ヒノキ亜科 Subfamily Cupressoideae
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 05:12 UTC 版)
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クロベ属(学名;Thuja) 東アジアとアメリカに5種ほど知られ、日本にはクロベ(Thuja standishii)が分布する。クロベは黒檜と書き、由来は葉の裏の気孔が白くなり目立つヒノキに比べてクロベは緑色で目立たないから他諸説ある。ネズコとも呼ばれる。ちなみに白檜(シラビソ、シラベ)と呼ばれる樹もあるが、マツ科モミ属(学名:Abies)でクロベやヒノキとは遠縁である。 クロベ属の樹皮 クロベ属の若い球果 クロベ属の開いた球果 アスナロ属(学名:Thujopsis) 日本に分布するアスナロ(Thujopsis dolabrata)一種だけから成る単型の属である。アスナロ(T. dolabrata)は樹高30mに達する中型種である。ヒノキ科の中ではかなり北方まで分布する種類で、北海道南部まで分布し、最大の産地は青森県である。各地で方言名を持ち、最大産地の青森県における「ヒバ」、能登半島における「アテ」がとくに有名である。木材には精油ヒノキチオールを豊富に含み、腐りにくく高級木材として使われる。 アスナロの葉。白い気孔が目立つ。 ヒノキ属 Chamaecyparis アジアとアメリカに合計6種ほどが知られる。日本にはヒノキ(C. obtusa)とサワラ(C.pisifera)が分布する。いずれも樹高20m以上、種によっては70m近くに育つ大型種で、木材は腐りにくいことから高級建材として扱われる。 アメリカ西部原産のローソンヒノキ(C. lawsonia 丹沢山地におけるヒノキ植林地 タイワンベニヒノキ(C. formonensis)の樹形と樹皮 ヒノキ属の葉と球果 ヒノキの樹皮を用いた屋根である檜皮葺 フッケンヒバ属(学名;Fokienia) 中国南部からラオス、ベトナムにかけてフッケンヒバ(Fokienia hodginsii)一種だけから成る単型の属である。中国名は福建柏。ヒノキ属に含める説もある、 フッケンヒバ属の樹形 丸い樹冠を持つ個体 樹皮は滑らかである Calocedrus 和名未定の属。アジアに3種およびアメリカに1種が分布する。中国語名は肖楠(クスノキに似ている)や翠柏、英語名はincense ceader(香りのあるヒノキ) Calocedrus属の樹形 Calocedrus属の葉および雄花 Calocedrus属の球果 Calocedrus属の種子 Tetraclinis 和名未定の属。アフリカ大陸北部の地中海沿岸地域に分布するTetraclinis articulata(和名未定)一種だけから成る単型の属である。T. articulataは樹高15mほどの小型~中型種。 乾燥した岩場に生えるTetraclinis属。モロッコの国立公園 Tetraclinis属の樹形 Tetraclinis属の若い球果 Tetraclinis属の種子 Microbiota 和名未定の属。ロシア極東に分布するMicrobiota decussata(和名未定)一種だけから成る単型の属である。M. decusattaは樹高1mに満たない小型種で、マツ科マツ属のハイマツ(Pinus pumila)のように横に広がるように伸びる。 Microbiota属の樹形 Microbiota属の葉および球果 コノテガシワ属(学名;Platycladus) コノテガシワ(Platycladus orientalis)一種だけから成る単型の属である。コノテガシワもスギと同じく冬は葉が茶色に変色する。 コノテガシワの樹形 コノテガシワの雌花 コノテガシワの葉と球果 冬に葉が茶色に変色したコノテガシワ Xanthocyparis 和名未定の属で2000年代に提案された新しい属である。ベトナムに分布するXanthocyparis vietnamensis一種だけから成る単型の属である。アメリカの一種を加えて2種とする説もある。 イトスギ属(学名:Cupressus) 東アジアからヒマラヤにかけての地域と、アメリカ大陸に合計25種程度が知られる。樹高数mの小型種から40mに達する大型種まで含む。一般にアメリカ大陸の種はアジアのものより球果を構成する鱗片の数が少なく、鱗片上にはしばしば棘を有するなどの違いがありかつては別属にされていた。アメリカ産の一部の種には晩生球果の性質を持つものがある。 モロッコの乾燥地帯で育つイトスギ属の一種C. atlantica イトスギ属の樹形 海岸沿いで育つイトスギ属 葉は細い。この種はやや垂れ下がるC. cashmeriana アジア産イトスギ属の球果C. duclouxiana アメリカ産イトスギ属C. macnabianaの球果。晩生球果である ビャクシン属(学名:Juniperus) 南米とオーストラリアを除いた北半球の北極から熱帯のアフリカまで幅広い分布地を持つグループである。日本にはイブキ(J. chinensis)が分布する。針葉樹では珍しく種子を風散布ではなく、動物散布を期待して進化したとみられるグループで果実を付ける。針葉樹ではほかにマキ科やイチイ科が果実を付ける方向に進化したとみられる形態を持つ。ビャクシン属は異種寄生性を持つサビキンの一種Gymnosporangium属菌の宿主の一つであり、もう一つの宿主であるバラ科の果樹の赤星病を引き起こすサビキンの感染源として重要である。果樹への被害を防ぐためビャクシン属の植栽を規制している地域もある。これは同じく異種寄生性を持つサビキンによる五葉マツ類発疹さび病(英:white pine blister rust)からマツ属を守るために、宿主となるスグリ属(Ribes)を栽培しないように規制しているのと似ている。 乾燥地帯で育つビャクシン属の一種J. osteosperma ビャクシン属の樹形 カナリア諸島のエル・イエロ島のビャクシン属の一種 イブキ(J. chinensis)に見られる針状の葉(needle leaf)と鱗状の葉(scale leaf) ビャクシン属の果実 ビャクシン属の果実と種子 ビャクシン属の枝に形成されたGymnosporangium属サビキンの胞子
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