トンボ科とは? わかりやすく解説

トンボ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/17 08:26 UTC 版)

トンボ科 Libellulidae
トンボ科(学名:Libellulidae)の各属の主な種

1. ショウショウトンボ Crocothemis servilia mariannae
2. カオジロトンボ Leucorrhinia dubia orientalis
3. ハラビロトンボ Lyriothemis pachygastra
4. ハッチョウトンボ Nannophya pygmaea
5. オオシオカラトンボ Orthetrum melania
6. コシアキトンボ Pseudothemis zonata
7. チョウトンボ Rhyothemis fuliginosa

8. アキアカネ Sympetrum frequens
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: トンボ目(蜻蛉目) Odonata
亜目 : トンボ亜目(不均翅亜目) Anisoptera
上科 : トンボ上科 Libelluloidea
: トンボ科 Libellulidae Rambur1842

など142属[1]
詳細は本文の分類を参照

トンボ科(トンボか、学名Libellulidae Rambur1842)はトンボ亜目(不均翅亜目)トンボ上科に分類されるトンボの1。トンボ目の中では最も系統が新しく、繁栄している科[2]

特徴

成虫の形態

頑丈な体付きで、前よりも後翅の方か幅広である不均翅亜目のグループに属する[3]。大型のヤンマ科と比べて小さく、全長6 cm以下の小型から中型のトンボ[4]。体色は金属光沢の単純な色調、黄色、赤色、青色など変異に富む[1]ハッチョウトンボのように雌雄で色彩が異なるものや[5]マユタテアカネのようにメスに色彩が異なる多型のあるものもある[2]。シオカラトンボやハラビロトンボのように羽化した時のオスがメスと同色で、成熟するとオスの体色が大きく変わるものが多い[1][5]複眼は発達し大きく左右がくっ付きあって一続きになり[3]、境目が長い線状になっているものが多い[6]。複眼後縁の突起物がなく[1]、腹部の状突起などを取り除いた単純な形態[2]。前翅の三角室は著しく縦長となるものが多く変形して、四角室状となるものもある[1]。前翅の三角室と後翅の三角室は形状と向きが異なり[7][8]、後翅の肛角が突出しない単純な形態[2]。翅脇の肩縫線は多少ともS字状に湾曲する[1]

成虫の生態

平らな姿勢で枝先などに静止する種が多いが、斜めに静止する種や、飛び立つとなかなか静止しない種もある[8]。翅を開いた状態で静止する[1]。大部分の種が、水溜まり、湿地などの止水域に広く生息しているが[9]、一部のものはゆるやかな流水がある環境に生育する[1]。雄は静止または飛翔しながら水辺の一定空間で縄張りを持つ[1]。雌は短い単純な生殖弁で産卵する種が多いが、長く突き出た生殖弁を泥に差し込んで産卵する種もある[6]。連結状態または雌単独で飛翔しながら連続的あるいは間欠的に打水、打泥して産卵をするものが多い[1]。マユタテアカネとコノシメトンボ、シオカラトンボとシオヤトンボなどのように近縁種間で種間雑種DNA解析により確認されている[10]

幼虫

幼虫ヤゴ)の体は太く、腹部末端には3個の長い尾部付属器と1対の尾毛がある[11]。体つきは楕円で、全長が1-2.5 cm、触角は細く小さい[12]。幼虫の足や腹部末端の肛錐が比較的短く[13]、腿節は頭部の幅とほぼ同じ長さ[13]下唇 はカゴ形で[13]、下唇基節が東部の前面と下面を覆う[2]。7節の触角と直腸鰓がある[1]

分類

分化系統図

日本産の不均翅亜目の分化系統図を以下に示す[14]

トンボ亜目(不均翅亜目) Anisoptera

ムカシトンボ科 Epiophlebiidae

ヤンマ科 Aeshnidae

サナエトンボ科 Gomphidae

ムカシヤンマ科 Neopetaliidae

オニヤンマ科 Cordulegastridae

ミナミヤンマ科 Chlorogomphidae

ミナミヤマトンボ科 Gomphomacromiidae

エゾトンボ科 Corduliidae

ヤマトンボ科 Macromiidae

トンボ科 Libellulidae

トンボ科では、142属987種が知られている[1]日本では25属68種が確認されていて[1]、トンボの約3割が本科に属する[9]。主な属と日本で確認されている種を以下に示す[15][16][17]シオカラトンボ赤とんぼなどのよく親しまれているトンボが含まれている[5]

