バクシャーリー写本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/18 19:53 UTC 版)

バクシャーリー写本(バクシャーリーしゃほん)は、今のパキスタンのバクシャーリー付近で発見された文献である。サンスクリット語のシャーラダー文字で書かれており、古代インドのヴェーダ時代と古典期をつなぐ数学の貴重な文献として知られている。放射性炭素年代測定によって西暦3世紀から4世紀頃に書かれたとされる[1]。
概要

1881年、バクシャーリー村の付近で廃墟を掘り起こしていた農夫が発見した。樺の樹皮に書かれた70枚ほどの文献があり、1902年からオクスフォード大学のボドリアン図書館に収められている[1][2]。発見後にルドルフ・ヘルンレによって一部が英訳され、その後、注釈つきでジョージ・ラスビー・ケイ (George Rusby Kaye, 1866-1929) が英訳(Kate 1927)[2]した。写本の著者は知られていない。
バクシャーリー写本は、規則(スートラ)と、その例題が集められており、次のような順番で書かれている。規則、例題(はじめは言語、次に記号)、解、検算。
算術と代数が中心で、幾何学的な求積問題も含まれている。算術の例題には、分数、平方根、損益勘定、利息、三数法などがある。代数の例題には、1次方程式、2次方程式、連立方程式、不定方程式、等差数列などがある。記数法においては、0や未知数を表すために点が用いられており、位取りに発展がみられる。
ヴェーダ時代やジャイナ教の数学とくらべ、世俗的、実用的な問題に適用される問題が多い。またシュルバ・スートラにも見られた無理数の近似値について精度を増し、ジャイナ教時代の数列の研究が進められた。
脚注
参考文献
- ジョーゼフ, ジョージ・G 著、垣田高夫、大町比佐栄 訳『非ヨーロッパ起源の数学 : もう一つの数学史』講談社〈ブルーバックス, B-1120〉、1996年(原著1990年)。ISBN 406257120X。
- “最古の「ゼロ」文字、3~4世紀のインド書物に 英大学が特定”. AFPBB News. フランス通信社 (2017年9月16日). 2017年9月20日閲覧。
- Kaye, George Rusby (1927) (英語), The Bakhsh Manuscript; a Study in Medieval Mathematics., New Imperial Series. Vol. 43, Parts 1 and 2, Calcutta: Government of India Central Publication Branch, pp. iv + 156 + 48 plates.28 rupees; 43s. 6d.(via Nature volume 122, pages638–639 (1928))
関連項目
外部リンク
- The Bakhshali manuscript[リンク切れ]
- 6 – The Bakhshali manuscript[リンク切れ]
- “Carbon dating finds Bakhshali manuscript contains oldest recorded origins of the symbol 'zero'” (英語). Bodleian Libraries, University of Oxford (2017年9月14日). 2025年7月19日閲覧。
- Casselma, Bill. “Zeroes in the Bakhshali manuscript” (PDF) (英語). UBC Math. The University of British Columbia. 2025年7月19日閲覧。
f
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