影響を与えることがラットなどを用いた実験で報告されている。さらに幼少期のマウスにストレスを与えると、バソプレッシンの分泌が促進され、これによりエピジェネティックな調節によりバソプレッシンの分泌レベルが生涯にわたって高くなる。そのことにより記憶力の低下、適応性などに対する困難を生じるという結果が報告された。

出典



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