以下の7亜科に分類されることがある[2]

トンボ科の分化系統図

日本産のトンボ科の分化系統図を以下に示す[14]

トンボ科 Libellulidae

ウミアカトンボ属 Macrothemis

チョウトンボ属 Rhyothemis

チョウトンボ R. fuliginosa

ハネナガチョウトンボ R. severini

ベッコウチョウトンボ R. variegata

スキバチチョウトンボ R. phyllis

カオジロトンボ属 Leucorrhinia

アカネ属 Sympetrum

スナアカネ S. fonscolombii

ナツアカネ S. darwinianum

マダラナニワトンボ S. maculatum

ナニワトンボ S. gracile

リスアカネ S. risi

ノシメトンボ S. internum

エゾアカネ S. flaveolum

ムツアカネ R. danae

アキアカネ S. frequens

タイリクアキアカネ S. depressiusculum

タイリクアカネ S. striolatum

イソアカネ S. vulgatum

コノシメトンボ S. baccha

ヒメアカネ S. parvulum

マユタテアカネ S. eroticum

マイコアカネ S. kunckeli

ミヤマアカネ S. pedemontanum

オナガアカネ S. cordulegaster

ネキトンボ S. speciosum

キトンボ S. corruptum

オオキトンボ S. uniforme

オオキイロトンボ属 Hydrobasileus

ハネビロトンボ属 Tramea

オセアニアハネビロトンボ T. loewii

テンジクハネビロトンボ T. basilaris

ハネビロトンボ T. virginia

ヒメハネビロトンボ T. transmarina

アオビタイトンボ属 Brachydiplax

コシアキトンボ属 Pseudothemis

ヒメキトンボ属 Brachythemis

コフキトンボ属 Deielia

アメイロトンボ属 Tholymis

オオメトンボ属 Zyxomma

ハッチョウトンボ属 Nannophya

コシブトトンボ属 Rambur

ショウジョウトンボ属 Crocothemis

ヒメトンボ属 Diplacodes

ナンヨウベッコウトンボ属 Neurothemis

アカスジベッコウトンボ N. ramburii

ナンヨウベッコウトンボ N. terminata

フチトリベッコウトンボ N. fluctuans

ウスバキトンボ属 Pantala

ベニトンボ属 Trithemis

アジアアカトンボ属 Lathrecista

ホソアカトンボ属 Agrionoptera

シマアカネ属 Boninthemis

ハラビロトンボ属 Lyriothemis

キイロハラビロトンボ L. flava

オオハラビロトンボ L. elegantissima

ハラビロトンボ L. pachygastra

シオカラトンボ属 Orthetrum

ハラボソトンボ O. sabina

ミヤジマトンボ O. poecilops

シオカラトンボ O. albistylum

シオヤトンボ O. japonicum

タイワンシオヤトンボ O. internum

ホソミシオカラトンボ O. luzonicum

タイワンシオカラトンボ O. glaucum

コフキショウジョウトンボ O. pruinosum

オオシオカラトンボ O. melania

ヨツボシトンボ属 Libellula

種の保全状況評価

多数の種が国際自然保護連合(IUCN)により、レッドリスト軽度懸念(LC)などの指定を受けている[19]。日本では多数の種が、環境省都道府県によりレッドリストの指定を受けている[20]

関連画像

脚注

注釈

  1. ^ ハッチョウトンボは日本で最小のトンボ。

出典

参考文献

関連項目

外部リンク


トンボ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 09:22 UTC 版)

ヤゴ」の記事における「トンボ科」の解説

中庸ヤゴ。体は楕円形くらい、やや扁平。足はそこそこか、やや長い

※この「トンボ科」の解説は、「ヤゴ」の解説の一部です。
「トンボ科」を含む「ヤゴ」の記事については、「ヤゴ」の概要を参照ください。

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