ナディ占星術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:59 UTC 版)
ナディ占星術は、古代の賢人たちによって書かれた木の樹皮やヤシの葉に書かれたテキストを通じて、全ての人間の過去、現在、未来を解読でき、彼らの智慧の恩恵にあやかることができるという古くからの信念に基づいている。タミル語の「ナディ」という用語は、「~を求めて」を意味する。ナディ占星術は、タミルナードゥ州だけでなく、ケーララ州や南インドの他の隣接する地域でも行われている。過去・現在・未来の秘密の予言が書れているという経典は、千年前の南インドのチョーラ朝の時代に分類されたと広く信じられており、これらの発見を最初に記録したとされるリシと賢人にちなんで、シュカ(英語版)・ナディ(シュカはヴィヤーサの息子)、カウシカ・ナディ、ブラフマ・ナディ、アガスティヤ・ナディと名付けられた。伝説によると、これら予言が書かれているというナディは、インドの様々な地域に散らばっており、いくつかはタミルナードゥで最初に発見されたという。 ナディは、古代タミル語で、詩の形、つまり定型詩や二行連句で書かれているため、解読が難しく、長年にわたってこの形式の占星術を研究してきた専門の言語学者だけが解読可能とされる。波動の研究者で、アガスティアの葉ブームの際に関連書を出版した深野一幸は、葉のテキストは古代タミル語で書かれており、ナディ・リーダーと呼ばれる人たちが現代タミル語に翻訳すると説明している。 予言はナディ・グランタと呼ばれ、16の章(Kandam)からなる写本である。何千年も前のリシが書いたという原本ではない。写本の各章では、依頼者の家族、職業、結婚、子供、将来の出来事、病気、繁栄、家族、友人、悪い習慣や付き合い、精神的傾向、吉兆、死、外国旅行、訴訟、人生の全容について詳しく述べられていという。また、現在の出生が抱えるカルマの原因と、適切なやり方でそれを克服する方法も示されているという。リシによる予言は時間を超越しており、両親の名前、人生における現在の立場、予言を求める理由も記載されているとされる。依頼者は、予言された通りに、予言を求めてやってくるのだという。 タミルナードゥ州タンジャーヴールのサラスワティー・マハル図書館(英語版)に、いくつかのナディが保存されていることがわかっている。多くのバラモン占星術コミュニティも、これらのナディを所有していることが知られている。オリジナルのナディ占星術の館のほとんどは、ヒンディー語や英語さえほとんど話されていない、一般の人が訪問するのが困難なタミルナードゥ州の奥地にあるという。The Times of India の記事では、ナディを解読した情報は、過去の情報は詳細で正確だが、未来については不正確であり、未来への助言であるとしている。 深野一幸は、アガスティアの葉は保存のためにオリジナルのものから書き写され、1995年当時、13ヶ所の館と呼ばれる場所で保存されているとしている。ナディ・センター(ナディ占星術の館)の建物は古くて原始的な家であり、ナディ・リーダーは、南インドの家族経営の職業である。自分のナディの葉を求める依頼者は、ナディを読み解くナディ・リーダーに、男性は右手の拇印、女性は左手の拇印を提出する。拇印のパターンは108種類に分類されており、ナディの葉もまた、拇印のパターンによって分類されている。人間の拇印が108種類に分類され、それがさらに4つの分類に区別されていることで、各個人の葉を探すことが出来るのだという。依頼者は、葉に書かれている詩に基づいた一連の質問を受け、自分自身、両親、配偶者の名前を伝え、ナディ・リーダーはこれらの情報からその人の葉を探す。ナディ占星術の経験者によると、約1時間、200ほどの質問が行われており、これを通してナディ・リーダーは依頼者の様々な情報を得る。ガネーシャ・ナディでは、どんなナディも、黄道十二宮に基づいており、それぞれが150のナディアンサ(nadiamsas、上昇宮(英語版)の弧のごく小さな単位)または300の半ナディアンサに分けられるとされる。つまり、360度の黄道帯を1800に分けた単位、もしくはその倍の3600に分けた細かい単位を用いて占われているため、その解釈は非常に正確であると考えられている。
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